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丹波山村にブロンプトンをつれて

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柳沢峠を奥多摩湖方面に下って、最初の街らしい街がこの丹波山村です。
「丹波」と書いて、「たんば」ではなく「たば」と読むのは前に説明した通りです。
丹波といえば京都の北が有名ですが、丹波山村の「丹波」の由来は、たわみや峠を意味する「タバ」とも、山間渓谷の僅かな平坦地を意味する「タバイタ」からとも、諸説あります。
多摩川の由来は上流の丹波川が転訛したという説もあります。
普段慣れ親しんでいるのは、河川敷が広く滔々と流れる多摩川ですが、上流がこんな風になっていることは、行ってみてはじめてわかります。
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甲州道中の脇往還である青梅街道の宿場で、東隣は氷川宿(現在の奥多摩駅付近)、西隣は塩山宿です。
奥多摩湖が無かったころは深い谷ですから、宿場間の距離はけっこう開いています。
現在の国道411号線柳沢峠は自動車道路開設のために開かれた峠であり、かつての青梅街道は丹波山村からマリコ川に沿って遡り、尾根にとりつきます。
この道は丹波大菩薩道としてハイキングコースになっており、峠よりも少し丹波山村寄りに、フルコンバ跡と呼ばれる、かつて両側から峠に登ってきた歩荷が荷物を交換する場所の遺跡が残っています。
実際に丹波山村から峠を越えて大菩薩峠登山口まで歩いたことがありますが、大菩薩峠までの登りに6時間20分、峠から塩山側の登山口までは下りに2時間30分と、まさに一日がかりの行程でした。
当時高校生で、バスで丹波山村に着いたのが午前9時過ぎ、それからコースタイム通りに歩いたら向こう側へ着くのは19時近くになってしまうため大半の行程を走ったのですが、結局大菩薩峠登山口のバス停に着いたのは17時を過ぎ、へとへとになってしまいました。
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丹波山村の住所は山梨県北都留郡。
奥多摩駅からの西東京バスは、小河内ダムのある奥多摩湖までなら一日20便以上あるものの、都県境を越えて丹波山村まで入るバスは、平日は一日4便、週末でも5便しかありません。
逆に丹波川を遡り、山梨県庁のある甲府盆地まで行こうにも、柳沢峠を越える公共交通機関は塩山からのハイキングバスしかありません。
それも春から秋にかけての週末のみ、丹波山村と甲州市の境の落合集落までですから、実質柳沢峠を越えようと思ったら自家用車しか足がありません。
4年前に同じ郡内にあるお隣の小菅村は、上野原から谷を遡った松姫峠の下にトンネルが通りましたから、バスを乗り継いで上野原へ出て、電車に乗り換えれば甲府へと出られるようになりました。
それでもかなりの遠回りです。
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村内には小学校と中学校があります。
しかし、高校はありませんから、県立高校へ行こうとしたら、上野原がいちばん近いということになります。
丹波山村立の中学校ではALTAssistantLanguage Teacher)教育に力を入れているとありますから、この村に外国人が何年かの契約で教師として住んでいるのでしょう。
また、親子での山村留学も推奨されていますが、子どもはともかく、親はどうやって仕事に通うのでしょう。
また、Wikipediaにも載ってますが、丹波山村の下水道普及率は高く、これは浸透式の汚水枡を使われると、奥多摩湖へと注ぐ丹波山川の水質に影響が出るからでしょう。
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11月も下旬ともなると、柳沢峠から花魁渕あたりの様子は真冬だったけれど、ここまでくると若干温かく、紅葉も多少は残っています。
花魁渕から丹波山までは、ごく緩いのぼりが2か所ありますが、そのほかの区間は概ね下りのため、自転車で走ってもそう大変という感覚はありません。
塩山駅からのバスが柳沢峠到着920分ですから、途中で早目の昼食を取ったとしても、週末であれば奥多摩湖駅行き1202分(平日は1335分)のバスにじゅうぶん間に合います。
(奥多摩駅までは1時間弱、運賃は1,010円です。―201812月現在)
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(後山林道の入口。この奥に三条の湯があります)

柳沢峠から奥多摩湖へ向かう際に、きついのはこの丹波山村から奥多摩湖最奥にある鴨沢集落までの区間です。
村唯一の信号を過ぎた直後、このルートでもっともきつい、もっとも長い坂にかかります。
対岸にあるキャンプ場の荷物運搬用索道の施設まで、970mも踊り場のない登坂が続くのです。
その後も、後山川(奥に三条の湯という山の温泉があります)との合流点にあたるお祭りという場所まで、緩やかな坂も含めれば合計6か所も登りがあります。
丹波山村を出て最初の上りも含め、うち2か所の上りは普段自転車に乗っていないと漕いで登りきるのは無理そうな坂でした。
しかしこれもトレーニングだと思えばよいかもしれません。
自転車での健康づくりは、なにも速く走ることだけではありませんから。
この峠を越えるような国道が、奥多摩湖と丹波山村の中心部を分けています。
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お祭りから下ってゆくと、奥多摩湖最奥にかかる諸畑橋という赤いトラス橋を右にみとめます。
この橋を渡った対岸の上流側には、かつて丹波山村立鴨沢小中学校がありました(1983年閉校・丹波山小学校・中学校と統合)。
つまり、鴨沢集落もまだ山梨県北都留郡丹波山村なのです。
実際の県境は鴨沢集落を過ぎた先にある、小袖川に架かる鴨沢橋を渡りきった地点です。
鴨沢集落は、東京都最高峰である雲取山(2017.13m)の登山基地です。
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雲取山山頂は東京、山梨、埼玉の三県境になっていて、ここ鴨沢と、鍾乳洞のある日原、それに埼玉県の三峰神社が主な登山口になっています。
うちバス停から山頂までもっとも近いのが、ここ鴨沢なのです。
バスを下車してから石尾根と呼ばれる稜線上にある七ツ石山(1757m)まで3時間40分、そこから
雲取山山頂まで1時間45分の合計5時間半弱で、週末に奥多摩駅6時過ぎの始発バスに乗ると、6時半過ぎに鴨沢に到着するので、お昼すぎには山頂へ到達することができ、かつそのまま下山すれば18時半すぎの奥多摩湖行バスに間に合うので、日帰りで雲取山へ登ることが可能です。
富士登山も良いですが、都内に住んでいるのなら、或いは多摩川の流域に住んでいるのなら、一度は東京都最高峰に登ってみたいですよね。
ちなみに、雲取山山頂近くにある奥多摩小屋は、来年の三月末(2019年3月31日)で閉鎖となります。
小屋に泊まってご来光を眺めるのは、今年が最後ということになりそうです。
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以前、この鴨沢バス停近くにある木漏れ日という食堂をご紹介しました。
ボリュームのある生姜焼き定食があるのですが、あいにく自分がいったときは品切れになっていました。
鴨沢橋を渡って東京都に入って最初の集落、留浦(とずら)には、島勝という名のお蕎麦屋さんがあります。
鴨沢で飯にありつけない場合は、こちらに行くことにしています。
丹波山でお昼でも良いのですが、あそこの「道の駅たばやま」は、立ち寄り湯もあってマイカー族で混雑するうえに、国道から坂を上り下りしなければならないので、一度行ったきりで懲りました。
それに比べれば、鴨沢や留浦の集落はのどかです。
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島勝さんの国道を挟んで向かいの奥多摩湖には、二本あるドラム缶橋のうちのひとつが架かっています(留浦浮橋)。
但し、こちらは湖でも奥の方に位置するため、水が少ない時期は国道から湖面まで少し下らないと橋にはたどり着けません。
温かい店内にはいってかつ丼をいただくと、午後の日差しに照らされてウトウトしそうになります。
奥多摩駅まではもう少し、これからトンネルが連続する湖畔の国道を走ります。
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