Quantcast
Viewing all articles
Browse latest Browse all 932

遙かなる高尾山を目指して

浪馬はお手伝いしているお寺のご住職から、以前「お寺に人を呼ぶにはどうすればよいか考えてくれる?」と言われておりました。
キリスト教の信者がそんなこと考えて良いのか?というご意見もいただきましたが、ちゃんと司祭の許可も取っているし、ほら、イエスさまだって人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい。」(新共同訳 ルカによる福音書1631節)って言っているじゃないですか。
私なりのエキュメニズムです。
 
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 1
(こんなに家の近くに牛舎があったとは)

それにしても、はてさて、お寺に人を呼ぶにはどうしたらよいか…。
お寺って抹香臭いんだよなぁ…教会もだけれど(笑)
普通に考えると、現実に人が集まっているお寺へ行ってその魅力を探ることが一番でしょう。
自分のように何かしらの義理を感じて教会やお寺へ通う人というのは少数派で、大半の人は、それが何かは分からないけれど、あの寺社にゆくと妙に気分が晴れるとして、そこへ行くのでしょうから。
その人たちの中から、その人なりのご本尊への信仰が芽生え、私はこのお寺を生涯支えよう、そしてこのお寺で眠ろうという人が現れてくるというのが本来の寺院の姿のような気がします。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 2
(このお店、子どもの頃バスに広告出していたなぁ)
 
実際、家の跡継ぎがおらず、あるいはいても遠方に生活基盤があって、戻ってくるあてが無いゆえに墓仕舞いする人や、地域の共同体意識が希薄化するどころか、人がいなくなって共同体を組めない事態に陥っているのを見るにつけ、葬式仏教といわれてきた日本の寺院は、仏さまの哲学や、お祖師さまの言いたかったことを、今を生きる人たちが分かるように伝える努力をしてゆかねばならないのではないかなと、仏教学を正式に学んだこともない素人の私でも、生意気なことを承知のうえで思うのです。
それに本を読んでいると、仏教哲学って西洋哲学に負けず劣らず斬新だし、けっこう現代でも通用すると思うのです。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 3
(おっ、めがね橋)
 
人の集まるお寺というと、深夜に初詣で行った成田山新勝寺、川崎大師でお馴染みの平間寺、そして高尾山の薬王院を思い浮かべます。
あれ、全部真言宗智山派だ。
距離のことを考えると、成田は都心から遠いし、川崎大師は近すぎるし、何かの記事で自転車のご祈祷もやってくれると書いていた高尾山に行こうと思いました。
小学生の頃、高尾山と尾根続きの小仏峠や景信山、陣馬山などへハイキングに行っていたので、高尾山は何度も訪れたことがあります。
下りの場合、薬王院まで来ると「ああ、もうすぐ電車の駅だ」と安堵したものです。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 4
(なんぼ低いところが得意でも、ここは物理的に無理)
 
そんなわけで、朝にミサを終えた12月のある日曜日、家の近くからブロンプトンで高尾山へ向かうことにしました。
川沿いをゆくのなら多摩川を聖蹟桜ヶ丘のやや上流までさかのぼり、そこから浅川沿いに八王子の北へ出て、支流の南浅川に沿って上流を目指せば、高尾山口に到着するはずです。
しかし、このルートは地図を見ればわかる通り、八王子の市街地を大きく北に迂回蛇行するルートをとっていて、回り道になります。
それに前回の向かい風対策ではありませんが、12月のこの時期に多摩川や浅川を西に向かって遡るということは、偏西風に正面から対向する形になり、午後になれば風も冷たくてどんどん体力を奪われることになります。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 5
(ああ、山は遠し)
 
次に考えたのは、通勤同様、電車の線路沿いにゆくことです。
高尾山に電車でゆくならJR中央線か京王線です。
浅川に近い中央線はともかく、京王線も、長沼あたりまでは多摩川~浅川の左岸河岸段丘下を走るのですが、北野からの高尾線は八王子台地を掘割で進むという体裁をとっています。
地形とともに、鉄道路線ルートを検討するというのは、挫折したりアクシデントに見舞われたときに備えてという意味に加え、鉄道敷設は運行経費にかかる動力費用を抑える為、極力坂道の無いルートを選んでいるからです。
土木工学が発達し、工事も機械化された最近の新線敷設では、トンネルや橋りょうを多用して地形の制約を受けないよう造りますが、昔はそうはゆかなかったみたいです。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 6
(多摩モノレールということは、高幡不動です)

ちなみに京王高尾線が建設されたのは、北野駅から山田駅までが昭和61931)年、山田駅から高尾山口駅間は昭和421967)年に開業しています。
もとは大正天皇(現在は昭和天皇も眠る武蔵野御陵)の御陵へゆくための、御陵線だったのです。
昭和の初めは鉄道を敷くほどに、天皇のお墓にお参りする人が多かったということなのでしょう。
それほどに天皇陛下が崇敬を受けていたということはと考えたら、戦前の国家神道に関する本を読みたくなってきました。
ちなみに、武蔵野御陵に葬られたのは大正天皇以降で、京都の明治天皇は伏見桃山御陵です。
ちゃんとお戻りになっていたのですね。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 7
(浅川と湯殿川の出合)
 
話を行程に戻します。
それなら、八王子市街や南浅川を回らずに一本南の湯殿川をさかのぼり、町田街道にぶつかったあたりから、たしか最近開通したトンネルをくぐると、高尾山のやや奥の中央道と圏央道が接続するジャンクション付近に出るから、そちらを通った方が近道になると考えました。
ということで、是政橋付近までは、以前ルートラボで作成した南武線沿線の小道をゆき、そこから多摩川左岸~浅川~湯殿川と川沿いを走ることに決めました。
時刻は11時過ぎ。
早めのお昼を済ませてからの出発です。
高尾山まで走るとなると出発が遅すぎるのですが、今日は朝一で教会まで走っているし、帰りは電車だし、万が一辿りつけなくても途中から電車で引き返せばいいやと、家を出ました。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 8
(左が兵衛川、右が湯殿川)
 
実際走ってみると、よく晴れてはいるものの、すごい向かい風です。
それでも南武線沿線の用水路沿いなどを走っている時は余裕でした。
滅多に来ない場所をこうしてブロンプトンで走るのもなかなか良い経験だなんて。
しかし、多摩川サイクリングコースに出てみると、風は強いは、山は遠くに見えるはで、本当に高尾山まで辿りつけるのか怪しくなってまいりました。
高幡不動駅前に着いたのは14時くらい。
冬の14時といったら、もう夕方がすぐそこです。
たしかここのお不動も真言宗だったし、ここでお茶を濁して帰ろうか…とも思ったのですが、行動停止は16時と決めているから、行けるところまで行ってみようと先を急ぎます。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 9
(山は近くなってきたけれども、家は建てこんでいます)
 
浅川を遡ると、ますます風は冷たく、そして強く前から吹きつけます。
でも、自転車って漕いでいるからオートバイと違って汗をかきます。
これで小休止したらいっぺんで風邪をひきそうなので、だんだん正面に見える山が近付くのみとめつつ、上流方向へと向かいます。
京王線の長沼駅付近で浅川からその支流である湯殿川に入ったのが1420分、さらに横浜線の片倉駅付近で兵衛川を左に分け、通称「まちかい」と呼ばれる町田街道との交点まで来ると、時計は15時を指しています。
ああ、ここ大学の頃水泳の試合で来ました。
このあたりは、大学銀座とよばれるほど、都内から色々な大学が移転してきているのです。
ここまで、川沿いながら谷はどんどん狭くなり、それにともなって道の傾斜も少しずつ急になって、高度を上げている実感がしていました。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 10
(ガーン、これだから車社会は嫌だ)
 
そして最近開通したばかりの八王子南バイパスとの交差点まで来たら、思いきり「歩行者・自転車通行禁止」の看板が目に飛び込んで参りました。
「そんなぁ~ここまで来て」
しかし、この道が自転車通行禁止なのは、あらかじめネットで調べればすぐに分かるはずなのでした。
仕方なく八王子台地を越えて、高尾駅裏に出て、線路沿いを高尾山口方面に。
途中、いかにもブロンプトンで入って行きたくなる線路下の煉瓦トンネルを見かけ、甲州街道へショートカットできないかと思ったのですが、大昔の親水公園のような場所で行き止まりなのでした。
そしてやっとの思いで高尾山下のケーブルカー乗り場に辿りつきました。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 11
(それに比べてこちらのトンネルの趣の深さよ)
 
時刻は1540分。
山の裾にはもう日は届かず完全に影になり、夜の気配すら漂いはじめています。
日曜日ながら、もう大半のお客さんは下山して京王線の高尾山口駅へ向かってゆきます。
ケーブルカーはこの日1730分まで運行しているとのことでしたが、山頂駅と薬王院の往復をマラソンしたとしても、参拝していられる時間は20分以内と思われます。
仕方なく高尾山口駅前でブロンプトンをたたみ、新宿行きの始発電車に乗って、居眠りを決め込むことにしました。
車内が暖かいのでよく眠れることこのうえありません。
完全に意識を失った状態で明大前まで戻り、元気になったのでそこからブロンプトンで再び走り、二子玉川近くでカレーをやけ食いしてこの日の輪行を切り上げたのでした。
あとで調べたら、自転車の祈祷とお祓いは、国道20号線沿いにある自動車祈祷殿で行っていて、最終の交通安全祈願は16時からなので、じゅうぶん間に合ったのに何もせずに帰ってきてしまったことを知りました。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 12
(やっと着きました)
 
でもまぁいいか。
今回は高尾山までブロンプトンで走りとおしたわけだし、次回は電車で行ってやろうと考えるのでした。
ブロンプトンで走って楽しいのは、今回のように見通しが甘くて最終目的地まで手が届かなくても、武蔵小杉から高尾まで走りとおして妙な達成感があることと、まだ続きは別の機会に来ればいいやと思えることです。
これって、観光地や旅行会社が頭を悩ませる、「リピーターをどうやって増やすか」という問題に対するヒントがあるような気がします。
バブルの頃までは、目的地に何度行っても飽きない、その都度目新しい施設(TDLとかUSJを想像してもらえれば分かりやすいと思います)を持ってくるかということで、その施設も色々な催し物を行ったり、リニューアルを定期的に繰り返したりと、努力もお金もかかることをやっていました。
けれど、腹六分目とか、八分目でやめておいて、お楽しみは後日にとっておくとか、その手があったかという理解です。
実際、旧東海道の旅も続きものだから、毎回次回を楽しみにしている点では変わりません。
ということで、次回、大垂水峠と自転車祈祷の旅へと続くのでした。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 13
(あの金の像はいったい何?→答えは次回以降に)

Viewing all articles
Browse latest Browse all 932

Trending Articles