これまで、色々な乗り物にブロンプトンを載せて旅に行きましたが、高速バスはありませんでした。
というか、敬遠していました。
なぜなら、総合予約サイトである高速バスネットの「よくある質問」のうち、「ご乗車にあたって」の項目には、次のような文章が明記されているからです。
(新宿南口の対面にある、バスタ新宿)
『荷物スペース(トランク等)は限られておりますので、大きな荷物はお断りする場合がございます。
最近、大きなお荷物をお持ちのお客様が多くなり、 お持ちになられたお荷物を積み込むことができなくなる状況が発生しております。
お持ちのお荷物については、最小限にしていただきますようお願いいたします。
※お客様お一人様1個(長さの総和が1m以内、重さが10Kg、容積が0.027㎥以内)に限らせていただきます。
スキー板・スノーボード・自転車(折りたたみ含む)・貴重品・壊れやすいもの・危険物等はお断り致します。』
(2019年1月現在 原文ママ)
ブロンプトンの場合、箱に詰めたところで長さの総和は60㎝+58㎝+30㎝=148㎝以上でアウトだし、0.027㎥って27,000㎤ですから、60×58×30=104,400㎤で、こちらも完全にアウト。
というか、長さ総和が100㎝以内、容積0.027㎥ってどんな小ささかわかっている?文責者さん、という雰囲気です。
この程度の大きさの荷物であれば、迷うことなく車内に持ち込みますわ。
さらにダメ押しで「折りたたみを含む自転車はお断り」って書いてあります。
子どものころからバスでスキーに行っていた身としては、スキー板までダメということは、もう「バスには荷物を持って乗るな」と言われているのと同じことです。
いくら他の交通機関より安いからって、これはやりすぎだと思います。
これじゃぁ地方のバス停に利用者専用駐車場を設けたところで、「マイカーからバスに乗り換えるときに、小さな手荷物以外は車に置いて乗ってね」と言われているのと同じことです。
文章がこうなった原因も知っています。
全車両というわけではありませんが、高速バスの中にはトランクの無い車両、あっても使えない車両があるからです。
今は衰退して見かけなくなりましたが、一時期流行った二階建てバス。
あれは有効スペースをぎりぎりまで車内空間として使っているため、トランクルームが無いのです。
それに、大きな声では言えませんが、重心が高くて転倒し易く、大変危険な車両でもあります。
都内観光のはとバスならいざ知らず、あれで山岳路線を含んで走る高速バスに乗るなんて、ちょっとご遠慮させていただきたいレベルです。
実際、1985年に中央道の長い下り坂で二階建ての観光いバスが転落し、乗客3名が死亡、57名が重傷、運転手さんは行方不明になったうえ自殺していたという痛ましい事故がありました。
二階建てバスが生産中止になったのは、スペースが狭くて乗り心地が悪いのに加え、安全性に問題があったからだといわれています。
また、二階建てでなくても、特に長距離を走る高速バスの場合、トランクルームを交代運転手のベッドルームにしている車両があります。
近年多発したツアーバス事故を受けて規制が強化され、400㎞以上の路線バスは交代要員をのせて走らなくてはなりません。
その要員のための仮眠室が、従来トランクルームとして使われていたスペースに設けられている車両があるのです。
安全運行のなめにといいながら、あの場所にシートベルトもせずに乗務員を寝かせて、万が一衝突事故に遭ったら、無事ではない気がするのですが、そこはなぜかスルーです。
なお、トラックも同じですが、大型バスの場合フル乗車と空車では、バスの挙動が全然違うのだそうです。
団体添乗業務中、フル乗車で荷物も多いと、「ブレーキが効かないのなんのって…」と打ち合わせの際に運転手さんから耳打ちされたときには、正直ゾッとしましたよ。
まぁこんなわけで、いくら安くて早くなったとはいえ、鉄道に比べて事故遭遇率が遥かに高く、旅情も無く、かつ大荷物はお断りの高速バスは、スキーアルバイトの往き帰りに窮屈な思いをした記憶も含め、「此方から願い下げです」状態だったのでした。
けれども、これまでブロンプトンをつれての旅で取り上げてきた白馬などへ行く場合、並行する在来線(中央線・大糸線)について、時間的メリットが殆どないうえに運賃料金も新幹線を使うのと大差なく「ならば北陸新幹線で長野まで出て」と考えても、そこから信濃大町や白馬へはアルピコ交通の特急バスに乗らねばならず、結局大型バスに乗るのは変わらないのです。
ならば新宿から信濃大町、白馬へゆくバスに乗った方が、お財布にもやさしく、乗り換えの無い分楽ちんです。
なお、アルピコ交通のホームページには、「夜行高速バスはトランク容量が小さいため、スキー、スノボなど大型荷物の持ち込みはお断りしています。(事前に宅配便等でお送りいただくことをお勧めします)」と明記されています。
つまり、昼行バスであれば問題が無いわけです。
なお、スキーシーズンなどにはスキースノボ専用のゲレンデ直行バスがアルピコ交通内でも高速夜行バスとは別に運行されており、そちらはもちろんスキーやスノボのトランク積み込みはOKです。
(「高速バスネット」は、各会社の規則によりますとか、大型荷物OK路線と制限路線をきちんと分けて掲載すればよいのにと思います。)
JRバスの中には、有料で折りたたみ自転車をトランクに載せてくれる路線もあるわけですから。
頭から押しなべてお断りにしてしまうとは、何のためのネットなのか。
さて、いよいよ高速バスを予約です。
アルピコ交通の場合、予約サイトはJRバス系の「高速バスネット」ではなく、京王電鉄バス系列の「ハイウェイバス・ドットコム」でした。
これは、新宿白馬線がアルピコ交通と京王電鉄バスの共同運行だからと思われます。
同じ東京と長野県内を結ぶ高速バスを運行する会社でも、長野電鉄は直接予約ですし、JRバスなら「高速バスネット」千曲バスは「発車オーライネット」とそれぞれ予約サイトが違います。
「ハイウェイバス・ドットコム」では、大きな荷物についての案内が「高速バスネット」とはずいぶん違います。
『自転車・スキー板・楽器等の大きな荷物は、各運行会社ごとに取り決めがございます。床下トランクをご用意しておりますが、大きさによってはお断りすることもございますので、事前に各運行会社にお問い合わせ下さい。なお、お乗せできる場合でも、物損等の補償はいたしませんので、あらかじめご了承下さい。』
念のため予約に先立ってアルピコ交通に電話をしてみました。
折りたたみ自転車は、たたんでカバーを掛けた状態であれば、繁忙期でない限り大丈夫でしょうとのことでした。
ということで、「ハイウェイバス・ドットコム」から新宿白馬線15時発の便を、乗車前日に予約してみました。
名前や連絡先のほかに、性別や席は前の方が良いのか、後ろの方が良いのか、窓側希望か通路側希望かなどを細かく訊いてきましたので、前の方の窓側を希望してみました。
前の方が休憩のたびにざわつくし、最前列は特に危ないのは知っていますが、旅の乗り物に乗って景色が見えないのは、自分にとっては魅力半減どころか苦痛なのでした。
本を読むにしても、景色を背景にしないと酔いやすいですし。
しかし、バス会社によって予約サイトが異なり、大きな荷物についての規制がそれぞれ異なるのというのは面倒です。
まるでふた昔前の航空会社の予約システム(CRS)のようです。
私が旅行会社にいたころはCRS全盛の時代で、それぞれの端末によって操作方が少しずつ違うし、手数料も取られるので面倒でした。
さて、運賃の支払いですが、クレジットカード決済やコンビニ支払いもできるけれど、あえて出発当日にバスタ新宿での支払いを選びました。
支払期限はあるものの、出発当日の朝に行ってバスタの様子を観察したかったからです。
ふだんバスタ新宿の前をよくブロンプトンで通っているのに、一度も足を運んだことがありませんでしたので。
さて、ブロンプトンをつれての高速バスの旅はどうなることやら。
(つづく)