10連休ですね。
海外旅行組がいる一方で、どこにも出たくない人、仕事がある人と様々なことでしょう。
東海道に偏執する本ブログとしては、10連休の初日にこんなお題で作文してみました。
お金をかけて旅行するのもよいでしょうが、せっかくの時代の変わり目ですから、古の旅人に思いをはせて、尺取り虫方式の旅ではなく、連続でどこまで行けるかやってみるのも面白いと思います。
行き当たりばったりの旅は、移動手段がテクシー(死語ですな)でも、その日の宿をどうするかという問題があります。
連続ということですから、天候によってもその日の目的地は左右されるでしょうし、一日中雨が降ったら、自転車などは乗れません。
その場合は、敢えて電車に乗って移動してしまい後日というのもひとつの方法でしょうが、昔の旅人が川止めにあったように、一日読書するなり、周囲を散策するなりして費やすのも、普段なかなか経験できない旅と思われます。
若い人は、ネットカフェを利用したがりますが、規則正しく食事をし、睡眠をきちんと取るという旅の基本からすると、私はお勧めできません。
最低でも、ゲストハウスの相部屋でベッドに眠るようにしましょう。
また、数キロごとに宿泊施設がまんべんなく並んでいるわけでもありません。
それに、その街の宿がイベントか何かで満室ということもあるでしょう。
その場合はどうしてもひと駅、ふた駅電車で移動し、翌日また電車でそこまで戻るということもあると思います。
しかし、それが出来るのもほぼ全線にわたって鉄道が寄り添っている東海道ならではです。
なお、現代の街に入って行ったって留め女がたむろして「よい宿」を紹介してくれるわけでもありません。
うっかり飲み屋街に足を踏み入れ、へんな客引きについていったら、それこそ宿泊費以上の飲食代を請求されかねません。
しかし、前にも書いたとおり、東海道沿いのビジネスホテルは連休中でもシングルなら空いている可能性が高いと思います。
実際に宿泊予約サイトで検索すると、連休中でも3,000円台から部屋がみつかります。
そんな旅ができるのは、ネットが発達した現代の日本の、しかも太平洋ベルト地帯でビジネス宿が随所にある、東海道ならではの旅かもしれません。
(蒲田 京急空港線踏切 14:10)
○歩いて
普段歩きなれていない人は、おそらくは一日15kmくらいしか歩けません。
それだけではなく、装備や歩き方も分からないと思います。
こういうことは、本やネットで知識を仕入れるよりも、実際に歩いてみて身につけるしかありません。
徒歩で東海道を西へ向かった人の経験談でよくあるのは、無理して歩いてしまい、足を痛めてリタイヤしたというものです。
何の知識もないままお江戸日本橋から歩いて、私もまた川崎で音をあげました。
足の裏の皮が、ベロンとむけてしまったのです。
これでは翌日は歩けません。
原因は革のウォーキングシューズを履いて、街歩きの感覚で歩行したことです。
いままで何度も書いてきましたが、ちょっとそこまで買い物に行く歩き方と、一日20km移動する歩き方では、靴もフォームもペースも別物です。
クッションのあるジョギング用シューズを履いて、膝、腕とも振り子の原理を利用しないと、関節や筋肉が悲鳴をあげます。
ということで、初心者は一日20kmくらいのペースで西へ向かってみましょう。
一泊目は鶴見、二泊目は戸塚、三泊目は平塚、以下小田原、三島という具合に。
もちろん、早寝早立ち(6時までには出発)が基本です。
おそらくは、大井川あたりまで行ければ良い方ではないでしょうか。
それでも、「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」とか、「田子の浦ゆ、うち出てみれば…」(新古今集)、「駿河なる宇津の山べのうつつにも…」(伊勢物語)の世界は堪能できますよ。
なに、文学よりも食べ物の方がモチベーションはあがると?
ならば、安倍川もちや、ななやの抹茶ジェラートを目標に歩いてはいかがです?
○ブロンプトンで
尺取り虫方式の旅ではありませんから、折りたたみ自転車を使用する必要性も低下するわけですが、それでも宿が取れないとか、途中アクシデントがあって旅を中止する場合、いつでもたたんで電車に乗れるということは、実際にそうならなくても心強いものです。
ロードレーサーのようなよく走る自転車の場合、一日400km走ったりするらしいので、ひたすら国道にてペダルを漕ぐ覚悟があれば、京都へゆくのに10日もかかりません。
でも、わざわざ国道1号線をわき目もふらずにゆくのなら、ジムでペダルを漕いでいた方が安全ではないでしょうか。
物流のための道路より、生活道路をのんびり行く方が、どれだけ面白いことか。
そこで、このブログでご紹介してきた旧東海道の旅を、連続で西へ向かうと仮定してみます。
(当時はあった戸塚大踏切 8:20)
すると、ふだんからブロンプトンに乗りなれている方の場合、体力にもよりますが、60km~150kmくらいの移動が可能じゃないかと思います。
(前にSハンドルで実験したときは、朝の5時に日本橋を出て、14時半に畑宿に着いていました)
しかし前述したように、雨の日は乗らないとすれば、2日~3日くらいはマイナスして考えねばなりません。
これはバーディやダホンのスポーツモデルなど、ペダルのひと漕ぎで6~8mもすすみ、かつギア段の多い自転車なら同じ条件で日程を組めると思います。
ただ3万円以下の、いわゆるチョイ乗り用折りたたみ自転車では、もともと用途が違うので、無理があると思います。
なお、「旧道を忠実に辿りたい」という希望があるのなら、箱根の石畳道をどうするのかという問題は残ります。
私の経験からすると、東坂の登りはとくに、押し歩きする、手で持つは本当に大変です。
せいぜい、背負子で背負って何とか…でしょう。
私のお勧めは、一日目で箱根湯本、できれば畑宿まで自転車で詰めてしまい、その日は小田原宿泊します。
翌朝早くに山岳マラソンの格好をして、バスで前日切り上げた場所まで戻り、湯本(畑宿)~三島を走ってしまいます。
三島に着いたら小田原へ電車で取って返して、ブロンプトンを電車で持ってきて、三島に宿泊それば、旧道を使って箱根を越えたことになります。
それが成功したら、三日目は掛川、四日目は宮(熱田=名古屋市内)、五日目が亀山、六日目で草津、最終日京都と、雨で二、三日ロスしても、ビジネスホテルが多くある街をつないで京都到達が可能です。
(箱根湯本 三枚橋12:43)
それでもタイトだという場合は、弥次喜多のように目的地を伊勢神宮にするのです。
元号の変わり目に伊勢神宮を目指して自転車で走って参拝を果たすなんて、この10連休の旅に相応しいでしょう。
その場合、四日市の先、日永の追分から伊勢参宮道をゆけば、雨の降らない日が正味六日間もあれば行ける計算になります。
連休初日にこのブログを読んで、10連休がまるまる空いているあなた。
たとえ途中でくじけて帰ったとしても、何もしないよりましです。
行き当たりばったりの旅は、思いたったらいつでも出立可能ですよ。
(経費)
宿泊費:5000円×泊数
食費:一日当たり3000円程度×日数
交通費:行ったところまでの片道+アルファ