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Channel: 旅はブロンプトンをつれて
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冬の京都1泊2日にブロンプトンをつれて(その11 京都駅へ)

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京大のアウグスティヌス研究者、山田晶先生の足跡をたどって、やってきましたカトリック河原町教会。
「河原町三条教会の早朝ミサに、山田晶さんは、毎日必ず出席され、終わって近くの店でパンを食べてから(あるとき、医者からもらった薬に食間とあったので、パンを一枚食べては薬を呑み、またパンを一枚食べた)、歩いて京大の研究室に行き、遅い昼食を京大の学生食堂で食べ、夕方おそく、お母さんの待っておられる自宅へ帰るという毎日が、判で押したように繰り返された。」
山田さんは、京大随一の勉強家といわれた。(「アウグスティヌス講話」講談社学術文庫-解説より)
上の文章に出てくる「近くの店」とは進々堂か志津屋のことだろうと思います。
両店とも朝早くから開いているパン屋さんで、イートインがりありますから。
もっとも、私のような凡人が京都へ行ってミサのあとにパンをかじったところで勉強家になれるとは思えませんが。
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 (教会の玄関前に掲示されていた、昔のお堂)

アウグスティヌスやトマス・アクィナスの註釈書を数多く出されている山田先生の文章を読んでいても、自分がカトリック信徒だなんてどこにも書いておらず、同僚だった飯沼二郎先生(京都大学農学部名誉教授)の上の文章を読んで、ああ、やっぱりそうかと思うと同時に、さきほど走りぬけてきた大学構内を、ボサボサ頭で飄飄と歩く山田先生の佇まいに彼のいう静かな雰囲気があったにちがいなく、その光景がありありと目に浮かぶような気がしました。
「山田晶先生は何よりも、信仰のひとであったと思う。
その学風の根幹においても、日常の全般においても。
だから「人間の救済」も、文献解釈の範囲を超えて、現実のことがらとして受けとめておられたと思う。」
これはお弟子さんの追悼文の言葉ですが、そんな先生に巡り合える人生は、なんと幸福なのだろうと思いました。
 
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教会を出たら、三条大橋に向かいます。
手前の袂にある有名なおかき屋の船はしやさんへ。
お寺へのお土産は甘いものはたくさんあるので避けた方がよいと思い、あられとおかきにしました。
もうひとつの候補に、四条河原町にある村上重本店の漬物も考えたのですが、あちらは好みがありそうなので、今回は通過しました。
なお、新幹線で京都から帰る場合、あわただしい人は駅ビルにある伊勢丹や、構内のキオスクでお土産を購入する人も多いかと思いますが、京都ならではのものを買って帰るのなら、河原町三条から四条河原町にかけての界隈ですよ。
手頃なら、四条の高島屋の地下に、京都の老舗だけを集めた和菓子のコーナーがあり、日替わりで出ているお店も変わりますので、そこがお勧めです。
ただ、四条河原町と京都駅の間って、バスかタクシーのみの移動手段しかないので、不便なのです。
でも、ブロンプトンがあるとすごく近く感じます。
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三条からは、高瀬川沿いに木屋町通りを進みます。
四条河原町ではフランソア喫茶室の前で写真を撮りました。
昭和9年(1934年)の開店で、創業者は社会主義者の立野正一、通った人々の中には、映画監督の吉村公三郎、画家の藤田嗣治、俳優の宇野重吉、哲学者の矢内原伊作(矢内原忠雄の長男)など、そうそうたる顔ぶれです。
京都は全国の都市の中で最も喫茶店の多い街といわれていますが、この店はそのなかのキングでしょう。
その先に、漬物を買おうか迷った村上重本店です。
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四条河原町から京都駅へはブロンプトンの場合、高瀬川沿いを行くのがもっとも安全で早いと思います。
ただし、8年くらい前まではあまりお勧めできませんでした。
なぜなら、五条のあたりに歓楽街があったからです。
今から15年くらい前に、このあたりを用事で抜けていて、京都らしい連格子の家の前に座っていたおばあさんから、「どうですか?」と声を掛けられました。
「何がどうなんですか?」と問い返してしまったところ、「ここでね…」と説明がはじまったので、「はぁ、そういうところなんですか」とポカンとしてしまった次第です。
2010年に取り締まりがあって、その面影はなくなりました。
今でも川沿いに「お茶屋 本家 三友」って札のかかった巨大な遊郭の建物がでんとありますが、廃墟になっているそうです。
別のもので再利用したらいいのにと思う程に、立派な建物ですよ。
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その先には、手刷りカルタ製造で有名だった、松井天狗堂があります。
京都まで歩きとおした2008年当時はまだ現役で、ここでお土産にかるたを購入しました。
DTP全盛の時代に、手刷りなんて京都らしいと思っていたのに残念です。
そのまま川沿いに南下すると、やがて河原町七条に達しますので、もう一筋南までゆき、塩小路通りに出たら、右折して西に向かいましょう。
そのまま直進すると烏丸口ですが、駅前は自転車乗り入れ禁止ですし、新幹線のホームまでは遠回りになるため、高倉跨線橋を渡って八条口へ出ましょう。
お土産はすでに購入してあるので、ブロンプトンをたたんで一番手前の八条東口から新幹線東乗換口を通って、東海道新幹線の上り、1314番ホームにあがってしまうのが最短距離です。
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(京都タワーと京都駅が見えてきたら、次の大通りを右折します)
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京都駅は週末の夕方は特に大混雑していて、これをいかに避けて新幹線の座席まで辿り着くのか、ひと工夫が必要なのです。
お土産は間際に購入する人が大半なので、前述したとおりキオスクは飲み物1本買うのにも、大渋滞しているレジに並ばねばなりません。
だから、お土産も、列車の中で飲食するものも、駅から少し離れた場所でゆっくりと買い物をしておき、出発時間の10分前くらいに八条東口に着くようにして、わき目も降らずホームへあがって、指定席に近いドアの列に並ぶのが楽だと思います。
これがもし、自転車がブロンプトンでなければ、もっとゆとりをもって駅に到着していなければなりません。
そして、席に辿り着けば、たたんだ自転車は網棚に載せられます。
あとはゆっくり足を伸ばして、お茶を飲みながら、車窓を眺めるなり、本を読むなりして、新幹線をご堪能あれ。
 
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なお、1泊2日の今回の旅、2日目しか時間がなかったにもかかわらず、新幹線に乗車するまで、神光院、大徳寺付近での朝食、四条での用事、同地で昼食、御室仁和寺、日本基督教団北白川教会、カトリック三条河原町教会、再び四条にてお土産購入と、京都の街中をピンポン玉のように行き来したにもかかわらず、交通費ゼロでこれだけの場所を拝観も含めてみてまわりました。
タクシーを貸し切りでも、こんな行程はできないと思いますし、仮にできたとしても、朝6時から夕方4時まで10時間小型タクシーを貸し切ったとして、4万円はかかります。
接待の添乗でそういう旅を経験したことありますが、自転車の方が断然「京都の街中の空気を存分に堪能した」という気分で新幹線に乗車できます。
帰りの新幹線のE席からは、安土城址、佐和山城址、伊吹山、関ケ原、金生山(鉱山事業所がたくさんあるので山がぱっくり割れている)、清州城(復元)を見ながら名古屋までは起きていたのですが、その後眠りに落ち、気がついたら新横浜駅手前で減速中でした。
ブロンプトンを京都につれてゆくのなら、春か秋がベストシーズンなのでしょうけれど、じっくりとテーマを決めて街中を巡るのなら、冬もよいと思います。
夏だけは…勘弁かな。
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(車窓から見る雪を冠した伊吹山)

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