Quantcast
Channel: 旅はブロンプトンをつれて
Viewing all articles
Browse latest Browse all 932

湯島・中山書房仏書林の閉店

$
0
0

読書週間なのに湿っぽい話題で申し訳ないのですが、都内では唯一といってよい仏教書の新刊専門書店が先月に閉店となりました。

同時に、団信徒さんや門徒さんたちへ施本として配布されていた「仏教の生活」も廃刊になったそうです。

場所は湯島の台地の上にあって、地下鉄の駅からは少し離れていたため、自転車でないと行きづらい場所にありました。

もちろん、建物が建て込んでいて駐車場はありません。

ここと東京大学出版会の在庫僅少本が置いてあった東京大学構内にある生協はセットで、近くに用事がてら何回か足を運んだことがあるのですが、店内の書架は宗派別になっていてとても分かりやすかったのです。

これも少子・高齢化で宗教専門書が売れなくなってきていることの証でしょうか。

イメージ 1
(すごーい。店名が悉曇=梵字です)
 

キリスト教のように「聖書」という啓典がひとつデンとあれば、とりあえずは読んでみようか、分からなければ解説書を手にとってみようかということになるのですが、仏教の経典は一説によると八百もあり、宗派ごとに大切にしている聖典が違います。

よく言われるように、律経論の三蔵の区別が大乗仏教として伝わる中で崩れてしまい、のちに釈迦が直接教えたものでない経典も追加されていったため、どの経典を根本に据えるかで、宗派によってだいぶ趣が変わっています。

また、これを整理しようとしても、原典自体はインドから中国へ伝わる中で失われてしまったものが大半で、どれが実際の釈迦の教えで、どれがお弟子や解釈によるものかは、素人にはとても判別がつきません。

イメージ 2
(建仁寺にて)
 

京都などにゆきますと、各宗派の総本山のお寺があります。

寺院内には売店もあって、そこでは一般の書店では手に入りにくい、その宗派では有名な人や、文章に定評のあるお坊さまの書いた本が売っているので、たまに購入します。

たとえば、伝教大師(最澄)の絵本とか、道元の正法眼蔵を分かりやすく解説した本をさがしたいといったとき、わざわざ本山までゆかずとも、東京だったらこの書店にゆけば在庫が無くても取り寄せてもらえるといった具合でした。

一般の本屋さんの「宗教」とか「仏教」というコーナー(何の理由かは知りませんが、店によってはある新興宗教の本ばかりとか、或いは「うちのお寺は○○宗」みたいなハウツーものばかり)には絶対置いていない本があって、別に仏教に深い関心がなくても、ついつい読んでみたくなる本が並んでいました。

イメージ 3
(上のオブジェは法輪を図案化したものでしょうか)
 

閉店を惜しみつつ、神保町あたりの古本屋さんをもっと開拓せねばと思うのでした。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 932

Trending Articles