尺取虫(暫時延伸)方式旧東海道の旅は、目的地(京都)へ急ぐばかりで、途中の施設をゆっくり見学している暇がありません。
そこで今回は浜松宿~吉田宿(豊橋)間にある、旧東海道沿いの施設を効率よくじっくりと見学するには、どんなプランの旅を計画したらよいか、宿泊、施設、交通にわけてまとめてみたいと思います。
1.宿泊場所
宿泊は東海道沿道である弁天島温泉に宿泊します。
最低でも2泊はします。
但し、次の点に注意が必要です。
弁天島温泉は昭和30年代に開湯した比較的新しい温泉であり、泉温も低く、実際に引湯している宿泊施設は2軒だけです。
2018年7月に内一軒が親会社の経営破たんよって閉館し、営業しているのは1軒だけです。
その1軒は、浜松を中心に展開するホテルチェーン傘下に入っています。
けれども、ネットで直接に予約すればシングルも受け付けていますし、食事なしで7,000円前後、食事付きで9,000円前後という宿泊料は良心的です。
温泉でなくても良いならば、大浴場付きの民宿が数件あります。
浜名湖一帯でも一番海に近いこの場所は、朝夕の空がきれいで、雨が降っていなければお散歩するに適したロケーションです。
浜名湖をサイクリングするのなら、もっと奥にある舘山寺温泉が有名ですが、東海道沿いの施設を見学するのが主体の旅という旅であれば、やはり道沿いに宿泊する方が盛り上がります。
また、目の前にJRの弁天島駅があるのも移動に便利です。
宿泊施設は目的によって、大きくリゾート滞在型とビジネス宿に分けられます。
ホテルにいる時間の短い通過型の旅であれば、後者で構わないのですが、じっくり、ゆっくりとなると、滞在型リゾートホテルの方がのんびりできます。
雨の日など、ロビーなどでゆっくり読書したりブログを書いたりできるのは前者です。
但し、そのような宿は年末年始、ゴールデンウィーク、お盆など皆が休みを取れる時期は、特別料金を設定していることが多く、割高です。
また、部屋もファミリーを主体にした広い部屋が多く、単独や少人数滞在には向いていません。
そんな場合は、街にある少し名の通ったシティホテルをお勧めします。
全国チェーンのビジネスホテルよりも、多少古くても歴史のある地場のシティホテルは、パブリックスペースも充実し、シングルルームも広く、フロントは周囲の情報に精通していることが多いのです。
また、宿泊代もネットでの直販であれば週末割引、早期予約割引などが効きます。
滞在型の旅の場合、天気によっては一日ホテルで過ごすこともあり得るでしょうし、その分天候の様子をみて直前に予約する必要はありませんから、ビジネスホテルの最安値より1,000円~2,000円程度割高でもお勧めです。
この地域の場合、浜松か豊橋になりますが、豊橋の方をお勧めします。
浜松市の方が人口も多く商業施設が充実しているものの、豊橋の方が文化的施設も多く、また豊橋鉄道、身延線なども使えば雨天の見学地も多いと思います。
また旧東海道でも走っていて景色が良いのは、浜名湖よりも西側です。
2.見学する施設
(1)舞阪宿茗荷屋脇本陣 9時~16時月曜休 入館無料
(2)新居宿今切(新居)関所 9時~16時半月曜休 入館料300円
(3)〃旅籠紀伊国屋資料館 9時~17時月曜休 入館料210円(関所共通410円)
(4)二川宿二川宿本陣資料館 9時~16時半 入館料400円
これで足りなければ、豊橋の吉田城と浜松城を加えましょう。
但し、お城の見学は街道の旅とは少しテーマがずれます。
旅人は寺社に立ち寄ることはあっても、お城を見学することはありませんでしたから。
今でも、旅行に行ってその土地の県庁や市役所に行く人って、あまりいないですよね。
これがヨーロッパなどだと、ずいぶん事情が違うわけですが。
その辺り、観光立国を目指すのなら学ばないと…。
(それでもお城に付随した展示や資料には城下町を説明するコーナーがあることが多いので、無駄ではないと思います)
閑話休題、旧東海道を旅していることが前提ですから、移動は基本的に鉄道+ブロンプトンを使います。
その際、施設が最寄駅から近いかどうかを調べておきましょう。
上記の例でいえば(1)は遠いものの、(2)(3)は駅近く、(4)と浜松城は歩けない距離ではありません。
吉田城は豊橋鉄道の路面電車を使って市役所前で下車すればわりとすぐです。
こうして、雨の日でも見学できる施設と、晴れの日に訪れた方がよい施設を判別しておき、現地での行動計画に活かします。
また、自転車で走って景色が良いのは、舞阪駅入口~舞阪宿~新居宿~白須賀宿の間であって、その他の区間は二川宿近辺を除いては国道、県道を走ることになるため、あまり楽しいとは思えません。
他にも、予備知識として遠州鉄道の廃線跡(奥山線)や浜名湖、渥美半島の先端にはサイクリングロードがあることを確認しておきましょう。
3.お得なきっぷ
(1)ぷらっとこだま
東京からですと、以前ご紹介したJR東海ツアーズの「ぷらっとこだま」が利用できます。
但し、「ぷらっとこだま」にはなぜか豊橋がありませんので、浜松往復の利用になります。
浜松往復の場合、普通車用とグリーン車用の差額はけっこう大きいので、名古屋以西のようにグリーン車は使わず、普通車の方が良いでしょう。
(2)休日乗り放題切符
熱海までの運賃(東京から1,940円 横浜から1,320円)は別になりますが、JR東海のフリー切符、「休日乗り放題きっぷ」を利用する方法もあります。
土曜・休日および年末年始に利用可能で、有効期間は乗車当日ながら区間内では乗り降り自由です。
下車なしでも、熱海からなら浜松の先、高塚駅までゆけば元は取れる計算になります。
弁天島へ宿泊するのであれば、出発当日(または帰宅日)にこの切符を使い、二川と豊橋の施設を見学、別の日に宿泊施設から自転車で行くことのできる新居、舞阪の施設を見学すれば良いし、豊橋宿泊の場合は、逆に手前の舞阪、新居の見学をきっぷ利用時に済ませ、あとは宿から近い二川と豊橋を別の日にまわせば、この切符を上手に利用したことになると思います。
(3)静岡DC西部エリア切符
2019年6月30日まで、静岡ではディスティネーションキャンペーンを行っており、JR東海がタイアップしたフリー切符を設定しています。
西部エリア切符はこの旅で対象となるのは浜松~新所原間だけですが、1500円で2日間有効のフリー切符であり、東は掛川から天竜浜名湖鉄道も利用可能です。
新所原以西の二川、豊橋は愛知県なのでエリア外となりますが、1,2駅ですから別途乗車券を購入すれば問題ありません。
このきっぷと東名高速バスのスーパーライナーを組み合わせて利用すると、交通費を安くあげることが可能です。
バス停のある東名掛川インターとJR掛川駅は歩いても移動できる距離です。
但し、この切符を利用の際は、宿泊場所について豊橋よりもエリア内にある浜松や弁天島温泉の方が有利です。
また、高速バスにはブロンプトンを積み込むことはできませんから、宿泊施設まで別途ブロンプトンだけ送ることになります。
その送料を考えると、ぷらっとこだまの利用とあまり差がなくなるかもしれません。
まとめ
以上のように、滞在、施設見学の旅は、通過型の旅とはスタイル、時間の使い方をガラリと変えるのが良いと思います。
どちらかといえば、宿泊先を拠点にして、自宅からのように周囲を日帰りで探索するような気持で出かけ、早めに宿に戻ってゆっくりするのが良いでしょう。
ただ、自宅にいるような気持になるあまり、夜更かしや昼頃まで寝ているというのはもったいないと思います。
慰安の色が濃い宴会旅行などに付き添って思ったのですが、あれなら生活の範囲内で同じことをしても良いのではないか、遠くまで出かける意味があるのかと感じましたから。