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Channel: 旅はブロンプトンをつれて
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軽井沢にあった平安堂書店

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平安堂書店は、昭和の初めに長野県の飯田市で創業した本屋さんです。
チェーン展開がすすんで、長野県内で数多くの店舗を運営していました。
しかし、最近になって創業者から人手にわたり、整理統合がすすんでいるようです。
本好きの私にとって、旅先で地場資本の本屋さんによるのは、外せない楽しみのうちのひとつです。
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特に軽井沢は、
・東京に近くて新幹線が通じてからは短期滞在でもちょくちょく行けるようになったこと
・避暑地として申し分なく文化のかおりがする街であること
(実際に多くの作家の先生方が滞在しているし、周辺も含めて作品を残している)
・中山道の宿場でもあり、歴史もあること
・別荘族のためのスーパーやパン屋さん、レストランも多く、食事場所の選択に事欠かないこと
・冬場は(人工雪ですが)スキーも楽しめること
と気軽に訪れることができ、なおかつゆったりと滞在できる場所なのです。
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(あの店では本との出会いがありました)

そんな軽井沢で重宝していたのが、平安堂軽井沢店さんでした。
大きなスーパーの隣にあって、食材を買った後に立ち寄って信濃毎日新聞社をはじめ、地元の出版社の本をひやかすのが楽しみでした。
とくに信毎の本は、旅や歴史、山や自然に関する書籍が多いのです。
場所柄からか、英語の接客会話集という本を見かけたこともあります。
旅行者の英会話本はたくさんありますが、フロントや給仕側の英会話集ってなかなかないのです。
そんな平安堂軽井沢店が2015年11月に閉店していました。
これで軽井沢近辺に滞在して大型書店にゆきたくなったら、佐久インター付近まで車で走らないとありつけないことになってしまいました。
ブロンプトンで本を買いに行って信濃の本に出会い、ホテルにある薪ストーブの前で読書にふけるという楽しみは、過去のものになってしまいました。
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原因は書籍のネット販売による業績悪化だそうです。
わたしは本屋さんや図書館まで足を運び、背表紙を眺めたり、手に取ってぱらぱらとページをめくり、斜め読みするのも本と付き合ううえでの、儀礼のようなものだと思っています。
どうしても手に入らない古書などはネットを利用することもありますが、「本との出会い」を大切にしたいのなら、やはり本屋さんだと思います。
本と自分との関係をきちんと紡いだ方が、あとあと本から学ぶことが多いのです。
通販を頭から否定はしませんが、ネットで購入した本は出会いのプロセスがなかった分、読後にまで印象に残る内容が少ない気がします。
本屋さんという文化を守るためにも、旅先ではできる限り本屋さんに立ち寄ろう、荷物にならなければ、必要な本は帰ってから取り寄せるのではなく、なるべく買って帰ろうと思います。
外国の本をたくさん買って帰った若いころを思い出しながら、そんなことを考えていました。
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