年末年始に2泊3日で浜松から三重県桑名市の南隣にある朝日町すすんだ旧東海道の旅も、残すところ120㎞強となりました。
毎月1~2日のペースで来たものの、12月は3日間を旅程にあてたこともあり、1月はお休みしました。
2011年2月12日、ブロンプトンによる旧東海道尺取虫方式の旅人となるべく、私とDANさんは東海道新幹線下り新横浜始発6時ちょうどの、ひかり493号に乗車しました。
さんざんプランニングをたて、名古屋での乗り換えのシミュレーションもやってきて、確保した座席に陣取ります。
外はあいにくの曇天で、三島駅を通過して田子の浦あたりに差し掛かっても、富士山は全く見えません。
2月の朝だと、赤富士が見られることが多いのに残念です。
さて、東海道新幹線のN700系ですが、全編成が16両編成です。
先頭1号車新大阪方、最後尾16号車東京方、そのうち、グリーン車(8,9,10)と端の車両にあたる16号車以外を除く、偶数各号車(2,4,6,12,14)には、車両の端にトイレや乗務員などのスペースがついておらず、座席数は5席×20列で統一されています。
他の車両、つまり奇数号車のうちグリーン車を除く車両(3,5,7,11,13,15)と、先頭/最後尾車両にあたる1号車、16号車は、トイレや喫煙スペース、電話、乗務員室等のスペースが車両の端にあるため、当然客室長が前にあげた偶数車両より短く、席の列は少なくなります。
トイレが東京方の片端についている5, 13号車で18列、喫煙室が大阪方端、トイレが東京方端についている3号車がそれより1列少ない17列、3号車と同じ形式ながら東京方の端にトイレに加えて公衆電話のある15号車が、さらに1列少ない16列、下り列車最後尾車両にあたる16号車及び、東京方の片端にトイレ、乗務員室、喫煙室のついている7号車が15列になっています。
そして一番客室長が短いのが下り先頭車1号車と11号車でして、なんとグリーン車(4×16~17列)より少ない13列しかありません。
11号車は大阪方端に乗務員室、東京方端に多目的室と障がい者用トイレがあるからです。
え、お前はJR東海の車掌でもやっていたのかって?
あぁ、あの会社、大学出の新卒は三島の研修センターに送られて一度は車掌を経験するみたいです。
「三島の研修センターってもしかして線路の下?」って社員に聞いたら、「いえいえ、今は三島駅の北口近くにあって、ホームに防音壁着けちゃったから、車窓からは見えないのですよ」とのお答えでした。
まぁ旅行会社の社員でも、自分の時代は専用臨(一編成まるまる貸し切り=修学旅行生が使う)なんか乗っていましたし、別に新幹線オタクではなくても、何度も乗っていると覚えてしまうのです。
そんな知識、無駄だろうって?
いえいえ、そんなことありませんよ。
単純計算したって一番席の多い車両と少ない車両の差は35席、学校のひとクラス分くらいあるのです。
それにここだけの話、N700系の先頭/最後尾車両(1,16号車)は他の普通席車両より座席の前後ピッチが17㎜狭いのですよ。
たとえば、今なんかお盆の帰省およびUターンラッシュの時期ですよね。
東京駅で自由席(1~3号車)の乗り場に、同じくらいの列ができていたとしたら、迷わず2号車東京方ドア、同大阪方ドア、3号車大阪方ドアの優先順で列に並ぶべきです。
だって座れる可能性が格段に増しますから。
1号車は座席数と座席ピッチから、絶対に並びません。
逆に少しでも落ち着きたいのなら11号車か7号車の指定席を買うべきです。
博多からきた上り東京行きのぞみなんて、20列もある車両は明らかに空気が悪いし、トイレの利用競争率だって高いのです。
頻尿の人は、グリーン車との間にトイレがある7号車東京寄りの座席がお勧めです。
それに先般名古屋で近鉄特急乗り換えの例を出したように、乗り継ぎ列車との接続に時間がタイトな場合は、階段が近いだけでなく、乗車人数のできるだけ少ない号車を選んだ方が安全です。
混雑期に20列ある車両の真ん中からブロンプトンを曳いて出ようとして、降りそこなって次の駅まで連れて行かれたなんていったら、目も当てられません。
まぁ、東海道新幹線にはヘビーユーザーが多くて、この程度なら彼らの間では常識でしょう。
なお、東京新大阪間ののぞみグリーン車には、芸能人をはじめ有名人が乗車していることが多いというのも、いわゆる「追っかけ」をやっている人の間では半ば常識ですが、特に早朝、最終便はその確率が増します。
もちろん、顔が見たければグリーン車に乗らないとダメです。
普通車の人は通り抜けも禁止されていますから。
彼等も疲れていて、できるだけ顔バレせずに寝ていたいわけですから、トイレに近くて普通車両の一般人と顔を合わせる心配のない9号車の東京寄りに座っていることが多いと思います。
ダメですよ、寝顔なんか隠し撮りしたら。
あ、11号車の多目的ルームですが、おもに体の不自由な方が使います。
その他、気分が悪くなった時や、授乳時など、人目を避けたい場合にも使えますが、あくまでも体の不自由な人が使っていないという前提です。
変わったところでは、容疑者の護送時などにも使われるそうです。
さて、かなり前提がながくなりましたが、名古屋での乗り継ぎ時間が6分しかない私たちは、当然のように前もって近鉄の特急券を購入し、乗り換え口にいちばん近いドアが背後にある、ひかり493号11号車の東京寄り最後列ED席に着きます。
通路を挟んでお向かいの11号車12列と13列の進行方向左(海)側席は、2列しかありません。
要するに、ABCのうちのC席がなく、普通車なのに2席×2席の部分が2列だけあります。
ここは障がい者用のトイレが近いことからも分かるように、車いす用に設けられた特別なシートです。
ですから車椅子の方が利用していない場合、通路が広々としているのです。
C席がないぶん、畳んだブロンプトンを置く(2台は余裕です)のに最適な席でもありますが、健常者が座ることもできます。
通常、JRの座席指定は乗車日の1か月前の午前10時からと決まっています。
しかし、この車いす用のAB席については、2日前まで対象者の人のために保持してあります。
2日前になっても該当者の予約が入らない場合、前日に一般に開放さるのです。
だから前日の朝10時にこの席が空いていれば、車椅子利用でなくても予約できます。
これは裏技なので、混雑する時期には使わない方がよいと思います。
もし体の不自由な人が自由席からまわってきたら、権利があったとしても譲るべきだと思いますし。
ついでに書いておきますが、N700系の普通車両の場合、シートの横幅がB席だけ他席よりも30㎜広いのです。
つまり、11号車の12、13列B席が、他の普通車席に比べていちばん余裕があるということになります。
こういう裏技を知っていて実際に使う人が、旅行会社の中の旅オタクにはけっこういました。
昔、581系という電車型の寝台列車が走っていたころは、パンタグラフの下の部分のみ、3段のB寝台が2段になっていて、上下に余裕があったため、そこをお得意さんに確保してあげる営業マンがいました。
また、某航空会社の端末を個人宅に引いて(有料ですよ)、デッドヘッド(=航空会社社員による業務としての移動搭乗)のCAの隣に席を確保していた人もいましたね。
そういう人は、航空会社とお付き合いがあって、座席の仕入れに知悉している人でした。
どんだけ雲の上の人が好きなんだと思いましたけれども。
私はやりませんでしたよ。
さて、富士山は全く見えなかったものの、名古屋に着くころには青空がのぞいて朝陽が差してきました。
予定通りアーバンライナーに乗車して桑名で各駅停車にのり、2つ先の伊勢朝日駅で下車します。
新横浜を6時ちょうどに出て、8時20分。
空は晴れあがっています。
今日こそは、鈴鹿峠まで詰めたいものよと思いながら、四日市宿を目指して走りはじめるのでした。