梅雨がまだ明けない今の時期、今年は涼しくて助かりますが、このあとに本格的な夏が来ると思うと、少し憂鬱になります。
現実問題として、暑い夏、カンカン照りの昼間に自転車で走るのは辛いものがありますから。
暑さだけならまだしも、戸外で運動していてきついのは高い湿度のほうです。
まるで室内のプールサイドとかサウナで激しい運動をしている気分になりますから。
で、そんな気候のさなかに自転車に乗ろうという気分には、なかなかなれないのです。
オートバイなら、暑くても走ってしまえば何とかなり、林道ツアラーなら山の上の方へゆけば気温、湿度ともに下がりますから。
ウォーターサーバーにハンモックを積載して山の上の方へゆき、風通しの良い木陰に吊って寝そべりながら本を読んではまどろみ…なんて至福の時だと想像するのですが、実際にやったことありません。
それはともかく、せっかく走る場所の選択幅が広い折りたたみ自転車なのですから、暑くてジメジメした夏でも、なるべく快適に走れる場所へ行きたいのです。
その気になれば。海外だって行けるのですから緯度の高いところへゆけばいいわけですが、今回は思いたったら即座に涼を求めて、ということで
1.日帰り
2.往復の交通費をできるだけかけない
という、夏でもお手軽脱スポコンのサイクリングについて考えてみました。
さて、都心から日帰りで行き、自転車で走るという時間もとれるような涼しい場所というとどこになるでしょう。
関東近間の避暑地といえばやはり山の方では、箱根、富士五湖、軽井沢、草津、日光です。
海も、房総や伊豆がありますが、海岸は湿度が低いものの、日中はやはり暑いのです。
そして海沿いの難点は、平らなところでは建物に入りでもしない限り日影がないことです。
かといって、山が海まで迫るような場所はアップダウンが激しく、並行する公共交通機関(バス)も便数が少ないでしょうから、いざというときのエスケイプにはなりません。
ということで、山の方に絞って、日帰りで往復の交通費を安くということですから、横浜市在住の自分には不利な、軽井沢、草津、日光は外します。
仮に自分が埼玉県の北の方に住んでいたなら、これらの地域は対象になるのかも
ということで、残った箱根と富士五湖で、東横線でやっているような鉄道沿線に沿ったプランを考えてみました。
といっても、「箱根登山鉄道線」に沿って湯本から強羅まで走っても、それは折りたたみ自転車に乗って箱根駅伝の「山の神」の真似事をすることになってしまうので、涼を求めるという趣旨からは外れてしまいます。
それに、東海道の旅を通して何度も箱根越えを敢行した経験からすると、箱根で涼しいのは外輪山に囲まれた芦ノ湖周囲だけなので、そこへ行こうと思うなら(カルデラ湖の特性ゆえに)かならずアップダウンを繰り返さねばなりません。
しかも、夏の箱根山中を走る路線バスは、紅葉シーズンほどではないものの、人気観光地ゆえに混雑しています。
そこで、ふと箱根を迂回する御殿場線のことを思いつきました。
1934年に丹那トンネルが開通するまでの東海道線で、もともとは全線複線だったのに、太平洋戦争の際不要不急線に指定されてレールを多線へまわされたために、単線化してしまった路線です。
自分の時代には東名高速道路が開通していたため、御殿場へ行くのは列車よりも圧倒的に車かバスが便利でしたが、箱根山と富士山に挟まれた御殿場は、比較的涼しい場所でした。
だから、朝早く東海道線の御殿場駅までブロンプトンを持ってゆき、そこから午前中の走りやすい時間帯にがんばって御殿場までのぼり、お昼を食べた後に三島、沼津方面へ自転車でくだれば、運動にもなるサイクリングができるのではないかと考えたのです。
そこで御殿場線沿線でなるべく幹線道路を避けて、小径車が走りやすい道を探しながらルートをこしらえてみました。
途中、谷峨駅と駿河小山間でどうしても交通量の多い国道246号線を通らざるを得ず、そこにトンネルが1か所あるのが気になりましたが、地形が山間部の谷間で対岸に迂回ルートもないため、いざというときは電車利用すればよいと割り切りました。
距離は国府津~三島間でおよそ70㎞。
出発地点を国府津駅前の海岸に設定すれば、海抜0mから最高地点である御殿場南小学校付近まで、最大標高差は452mですから、箱根を越えるよりはずっと楽なはずです。
もうひとつ、富士五湖方面で考えた旅程は、朝早く中央線の大月駅で下車してブロンプトンを展開し、富士急行線に沿って桂川沿いを遡上し、富士吉田市内で早目の昼食をとります。
そこからさらに桂川上流へと忍野村を抜けて山中湖に至ります。
そうすれば、お昼から14時くらいの日中いちばん暑い時間帯に高所を走ることができます。
山中湖畔を半周して、村役場付近から別荘地を籠坂峠までのぼり、そこから一気に国道138号線を御殿場駅まで下って、帰りは富士山号に乗って小田急線経由にするか、国府津へ出て東海道線経由で横浜へ帰るというものです。
こちらのコースは出発地点の大月駅標高が360mで、富士山駅が810m、山中湖が982mということで、これだけでもおよそ40㎞の道のりで標高差が620m以上あります。
しかもオール上りです。
前に富士山の五合目へ行った際、富士急行線の先頭に座って景色をみていたのですが、かなりの急勾配をのぼっている感じがしました。
御殿場まで走るなら、最高地点の籠坂峠標高は1110mですから、標高差はさらに100m以上プラスされるため、完全な山岳サイクリングになってしまいそうです。
いきなり本格的な山道登りをすると、心が折れてしまうと判断し、まずは御殿場線沿線を完走してみようと決心しました。
出発点の国府津も、終着予定地点の三島・沼津も旧東海道が通っており、何度も自転車で走っているから心強いというのも、決め手のひとつになりました。
ということで、今日も一日暑いと予想される夏の朝、いつものように横須賀線の新川崎駅までブロンプトンで走り、一番電車に乗って国府津駅へ向かいました。