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Channel: 旅はブロンプトンをつれて
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東横沿線散歩 東白楽から元町・中華街駅まで(その2)

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(8月の朝)

横浜中央市場の突き当り、市場信号(35.466116, 139.636434)を右折してみなとみらい橋を渡り、みなとみらい地区へ入ってゆきます。
信号正面は山内ふ頭です。
山下ふ頭は、山の上と下で上町、下町と呼ばれていたところから山下町が誕生したとききますが、ここは山の内も外も、山などどこにもありません。
なお、ふ頭は「やまうち」と読むのに対し、中央市場もある町名は「やまのうちまち」と読むのです。
あれ?
たしか同じ市内の旧都築郡(現在の都筑区と青葉区にまたがる地域)に山内村「やまうちむら」がありましたが、その関係でしょうか。
それとも鯨酔候(幕末の土佐藩主、山内容堂公の自称)の関係とか?
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(9月の朝)

調べてみると、山内容堂(=豊信とよしげ1848-1872)は分家の出身で第15代土佐藩藩主です。
そして、本家出身である16代豊範(1846-1886)を最後に廃藩置県を迎え、後の侯爵となった山内家は長男豊景(1875-1957)が継ぎます。
ここ山内町は、その山内豊景の請願によって埋め立てられて誕生したからこの名前がついているそうです。
それにしても、当時の山内家は東京代々木の参宮橋あたりに家があったはずで、横浜とどういうつながりがあるのかが分かりません。
土佐の方の家は、高知市横浜にあったそうですが(笑)
「横浜」という地名は、ここ神奈川のほかに、青森県上北郡、島根県松江市、福井県敦賀市にもあるとは知っていましたが、高知にもあったとは…。
みんなで横浜連合という暴走族の名前みたいな会議をもってもよいかもしれません。
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(9月の朝)

ところで、土佐の山内氏は「やまうち」と読むのでしょうか。
それとも「やまのうち」でしょうか。
私なんかの世代だと、圧倒的に後者なのですが、最近は「やまうち」が有力なようです。
なんでも、最近ルビをうっている書類がみつかったとかで。
なぜ「やまのうち」だったかといいますと、土佐山内氏の先祖は鎌倉御家人であった首藤山内氏であると称していて、この首藤山内氏の苗字の由来は、鎌倉の山内庄を領していたからなのだそうです。
確かに現在の東慶寺や円覚寺のある北鎌倉駅周囲は、住所が鎌倉市山ノ内で「やまのうち」が正しい読みです。
武家にとっては出自が鎌倉御家人というのは、江戸時代に至るまでステイタスだったようです。
よく系図に書かれる際の四貴種名族(大半はこじつけや自称)でも、源氏の血統はほかの侍とはちょっと違うみたいです。
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(6月の夜)

徳川家康は熱烈な頼朝ファンで、東鑑(源氏の正史)を愛読していました。
薩摩の島津氏も、長州の毛利氏も、もとは鎌倉御家人であることを誇りとしていて、北関東(現在の群馬県太田市あたり)出身の遊行僧が奥三河の田舎豪族(松平氏)と結びついてはじまった徳川氏とは、出自が違うんだということを強調したかったみたいで、鎌倉には江戸後期に島津氏によって造られた、頼朝のお墓があります。
ちゃっかりお隣に島津氏のお墓があったりしますから、俺は由緒ある源氏の家来筋なんだぞということを強調したかったみたいです。
毛利氏も、神奈川県厚木市の西にある毛利庄(現在の毛利台とか森の里あたり)を鎌倉幕府から与えられたところからきています。
彼らからしてみれば、戦国時代にのし上がってきた織田氏や豊臣氏、徳川氏などは、新興勢力の成りあがり者に他ならなかったのでしょう。
実は私の近所の古い家も鎌倉街道沿いにあって、祖先は零細の御家人だったらしいのですが、江戸時代には里正(=庄屋)をしていて、気位ばかりが高かったために、徳川氏の江戸入府に従って三河から赴任してきた代官の家とは犬猿の仲だったとききます。
もっとも、現在は親戚なんですけれどね。
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(2月の朝)

ああ、山内ふ頭だけで長話になってしまいました。
信号を右折してすぐ渡るのがみなとみらい橋(35.464864, 139.634141)です。
橋の下を流れるのは、滝の川と帷子川が合流した最下流域でまさに横浜港に注ぐ地点です。
ここは横浜港の中でもベイブリッジが正面に望める数少ない場所です。
冬の朝など、橋の峡間から朝日が昇ります。
そして、ベイブリッジを正面にみて右手に見えるみなとみらい地区のビルの窓が、その朝日に照らされて輝きます。
また左手にはノースドックにあって「ハマウィング」と呼ばれる横浜市風力発電所の風車が見えます(35.467487, 139.652232)。
この風車の回り具合で、当日の風の強さが分かります。
その向こうには、首都高速湾岸線でベイブリッジよりも北にある、鶴見つばさ橋の斜張橋の塔が並んで見えます。
冬の朝ですから寒いのですが、身体はここまで走って温まっていますし、夏ほどの早い時間帯ではありません。
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(2月の朝)

初日の出スポットにしても良いくらいですが、駅から遠いし付近に駐車場もなく、橋の上は車やオートバイは駐停車禁止ですから自転車で来ればゆっくり眺められると思います。
東京の初詣スポット第一位の明治神宮に日付が変わると同時に参拝して、そのままブロンプトンで北風を追い風にして東横線沿線を走り切り、ここで初日の出を拝むとか、いいかもしれません。
自分の感覚ですと、東横線の渋谷からここまでゆっくり走って2時間です。
2020年1月1日の日の出は6時50分ですから、終夜運転の電車を使って4時すぎまでに明治神宮に参拝すれば、初日の出に間に合うと思います。
最近、大晦日から元旦にかけてはお寺の手伝いが忙しくて、以前のように初詣&初日の出ツアーができないのですが、鎌倉の鶴岡八幡宮に参拝して横浜まで走っても、早い人なら1時間、ゆっくり行っても1時間半です。
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(みなとみらい橋から横浜駅方面をのぞむ)

鶴岡八幡宮なら5時参拝でも間に合います。
道順は、八幡さまの裏から小袋谷切通しを通って建長寺、北鎌倉駅前を通過し、小袋谷を右折して鎌倉女子大前から公田(くでん)、七曲の坂をのぼって港南区に入ったら、そのまま鎌倉街道を区役所までゆきます。
そこからは日野川、大岡川に沿って左岸を下ってゆけば、桜木町駅前を通ってみなとみらい地区と新港ふ頭をつなぐ、国際橋に出ます。
こんど、実際にやってみようと思います。
もうひとつ、みなとみらい橋で忘れてはならないのは、逆側の眺めです。
こちらは夕方から夜にかけて、横浜駅付近の夜景を眺めることができます。
橋の下をシーバスが通り抜けるのをうえから覗けるのも、この橋ならではの愉しみです。
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(オーケースーパー)

みなとみらい橋を渡って緩い坂を下ると、最初の交差点が臨港パーク入口(35.462757, 139.633057)です。
交差するのはとちのき通り。
右へ580m行き、とちのき通り西交差点を左折すれば、すぐにみなとみらい線の新高島駅です。
高島町の名前の由来は、反町~横浜間にある高島台で説明した通りです。
臨港パーク入口交差点を右折して、とちのき通りの右側歩道をゆくと、すぐにオーケースーパー本社(35.463277, 139.631657)があります。
このスーパー、食品が安いことで有名です。
知人は近所に引っ越したために太って困るとこぼしていました。
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(マリノスタウン跡地 右手前白い建物は、建設中のアンパンマン子どもミュージアム)

このオーケースーパーのある角を右折し、折り返すような形で先ほど渡った川へ戻るような形で走ります。
この辺りは、サッカーの横浜マリノスが練習場を構えていたのですが、2016年に借地権が切れると同時に新横浜公園周辺に移り、いまは更地になっています。
山下ふ頭とこことが、横浜スタジアムの移転候補地になっていますが、どうなのでしょう。
今の市長は採算を摂るために、カジノと一緒にふ頭の方に造りたいのですが、長年港湾事業関係をやってきた地元企業の会長は、風紀の乱れや依存症への危惧から、賭博事業には消極的とききます。
構図があべこべですが、ラスベガスとか見ていて、ちっとも魅力を感じない自分も、統合型リゾート構想には懐疑的です。
家族連れでも楽しめる街になったといいながら、カジノ周りはやはり退廃的でしたよ。
ラスベガスで白々しいショーを観てアトラクションで絶叫するくらいなら、デスバレーの先、マンザナー強制収容所跡地でも行って、日系人受難の歴史に触れた方がよほど有意義だと思いました。
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(高島水際線公園)

あ、カジノ構想からラスベガスに話が飛んでしまいました。
旧マリノスタウンの先、帷子川に沿ってあるのが、高島水際線(すいさいせん)公園(35.465593, 139.630471)です。
ここは細長い川沿いの公園の真ん中を高島線が斜めに横切っており、みなとみらい中心部側からゆくと、両側にエレベーターの付いた跨線橋で線路を越える形になっています。
線路の向こう側には潮位によって水位が上下する池があり、帷子川の対岸には前回ご紹介したポートサイドタウンが広がっています。
そのまま帷子川沿いにのぼってゆくと、みなとみらい大通りがとおるみなとみらい大橋の下をくぐって、日産本社ビル(1階に誰でも休息できる自動車ギャラリーと、スターバックスがあります)
そのまま国道に突き当たって右折すれば横浜そごうへ行けるのですが、駅の東口にゆくには歩道橋を越えて地下街を延々と進まねばなりません。
つまり、高島水際線公園は、横浜駅の近くにありながら非常に到達しづらい場所にあり、他の公園よりも空いているのです。
大きな木が育っておらず、木陰が無いので真夏はきついですが、それ以外の季節であれば、ベンチも多いし、ゆっくり本が読めます。
とくに夕方は対岸のベイクウォーターの灯りがきれいです。
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(帷子川沿いを上流方向へ 右は日産本社ギャラリー)

さて、高島水際線公園まで来たら、再び跨線橋を渡って戻るのではなく、そのまま帷子川沿いを、日産本社とお隣の横浜三井ビルディングの間に設けられた、デッキスペース(35.463387, 139.625466)を押し歩きで通り抜けてとちのき通りを臨港パーク入口交差点方面へ戻りましょう。
元町・中華街方面へは向かわずに、みなとみらい北端地区をウロウロしている最中ですが、ちょっと長くなりましたので、次回に続けたいと思います。
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