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Channel: 旅はブロンプトンをつれて
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信州姨捨山・田毎の月にブロンプトンをつれて(その8)

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聖湖の端、猿ケ馬場峠から国道をくだり、途中で右へ折れてJR篠ノ井線の姨捨駅付近まで降りてきました。
ふと見ると、リゾートトレインが姨捨駅に入ってゆきます。
あれは長野~松本~白馬を往復する「リゾートビューふるさと」が折り返してきて長野へ戻る途中でしょう。
今九州方面ではやりのクルーズトレインの先駆的存在です。
ああいう列車にBromptonをつんで、停まる駅ごとに自転車で散策させたら、松本零士さんの漫画「銀河鉄道999」みたいで面白いと思います。
大糸線なら「塩の道」、しなの鉄道なら「北国街道」小海線なら「佐久往還」みたいにどこか標高の高い駅で降りて自転車に乗ってもらい、下の駅でまた拾うなんてことをやったら喜んでもらえると思いますよ。
ついでに同行するガイドさんにメーテルみたいな仮装してもらって、黒いBromptonで案内してもらって…だんだん発想がオタク的になっているのでここで止めます。
イメージ 1
(リゾートトレインと、姨捨駅から夕照の善光寺平を望む)
 
夕方月の出の時刻に棚田の頂上部へきたものの、どこに月があるのやらさっぱりわかりません。
そこで、月の出る方角がどちらからなのか、改めて気になり出しました。
月も太陽と同じく東から出て西へ沈みます。
201561日の月の出は長野市で1726分。月の入りは午前333分です。
方位角は北0度南180度として月の出が約109度月入りは253度です。
と数字で行っても分かりませんよね。
しかし109度ってことは東南の方角には間違いありません。
イメージ 2
(6月頭の18時20分ごろ。まだ明るくて月は出ていません)
 
その方角にあるのは…姨捨山です。
ん、まてよ、月があの山の彼方ということは、もしかして、もっと遅くならねば月は出ないということに気がつきました。
もう千曲市の循環バスはありませんので、沈みゆく太陽を追いながら、もう一度稲荷山駅へと向かいます。
太陽が山の端に隠れると、辺りは急速に暗くなってゆきます。
まだ真夏には遠い時期なので、残照があまりないようです。
でも月はいっこうに出ません。
イメージ 3
(月の出が山陰に隠れている代わりに、明るくてライトは必要ありません)
 
稲荷山駅へ到着すると、暗くなった分昼間より寂しい雰囲気に包まれています。
1911分の上り松本方面行(現在は1932発)に乗車してまたまた姨捨駅に戻ります。
駅で整理券をとっておいて、車内で切符を買うところは先ほどと同じです。
車窓に目をやると、既に日はとっぷりと暮れて、夜の闇が山肌を包んでいます。
姨捨駅へは1922分に到着しました。
イメージ 4
(だんだん暗くなってきました)
 
すると何やら無人駅の姨捨駅がなんだか賑わっています。
駅舎に人が何人かいて、折りたたみ椅子を並べています。
待合室には臨時の売店まで出ています。
はて、何事かと思っていると、「無料ですからどうぞ」と声をかけられ、お味噌汁をいただきました。
だんだん涼しくなってきているのでありがたいです。
「何の準備をされているのですか?」と訊ねると、「観光列車が来るのよ」とのお答えです。
イメージ 5
(再び稲荷山公園駅まで走って姨捨へ戻る電車に乗ります)
 
それで思い出しました。
「ナイトビューおばすて」とかいうツアー列車の存在を。
先ほど見たリゾートビューが名前を変えて再び長野から折り返してきて、ここで夜景をみるミニクルーズトレインをやっているのです。
たしか長野を19時前に出て、21時過ぎに戻る列車です。
姨捨駅では、ボランティアのガイドさんが夜景を説明し、駅舎では伝説と民話の語りがあります。
おそらく函館夜景観光のような、夕食後の夜観を狙っているのでしょう。
主なターゲットは長野市内のホテルと戸倉上山田温泉の宿泊客だと思います。
姨捨駅での催しは無料で自由に参加できるそうで、私のような部外者も飛び入り参加歓迎なのだとか。
イメージ 6
(姨捨駅に着いた時は完全に日が暮れていました)
 
やがて件の列車が到着すると、たくさんの人が下車してきて、姨捨駅は見違えるほどに賑わいます。
夜景についてだけなら、秋から冬にかけての方が、空気が澄んでいてきれいです。
夏であればこの時間ならぎりぎり山のシルエットが見えるので、ガイドさんから山の名前を教えてもらうのも良いかもしれません。
しかし、肝心かなめの月がまだ出ません。
イメージ 7
(左;物語を聞く部屋 右;お味噌汁のサービスコーナー ちょうど涼しくなってきたのでありがたかったのです)
 
私はそれが目的なので、賑やかになった駅をあとにして、棚田の方へBromptonで走ってゆきました。
すると、街灯もなく真っ暗です。
ああ、ヘッドライトをもっと明るい製品に付け替えてくるべきでした。
月はまだ見えません。
真っ暗な田んぼの向こうに、夜景は見えるのですが、今日のお目当てではありません。
BGMのカエルの大合唱を聴いていたら、「諦めろ」と言われている気がしてきました。
イメージ 8
(列車が着くと、けっこうな人数の人が下車してきて、ホームから写真と撮っていました)
 
今更ながらに気付いたのですが、姨捨の棚田自体が北西向きの斜面に広がっているのです。
つまり、上から下を俯瞰しながら、かつ田に映る月を撮影するとしたら、明け方しかチャンスはありません。
つまり午前3時とか4時に来ればもしかしたら…という世界なのです。
ここでは、月が真上にきたとしても、谷方向ではなく山側にのぼるわけですから、善光寺平と月を同時に収めようとすれば、月が沈む時間帯を狙うしかありません。
イメージ 11
(水田に映る月を撮影するにはこういうことになるわけで・・・)
 
おかしいな、昔の人はどうやって鑑賞していたのだろうと思い、帰ってから調べました。
すると、なんと江戸時代は秋にお月見の会を開いていたというではありませんか。
それも、わざわざ稲刈りの済んだ田に水をひいてやっていたといいます。
なんだ、そういうことだったのでしたか。
そのときの私は、夜更かしの習慣も自分にはないしと、潔く下までくだってしなの鉄道に乗車し、ホテルへと帰りました。
イメージ 9
(駅をあとにして、棚田へゆくと、当たり前ですが街灯が全くなくて、田は暗がりの中に沈んでいました)
 
もし、棚田に映る月をどうしても撮影したいということであれば、東南から南へむかって開けた斜面の棚田をさがして、そこで撮影した方が良いと思います。
最初からお断りしている通り、田に映る月はひとつしか映りませんので、予めご承知おきください。
次回、この話の後日談を加えて、「姨捨山へブロンプトンをつれて」シリーズを終わりたいと思います。
イメージ 10
(あまりの暗さにホテルへ戻りました)



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