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二川本陣資料館にブロンプトンをつれて(その2)

(前回からのつづき)
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イメージ 1
二川宿本陣資料館の本陣遺構部分のお庭。
大きな軒塀の向こうが資料館で、さらに向こう側には東海道本線、東海道新幹線が走っています。
時折新幹線が通過してゆく音が静寂を破ります。

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庭の白砂利と外縁の間の玉砂利は、屋根を伝って落ちた雨滴が建物に跳ね返らないようにするのと、外部からの侵入者が踏んだ場合に音が出るようにという二つの役目があるといいます。
あ、それから雑草を生えにくくするとも聞いたことがあります。

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入口になっている勝手口の周囲に戻ると、様々な当時の生活用具が展示されています。
ここでは有料で抹茶をいただけます。
訪れたのは、七月中旬の午後でしたが、冷房がついていなくても十分涼しいのでした。

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こちらは急須や行燈、ランプ、アイロン、湯たんぽ、煙草盆などが展示されています。

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火熨斗(ひのし)です。
このお椀の部分に炭を入れて底をあてて着物の皺を伸ばします。
私は時代劇でしか見たことがありません。
炭を熱源にしているということは、かまどや囲炉裏があって、家庭内で簡単に炭が手に入る状態でないと用をなしません。

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こちらは岡持ちや徳利、お膳やお櫃など台所用品中心に並んでいます。
子どもの頃は寿司屋が片手に岡持ち下げて、もう片方の手でハンドル握って出前なんて、当たり前の時代でした。
蕎麦屋もせいろを重ねてお盆のようにして自転車に乗って、走ってきたドラマの主人公と角で出合頭に衝突し、そばを路上にぶちまけるというのは、お約束のシーンでしたが、いまは放送コードにひっかかるのでしょうね。

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くるみ膳って胡桃盆のように胡桃の木で出来ているのかと思いきや、四隅にクルミの実が埋め込まれていて、それが足になっているから胡桃膳というのだそうです。
たしかに板張りの床に置いても滑らなそうです。
右端のそば湯がよく入っている容器は、湯桶っていうんですね。
お風呂の底に「ケロリン」と書いてあるあれも湯桶だし、茶道具で蒸籠に似ているシューマイとか蒸しそうな木製の容器も湯桶です。

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右の箱状の酒樽は指樽(さしだる)といい、室町時代からあるそうです。
左の角樽(つのだる)とともに、主に慶時で用いられるのですが、今どき座敷に角樽の並んでいる結婚式ってなかなかみないです。
なお、神道関係の本を読んで知ったのですが、つい戦後まで、日本人は神社で結婚式をあげる習慣はなかったそうです。
天皇家においては結婚も神事ですが、あれは祭祀としての皇室神道の行事で、ほかの神道とは別なのです。
庶民には、仏教も含め、宗教行事としての結婚式という考えは無くて、盃を交わして周囲の共同体に披露をするだけでした。
第二次世界大戦後、共同体や組織よりも、個々人を優先するようになってキリスト教の結婚式が都合よく利用されたのかもしれません。
その辺の歴史を調べると、日本人の宗教観が分かるかもしれません。
なにせ八紘一宇だの何だのと言って、国家神道を文部省が強制していた時代ですら、結婚式は神式で挙行しなさいなどというお達しはなかったのですから。
なお、キリスト教での結婚式は、お互いの契約であるとともに、神さまとの契約でもあるのです。
だから、信者でもない人同士が教会で結婚式をあげるのって、極めて不自然なのですが、大概の教会では1年間結婚を予定している2人が講座に通うことによって、教会での結婚を認めているようです。

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資料館は本陣の玄関前を東へ抜けて、お隣の旅籠の遺構も見学できるようになっています。
屋号は清明屋さん。
こうして、旅人がいままさに上り口に到着して足を洗うところを、人形で再現しています。

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脚絆や手甲って何のために装着しているのかと思いきや…
1.手足の皮膚を障害物から保護
2.締め付けることでうっ血を防ぎ、披露を軽減する
3.日焼けを防ぐ
などの意味があったそうです。
脚絆はゲートルやレギンスに変わってゆくそうですが、小学生の時は旅先で冬でも半ズボンだった気がします。
「子どもは風の子元気の子」とかいって。
でも、戸外で遊ぶからこそ手足は保護しなければならなかったんじゃぁ…。

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あがり框が広々として、帳場になっています。
今でいうフロントとロビーですね。
もっとも、当時の旅籠に予約システムなどありませんから、あの旅人も客引きにつかまったのだと思います。
(それで憂いを含んだ顔をしていたのかも)

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これが夕食見本。
蝋で再現されているところが日本です。
こんなの海外の博物館では見たこともありません。
おかずは豪華に思えますが、江戸等の大都市よりもこのように地方の方が野菜や魚などが容易に入手できたのだそうです。
輸送システムが整っていないので、大都市における庶民の食卓におかずは何品も用意できず、江戸時代の都市住民の間には、栄養不足からくる脚気が流行していました。
別名「江戸患い」などと呼ばれていたそうで、原因が分からずに明治まで病気の影響が尾を引きました。

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こちらは庶民の湯殿です。
こんな座敷の近くにあったのですね。
もっとも、お湯を入れてもすぐに冷めてしまうから、持ってゆくのに便利な場所にないと大変だったのでしょう。

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トイレに手水がお洒落です。

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本陣に比べればずっと狭いですが、こざっぱりとした庭もあります。
リュウノヒゲ(ジャノヒゲ)と庭石って、あのように使うんだ。
(つづく)

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