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横浜シーバスにブロンプトンをつれて(その4)

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ピア赤レンガ乗り場からは、神奈川県庁本館のKING、旧横浜税関のQUEENの二つの塔は良く見えていますが、残念なことに横浜開港記念館のJACKが見えません。
これらの三塔の見える位置や角度によって、沖合の船は停泊場所を決めていました。
なぜ沖合に投錨せねばならなかったかといえば、開港から40年以上も横浜港は大型船を横付けできるふ頭や桟橋が存在しなかったからです。
旅客も荷物も、まるで現代の小さな離島航路のように、本船から小舟や艀に乗り換えないと上陸はかないませんでした。
たまに映画やドラマで大型蒸気船から開港間もない明治の横浜港へタラップで上陸する情景がでてきますけれど、あれは考証が間違っています。
なぜふ頭が整備できなかったかといえば、単純にお金がなかったからのようです。
ではどこからお金を持ってきて港湾整備を行ったのか…という話は長くなるので別の機会にいたしましょう。
イメージ 1
(ピア赤レンガのりば)

シーバスがピア赤レンガ乗り場を出発すると、左手に赤レンガパークとその背後にランドマークタワーという景色に出会います。
赤レンガ倉庫は、明治末期から大正にかけて竣工した保税倉庫です。
保税とは、船から陸揚げした貨物を税関による輸入許可がおりないまま、つまり関税をかける前の状態のまま、貨物を留置・保管するための倉庫でした。
いまの横浜港では、財務大臣が指定した保税地域が本牧、山下、大黒の各ふ頭にあります。
空港でいえば、飛行機を降りてから税関や入国審査を受ける前までの場所と同じで、当然一般人は入れません。
イメージ 2
(KINGとQUEEN。じつは結婚式場の鐘がJACKと誤認しやすいのですが、場所が違います)
 

その向こうが新港ふ頭です。

最初に見えるのが横浜海上保安部の防災基地で、一番陸側に工作船資料館が見えます。
2001年の暮れに発生した九州西南海域工作船事件の工作船が展示されています。
実は無料で入場できて、夏場は冷房が効いている場所なので、お金をかけずに涼むことができます。
展示している内容が内容だけに、ここではデートのカップルも少なく、わりにゆったりとできます。
海側には巡視船の「あきつしま」(PLH-32)が停泊しているのをよく見かけます。
あきつしまは基準排水量6,500トン、全長150m全幅16.5mで海上保安庁の中ではもちろん、世界的にも指折りの大型巡視船です。
後甲板に大型ヘリを2機も運用できるヘリポートを備え、これだけ大型の船体ながら速力は25ノット(46/h)とかなりの俊足なのです。
2015年に天皇陛下がパラオを訪問されたとき、この船が宿泊施設として改装を受けたため話題になったことも記憶に新しいと思います。
イメージ 3
(海から見る赤レンガ倉庫)
 
横浜海上保安部は、正式名称は第三管区海上保安部といって、関東地方から東海地方の太平洋沿岸だけでなく、伊豆や小笠原などの島嶼部も管轄に入るため、管理する船の交通量が多く、カバーする海域も広いのが特徴です。
そのせいか、あきつしまと同型艦のしきしま(PLH-31)がふ頭の反対側に停泊していることもよくあります。
最新にして最大の巡視船が2隻とも母港としているわけですし、日本は四方を海に囲まれているわけですから、沿岸警備や海上における警察権に興味のある方はホームページをのぞいてみてください。
海上保安庁のホームページには一時間ごとの相模湾の潮流の変化や波高が記されていて、サーフィンやシーカヤックなどマリンレジャーの情報として役立ちそうです。
イメージ 4
(海上保安庁の巡視船「あきつしま」)
 
海保の基地を左にみながらまわりこみます。
その向こう北側にあるのが新港ふ頭の旅客ターミナルです。
奥には煉瓦壁の新しいショッピングモール、マリン・アンド・ウォーク・ヨコハマが見えています。
横浜港における客船のターミナルは大さん橋だけかと思っていたのですが、新港ふ頭にもあったのです。
ただし、タグボートの基地の後ろにあるその建物は、どう見ても倉庫でした。
いま2020年に開催されるオリンピックにあわせ、クルーズ船が複数停泊できるように、この新港ふ頭と大黒ふ頭で旅客船のためのターミナルを建設中です。

大型客船は文字通り動くホテルそのものです。

大黒ふ頭の方は、ベイブリッジをくぐれない大型船のための接岸施設だとききました。
行ってみればわかりますが、あちらはかなり殺風景な場所で、対岸の横浜中心部とのアクセスはお世辞にも良好とはいえませんから、新港ふ頭ともども交通インフラの整備を期待したいところです。
新港ふ頭を迂回して、インターコンチネンタルホテルの前にあるぷかり桟橋に到着です。
イメージ 5
(ランドマークタワーからインターコンまでが見えてまいりました)
 
横浜グランドインターコンチネンタルホテルは、船の帆の形をしたとても特徴的なホテルです。

インターコンチネンタル・ホテルズグループは、ホリディ・インやクラウンプラザなどのブランドネームを合わせたホテル総数4,500軒の巨大なホテルチェーンです。

業界では「インターコン」と略して呼ばれることが多いのですが、フランチャイズで勢力を伸ばした歴史もあって、各ホテルは独立して運営されています。
もともとパン・アメリカン航空傘下のホテルだったため、搭乗員が利用するのがこのホテルだったそうです。
まだ海外旅行が一般的でなかった時代、「兼高かおる世界の旅」という番組が日曜日の午前中にありまして、それが海外の文化や暮らしを知る数少ない機会でした。
今のように誰でも外国人や外国語に触れ得る環境ではなかったので、海外を日本語で紹介するメディア自体が珍しかったと思います。
番組の協賛がパン・アメリカン航空だったことから、当時は海外旅行へのあこがれイコール「パンナム」ですし、ホテルは「インターコン」だったのです。
イメージ 6
(海保の「しきしま」。あきつしまとのちがいが判りますか)
 
インターコンチネンタルホテルの脇が大岡川の河口になります。
元町の西を流れる中村川と大岡川にはさまれた地域は、中世のころは釣り鐘の形をしたような入り江が深く広く南へ入り込んでいたそうです。
関内も伊勢佐木町も海の中だったら、山手や野毛山からの眺めは美しかったことでしょう。
国際橋をくぐって帆船の日本丸が展示されている二号ドッグを右に見て、汽車道のトラス橋、北仲橋をくぐれば、京急線と並行して上大岡方面へさかのぼることができます。
春は両岸の桜並木が見事で、横浜中心部に泊まって川沿いをお散歩するのなら、この大岡川を遡上すると面白いかもしれません。
現代の鎌倉街道(県道21号線)はこの大岡川から日野川の谷を遡上し、根岸線の港南台駅の西で峠を越えて、朝比奈からの道と合流する公田へと下っていて、横浜から鎌倉へ自転車で行くのには、このルートを通るのが最短です。
ブロンプトンなら北鎌倉まで1時間程度で走れます。
また大岡川本流を源流へ向かってたどれば、氷取沢市民の森へと向かうことになり、笹下釜利谷道路の二本松隧道を越えれば、金沢文庫方面へと下ることが可能です。
イメージ 7
(正面の電気がついている建物がマリン・アンド・ウォーク・ヨコハマ
 
横浜港へ注ぐ川としてこの南西へ向かう大岡川水系のほかに、帷子川水系と旧東海道の神奈川宿を流れている滝の川を覚えておきましょう。
帷子川水系というのは、シーバスの終点であるベイサイド・クウォーター付近が河口にあたり、横浜駅付近から西方向へとのびる谷間を流れてくる河川の総称です。
滝の川は新横浜や六角橋など、北西方向から横浜港の最奥部へと流れてくる川です。
こうして湾に注ぐ主な河川とその流域を覚えておけば、地形を広範囲に把握して、どこへ向かうにはどの川を遡上して行ったらよいかがわかります。
イメージ 8
(現代ならさしずめランドマークタワーとインターコンの位置関係で船の場所がわかります)
 
たとえば、東京湾にそそぐ川は多摩川水系と荒川水系に大別されますが、その間に南から順に呑川、目黒川、古川(渋谷川)、荒川水系に属するけれど隅田川へと注ぐ神田川などが、西から東方向へと流れており、自由が丘は呑川水系、三軒茶屋は目黒川、原宿が古川、高田馬場や池袋は神田川の流域にあることを知っておけば、移動に役立つのです。
むかし「ドラゴン桜」というドラマにメモリー・ツリーという名の学習法が紹介されていましたが、流域の本流と支流を幹と枝葉にたとえ、そこに属する街を樹木に実る果実として見立てれば、東京という複雑な尾根と谷間をもつ地形も比較的簡単に記憶することができます。
そんな地図があったら面白いのにと思いつつ、こんど時間があったらイラストレーターで描いてみようかなと思うのでした。
(つづく)
イメージ 9
(大岡川の河口付近にて。左の大観覧車はコスモクロックといい、できた当時はクイズ・タイムショックの時計みたいだといわれたものです)


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