東急東横線の前身である東京横浜電鉄が都内と横浜の間を開業したのは大正15年(1926年)です。
多摩川左岸の丸子多摩川駅(現在の多摩川駅)と神奈川駅の間でした。
神奈川駅というのは、今の横浜駅よりもやや北寄りの場所で、現在京浜急行の神奈川駅がある青木橋よりは南にありました。
これはその先桜木町方面へ延伸する前の、暫定的な措置だったようです。
開業から目黒蒲田電鉄と相互乗り入れして、神奈川駅から目黒まで直通してたそうです。
けれども、翌1927年(昭和2年)に渋谷駅と丸子多摩川駅間が開通し、横浜側は1928年高島町駅、1932年桜木町駅と伸びて、以降の東横線の形になりました。
それから68年後の2004年1月末をもって、東急東横線の横浜~桜木町間は営業を終了し、第三セクター方式の横浜高速鉄道と入れ替えになって、今は殆どの列車が元町・中華街駅へ直通します。
かつては地上2階にあった東横線のホームも、それにあわせて地下3階へと潜ってしまいました。
(自転車で近付きやすい出口のひとつ、きた西口。東横線にはこの出口が最短です)
かつては渋谷方面からの東横線が横浜駅へ着くと、「よこはま、よこはまぁ~です。国鉄、京浜急行、相鉄線、横浜市営地下鉄はお乗り換えです。根岸線連絡乗車券をお持ちの方は、当駅でお乗り換えです」と女性の声でアナウンスされていました。
根岸線とは、桜木町で乗り換えるのではなく、ここで乗り換えるよう指定されていました。
私はサラリーマン時代に桜木町まで通っておりましたが、横浜でほとんどのお客さんは下車してしまい、桜木町駅までの間はいつもガラガラでした。
帰りも桜木町から乗れば座って帰ることができ、上り電車が横浜に着いたとたんにドッと乗客が乗ってくるというありさまで、その辺りは今も大して変わらないようです。
人によっては会社の通勤規定により、東横線の定期券を横浜までにして、そこからわざわざJR根岸線の関内まで別に定期券を購入している人がいましたが、私は桜木町から大岡川をまたいで徒歩で関内へ通うのが、気分転換になってちょうどよいと思っていました。
それに、帰りは疲れているから絶対に座りたいですしね。
今も問題になっていますが、定期券区間外なのに横浜から桜木町へ逆に乗って、桜木町で折り返す人は当時からおりました。
(満車の看板が出ていないほうが珍しい、北幸2丁目にある横浜西口第6駐輪場)
さて横浜駅ですが、前回も書いた通り、もともとここは海を埋め立てた場所で駅はありませんでした。
1872年に日本初の鉄道が品川~横浜(現・桜木町)駅間で開業した15年後の1887年、東海道本線は国府津まで延びました。
その頃東京方面から国府津へ向かう列車は今の桜木町駅でスイッチバック(列車を反転させること)していたそうです。
これが解消されたのが1898年で1915年に今の横浜駅より南の保土ヶ谷寄りに2代目の横浜駅が開業しました。
けれどもこの横浜駅は1923年の関東大震災で倒壊(桜木町駅も焼失)し、仮駅舎になってしまいます。
そして上述の通り、1928年に今の東横線が開通したのに合わせ、2代目の横浜駅は東京寄りの移転し現在地に納まったというわけです。
鉄道が開通してから56年後のことでした。
現在の横浜市は東横線の跡地を含めて工事中です。
いつも工事しているから日本のサグラダ・ファミリアなんて呼ばれていますが、開設当初からだったのですね。
(手前がそごうで、奥が横浜ベイクォーター)
分岐点に便宜上設けられた駅ですから、横浜駅付近に港や行政機関はありません。
横浜市民にとっては百貨店や地下街、量販店などが集まる買い物の街です。
乗り入れている鉄道会社は6社と日本最多で、一日の乗降客数は新宿、渋谷、池袋、大阪・梅田駅に次いで世界第5位。
上位のどの駅も同様ですが、駅前の通りや広場は平日、休日の別を問わず、路線バスやタクシーが取り囲み、また歩道にはたくさんの人が溢れているため、地上の道を自転車で近付くのは難しいものがあります。
出口は川崎寄りの北、中央、保土ヶ谷寄りの南とそれぞれに東西に通路が走っており、西と東に出口があります。
駅では中央の両サイドを「西口」「東口」と呼び、そのほかは南北を平仮名で、東西を漢字で表記します。
このうち、北と南の東西出口は自転車で乗りつけることが可能です。
なにしろ大きい駅ですから、東横線の反町方面へゆくのなら「きた西口」青木橋や神奈川宿方面の旧東海道へゆくなら「きた東口」、相鉄線の次の駅である平沼橋や旧東海道の保土ヶ谷宿方面へ向かうのなら「みなみ西口」、高島町や桜木町方面なら「みなみ東口」と、この駅を下車してどちらへ走るかによって、出口を選択します。
ただ、地下深くの東横線のホームからだと地上までかなり時間を要し、上記のうち「みなみ西口付近の道路はいつも混雑していますので、できれば手前や先のお隣の駅で下車して、そこからブロンプトンで走った方が、スムーズに目的地に着けます。
(道路は3階部分なので、スロープを2階分下ります)
横浜駅の周囲は月極め以外の駐輪場が少ないことでも有名です。
西口は駅から少し離れた北幸(きたさいわい)2丁目にまとまって一か所で、ほかに新田間(あらたま)川沿いに少しだけで、朝の早い時間でないとまず満車で停められません。
岡田屋モアーズにも、横浜高島屋にも、ヨドバシカメラ・マルチメディア横浜にも、ダイヤモンド地下街にも、駐車場はあっても駐輪場は存在しません。
周囲の少し離れた公園でも、放置されてしまうことを恐れているのか、駐輪スペースがありません。
きっと、丘と海の間狭い埋め立て地にあって、鉄道駅と運河を避けて道路を作るしかなかった西口は、自転車で来ることが想定されていないのでしょう。
旧東海道も、横浜駅を避けるように丘をかすめて抜けていました。
(その時代駅のある場所は入江だったので、入りようもなかったわけですが)
では、東口はどうでしょうか。
こちらはもともと駅前に国道が走り、その向こうにはスカイビルという老舗の商業施設が一軒あるきりで、裏は海でした。
バブルさなかの1985年に横浜そごうが開業してから様相が一変しました。
駐輪場は2006年に開業した横浜ベイクォーター1階に大きいもの(176台収容)があります。
ベイクォーター2階からは、デッキでひがし北口、そごうとつながっていて、地下通路を抜けて西口までは多少遠いものの、自転車は3時間まで無料(以降1時間毎に100円)なので、横浜で駐輪するならこちらがよろしいでしょう。
また、ベイクォーター駐輪場の入口近く、みなとみらい大通りを挟んで向かい側(地下道で抜けられます)には、ポートサイド公園があります。
目の前の雉子川運河にはシーバスが往き来し、その向こうの鉄橋は、ときおり高島線(貨物専用線)をコンテナ車や回送列車が走ります。
さらに対岸はみなとみらい地区の高層建築群と眺めがよく、季節の良い時にブロンプトンを脇に停めて、珈琲でも飲みながら読書に耽るならこの場所がお勧めです。
私もときおり横浜そごうの中にある紀伊国屋書店で購入した本を、この場所でパラパラと読んでいます。
(駅近くの割にはすいていてのんびりできる、ポートサイド公園)
よく考えたら、ブロンプトンの場合は駐輪場を探さずにコインロッカーに入れてしまうという手があるのですが、横浜駅近辺で買い物をして荷物があるにもかかわらず、それを抱えて自転車に乗って帰るというのも、近隣ならともかく遠方は無理そうです。
買い物と折りたたみ自転車は、(牽引でもしない限り)あまり相性が良くないのかもしれません。
次回は横浜駅近辺の見どころをご案内しましょう。