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Channel: 旅はブロンプトンをつれて
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コミュニケーションは面倒なものです

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先日、港区の高輪台付近をブロンプトンで走っていたら、後ろから追い抜きざまに、“NiceBike!”と声をかけられました。
暗くてよくわかりませんでしたが、おそらくは英語がネィティブの方でしょう。
咄嗟のことだったので、“Thank you”としか返せませんでした。
同じようなことが祖師ヶ谷大蔵の商店街でもありました。
信号待ちの際に「そのブロンプトン、いいですね」と日本語で後ろから聞こえてきたので、振り返ると、あきらかに日本人ではない親子がニコニコしていました。
そういえば、長野の白馬で面識のあったアメリカ人の英語の先生も、日本語しか話さなかったので、場所によって相手によって話す言葉を変えているのでしょう。
私なんかも、旅行へ行ったときに、非英語圏でもその国の首都では英語を話し、田舎に行ったら「地球の歩き方―旅の外国語会話編」を片手に現地語で意思疎通をはかろうとしていました。
日本もそうですが、教育制度がしっかりしている国であれば、田舎へ行ったから英語が通じなくなるということはないにもかかわらずです。
あれは、普段から外国語で話している人の多い地域と、少ない地域でコミュニケーションの雰囲気が変わるということなのでしょう。
そういえば、京都は東京などよりも前から、英語表記や英語案内が多かった気がします。
 
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さて、日本人は褒めるのも下手なら褒められるのも下手といいます。
確かに全く面識のない人にいきなり話しかける文化はありません。
相手がたまたま女性だったら、下心があるんじゃないかなんて痛くもない腹を探られるのも御免ですし。
若いころ、外国のスキー場で独りスキーをしていて、“Do you enjoy skiing?(スキーを楽しんでいるかい)と、いきなりリフトで隣り合ったおじさんから話しかけられ、“Yes, indeed”(ええ、とても)と返しながら、自分は明らかに困惑の表情をしていたとおもいます。
でも、日本にいてもお店へ入ったときなど、「その自転車いいですね」とほめてくれる人はけっこういらっしゃいます。
こういう時、私なら「ええ、とても便利ですよ」と応えています。
ファッションとして乗っているのではなく、実用的に使っていますから。
では、同じようなニュアンスで“Nice bike”と英語で褒められたら、どう答えればよいでしょう。
普通に考えれば“Yes, this is really useful.”とか、“I always use this.”になるでしょう。
前者が「重宝」のニュアンスが入り、後者はいつもですから、「愛用(常用)しています」という感じでしょうか。
でも、後ろから追い抜きざまに声をかけられて、咄嗟にポンポン英語が出てくるほど、英語に慣れ親しんでいるわけではありません。
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単純にほめられて感謝の気持ちを表すなら、“It’s an honor.”“I`m flattered.(光栄です)とか、” I’m glad to hear that.”(それを聞いてうれしく思います)と応えればよいでしょう。
ただし、”flatter”という動詞には、「お世辞を言う」という意味が入ります。
「まぁ、(褒めるのが)お上手だこと」という、多少冗談めかした雰囲気が入ってくるので、まったく初対面の相手には使わない方がよいかもしれません。
なお、同じようなケースで、日本語では謙譲の美徳というか、「とんでもございません」や「そんなに大したことないですよ」という表現がありますが、日本を知らない外国人に英語に翻訳して返したところで通じません。
 ヘタをすると、「単純に褒めたのに、その自意識過剰な態度はなんだ」と思われてしまいます。
イギリス英語には“No, not at all”(いえ、そんなことありません)という返答があるといいますが、これは単にほめられた時よりも、何かこちらがボランティアで親切にしてあげて、感謝されたときに改まって言う言葉で、そうちょくちょく使うことはないようです。
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また、相手の自転車を褒めて返すという手もあります。
この場合、一番簡単なのが“You too.
これは、”Have a nice day.”と言ったときにネィティブの人が返してくるパターンですが、自分の持ち物を褒められた場合は、相手もよい自転車に乗っていることを確認したうえで言わないと、おかしなことになってしまいます。
たとえば、よく使いこまれている、という意味で相手の自転車を褒める場合は、“Yourbike is pretty well broken in.”みたいに“break in”とか“well use”を使ってモノそのものをほめるか、ファッションと同じように、“It`s really suits you.”と返すことも考えられます。しかし、ちゃんと相手の自転車の状態を見てからでないと、仮にまったく整備されていない自転車だったりしたら嫌味になってしまいますから注意しなければなりません。
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こう考えると、英語に代表される外国語って使い慣れていないと急に口からは出てきません。
海外へ定期的に行ったり来たりの生活でもなければ、よほど意識的に外国語を話す場面を自分で設定しなければ、コミュニケーションはおぼつかないと思います。
でも、それって日本語でも同じで、普段から無口な人に突然もっと密に相手と会話をしてくださいって言っても、「何を話していいかわかりません」となってしまいます。
旅行先でも、気軽に物事を尋ねることができる人や、初対面の人と会話を楽しめる人がいる一方で、そういうのは苦手という人もいます。
自分の経験からすると、相手の言っていること、主張することをじっと聞いてみるのが第一歩かなと思います。
読書なんかも多分にそういうとことがあって、自分の考えとは違っても、あるいは読みにくい文章だと思っても、辛抱して読み続けるとだんだん著者の言いたいことや、要点がわかってくるということがあります。
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最近、そういう行為が苦手な人が多いのか、「要点や結論だけを言ってくれ」とか、原作を読まずに「まとめサイト」だけ見るとか、要領よく時間を節約しているといえば聞こえはいいけれど、実はただ面倒くさがっているだけじゃないかなと感じることも多くなっています。
(緊急を要する場合は別ですよ)
そういう感覚では、旅に出ても目的を達しさえすれば、経過や経路などはどうでも良いわけで、そんな人とゆく旅路はえらくつまらないものになるだろうと自分では想像してしまいます。
スマホが普及して、コミュニケーションが密になったと思いこみ、実は情報伝達って時間がかかって面倒なものだという基本を自分は忘れないようにしたいと思います。
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