まだ入園者が少ないうちに広い公園内を自転車でひと通り巡ったあと、公園の東側にある海浜公園口へ向かいます。
前回、公園にある4つのゲートそれぞれにレンタサイクルのステーションがある旨を説明しました。
そのうち海浜口は車の駐車スペースが他のゲートに比べてやや小さいため、入園者が一番少なく、レンタサイクルがすべて貸し出されて出払ってしまうのがいちばん遅いはずです。
(台数も他3か所のステーションのうちもっとも台数が少ないと思われますが)
ところが、9時を回ったばかりというのに大人用の自転車はすべて返却まち。
小人用自転車と、子ども載せ自転車がわずかに残っているだけです。
なお、関東にある国営公園のうち、昭和記念公園、武蔵丘陵森林公園のサイクリングコースが補助輪付き自転車の走行を禁止しているのに対し、ひたち海浜公園のサイクリングコースは保護者同伴の条件はあるものの、規制していません。
レンタサイクルの小人用にも補助輪付きのタイプがあります。
子どもに自転車の乗り方や交通・走行マナーを教えるには、とても条件のよい公園だと思います。
子どもの事故を心配して、頭から子どもが自転車に乗るのを禁止する親御さんがいますが、こういう場所できちんとした乗り方を教え、そののち近所で乗るときには危険な箇所がどんな場所か親子で確認しあってから、自転車走行を許すというのはどうでしょう。
自分は同じように事故リスクのあるマイカーを好き勝手に運転しながら、子どもには「危ないから自転車に乗ってはダメ」というのは矛盾していると思います。
さて、入園券を保持している限り、当日の再入園は可能ですからいったん海浜口を出て、坂を下って海へ向かいます。
国営公園の拡張計画では、この下にある浜辺も公園として整備される予定になっておりますが、どんな塩梅になっているか見てみたかったのです。
海沿いの県道に出ると、たしかに目の前には白砂の海岸が広がっています。
ここは鹿島灘の北側にあたります。
ところが、道と浜の間には二重にフェンスが張られて浜に立ち入ることはできません。
右手をみると阿字ヶ浦海岸の向こうに磯崎とよばれる岬がみえます。
あの向こうに回り込むと那珂川の河口があり、その左岸が那珂湊、右岸は大洗です。
那珂湊までは海沿いの道を8.5㎞の道のりですから自転車でゆっくり走っても40分ほどです。
左手に目をやると、茨城港常陸那珂港区の向こうに東京電力常陸那珂火力発電所の煙突が見えます。
あの発電所は石炭を燃料にしていて、その向こうにある原発同様に東日本大震災のときは津波の被害を受けているのですが、話題にもなりませんでした。
その向こうに見えるガントリークレーンは、茨城港日立港区でしょう。
茨城港は、那珂湊港区も日立港区もRORO船の定期航路が多く、自動車の輸出入量が愛知県の豊橋港に並んで多く、やはり東日本大震災の時、ここで某ドイツ車が大量に津波に押し流されておりました。
なお、正面の海岸は岩場もなくて見た目は穏やかな渚です。
ただ、「公園予定地」の表示はありましたが、同様に「水遊び、入浜禁止。沖へ流れる海流があります」という立札もありました。
どうも強力な離岸流が発生するようです。
自分も子どもの頃に鎌倉の海で巻き込まれた経験があるのですが、背後から大波に飲み込まれた途端、水中でくるくると体が回転し、数秒後に海面から顔を出すと遥か沖合にいることに気が付きました。
まるで細長いチューブの中を大量の水とともに流された感じです。
慌てて戻ろうとするのですが、いくら泳いでも岸が遠いままです。
(離岸流に巻き込まれた場合は、最初は岸と並行に泳いでから戻るようにしないと流れに逆らったままになります)
泳げるとか、泳げないとか関係ありません。
あれは本当に怖いですよ。
それからひたちなか海浜鉄道の阿字ヶ浦駅に向かいました。
ひたちなか海浜鉄道湊線は、勝田駅と阿字ヶ浦駅間14.3㎞を結ぶ第三セクターのローカル線です。
もとは茨城交通の鉄道路線ですが、2008年に同社は鉄道事業から撤退しています。
地元では「湊線」の愛称で呼ばれているように、利用旅客の殆どは那珂湊から勝田間に集中しており、そこから先の阿字ヶ浦までは夏季の海水浴客以外観光客の利用は見込めませんでした。
地元の利用客が自家用車を運転できない交通弱者に限られてしまうというのは、地方鉄道共通の悩みです。
そのため、ここ阿字ヶ浦駅でも銚子電鉄のぬれ煎餅を販売したり、日本全国から旧国鉄の古色蒼然たる気動車をかき集めて映画のロケーションに使用してもらったりと、涙ぐましい努力を続けています。
ただ、海浜公園口から阿字ヶ浦駅まで直線で2.4㎞、最寄りの南口からはわずか1.4㎞で、海浜公園の利用客増加に伴い、阿字ヶ浦駅から公園前までの延伸計画が持ち上がっているそうです。
時刻表をみると、1時間に一本ないし二本です。
目立つのは、平日は朝の4時台に勝田行きの上り列車があることです。
これに乗って勝田駅でJR常磐線の普通列車に乗り換えると、朝の7時半には上野に到着します。
関東のJRのなかでも常磐線勝田駅始発の上り列車はかなり早起きの部類です。
一番列車はやはり4時台からあって、これを利用すれば品川に7時前に到着します。
常磐線の水戸から都心までの足を考えた場合、並行する新幹線もありませんし、高速バスとの競争も激しいでしょう。
ただ、同じ条件にある山梨県甲府から中央線で都心に出る場合、一番列車に乗っても新宿も東京も8時過ぎに到着するのとは事情がだいぶ違うと思います。
そんなこんなしていると、時刻は9時半になりました。
10時の開店にあわせてお店へ飛び込んで、早いお昼を食べてしまおうという目論見です。
午前10時に昼食なんて早すぎると思うかもしれませんが、3時起きしている身には遅いくらいです。
海浜公園の中には食事場所が少なく、混雑するようになってから露天なども出るようになりましたが、節約と健康のためにお弁当をつくって持ってくる家族が殆どです。
周辺のショッピングモールまで行って食事をするという手段もありますが、車を駐車場から出してしまうと二度と戻れなくなってしまうので、徒歩で往復するのは(いちばん近いゲートからでも片道800m)現実的ではありません。
そこへゆくと、自転車なら5㎞圏内なら時間もかけずに往復できますし、駐輪の心配もありません。
ラ・タブール・ドゥ・イズミさんを選んだのは、このお店がスコーンと紅茶の専門店だからです。
単純に英国製自転車で食べに行くなら、やはり英国がモティーフの飲食店かなと思った次第です。
でも、実際行ってみたら英国風というよりは、フランス風でした。
名前もフランス語だし、ある程度予想はしていたのですが。
早速お店に入ると、さすがに10時の開店と同時に入ったため、お土産として紅茶やスコーンを買っている人はいても、食べる人はほとんどいません。
スコーンは高カロリーと聞いていたので、野菜中心の季節のプレートを注文し、食べ放題の4種(メイプル、プレーン、きなこ、よもぎ)のスコーンをいただきます。
しかし、スコーンってそんなに数が食べられないと思っていたら、ジャムも4種類あり、これで4×4の16種類の組み合わせが楽しめるということになっています。
自分としては、スコーンはアフタヌーン・ティーにいただくおやつであって、食べる時間もちぐはぐな感じでしたが、若い時のようにガツガツ食べる習慣はとうに失せているので、ちょうど良かったのかもしれません。
お店の雰囲気は若い女性が好みそうな感じで、オジサンが場違いなのはもちろんのこと、家族連れも大人数だとちょっと辛いかなという雰囲気でした。
腹ごしらえが済んだら、また海浜公園に戻ります。
途中臨時駐車場の前を通りました。
時刻は11時ちょっと前です。
どうやら常設の駐車場はどこも満車となり、警備員が高速の出口からこの臨時駐車場へ誘導しているようでした。
この臨時駐車場は、正確にいうと総合運動公園の臨時駐車場であって海浜公園のそれではないのですが、車を置いた人たちはみな海浜公園に向っています。
連休の海浜公園はどんなことになっているのだろう?
自転車で彼らを追い抜きながら、怖いもの見たさで公園に戻ると…。(つづく)