えっ、北海道の山中へ行くわけでもなしに、熊鈴なんてブロンプトンに乗る際に使うの?と思われそうですが、けっこう重宝しています。
私はときどき、山梨や長野の山へブロンプトンをつれて分け入ることがあります。
『登山+自転車+温泉?』という組み合わせで「トライアミューズ」と勝手に呼んでいるのです。
そんなとき、本当に熊鈴をつけねばあぶない道を走ったり、歩いたりするのです。
登りのバスで運転手さんから
「なに?どこ行くの?○×■?あー、あそこは熊が出っから気いっけって行ってよね」
なんて言われたこともあります。
最近は山の植生も変化していて、熊の行動範囲もずいぶん里に近い側へ移動してきているそうです。
若いころはオートバイで入っていたので、エンジン音がかなり遠くからきこえるためか、どんなに山奥であろうと、熊さんと出会うことはありませんでした。
(その代わりにカモシカさんやお猿さんとは出会いました)
でも、自転車や歩きの単独行になると、やはり防寒具兼雨具、食料や飲料とともに、クマ除けは必須アイテムになります。
とくに音もたてずに高速移動する自転車は、車が滅多に入ってこない行き止まりや支線林道で、熊と鉢合わせになる可能性があります。
出会ってから死んだふりでは遅いですし、なんぼブロンプトンが速くても、一本道の下り前方に熊の姿を認めたら、それこそ死ぬ気でいま下ってきた坂を登り返さねば生きて帰れぬではありませんか。
正しい対処方は、食料や、ザックを熊に向かって放り投げて注意を惹かせておき、視線は逸らさずにゆっくりと後ずさりすることです。
しかし、実際に出会った経験のある人にきくと、よほど肝のすわった人でもなければ、冷静にそんな動作はできないらしいです。
とはいえ、慌てて回れ右をし、背中をみせて遁走すると、却って追いかけてきてしまいます。
そうなると、熊は前足が短い関係で、下りよりも上りの方が速いので、まず振り切れないそうです。
また、彼らは木登り名人なので、自転車を捨てて木に登ってもダメです。
登山をやっている人によると、熊除けには携帯ラジオも有効らしいですが、山中で聞きっぱなしにするのもなんだか変な気がして、熊鈴にしました。
ところが、つけて走ってみると、これがチリーン、チリーンとなかなか良い音色なのです。
ちょっと天台宗や真言宗などの密教系の行者さんが鳴らす金剛鈴みたいな澄んだ音です。
これをハンドルやサドルの下など、駆動系と干渉しないところにあちこち取り付けてみたのですが、いまいひとつです。
走行中に連続して鳴らないのです。
とくに下り坂に顕著なのですが、漕いでいる動きには鳴らないで、道路の凹凸に反応した時だけ音がします。
そこで、以前ご紹介したDeuterのザックにつけたら、鳴りっぱなしというわけではありませんが、適度な間隔で鳴るようになりました。
ただ、うるさい位に連続して鳴らしたいということであれば、取り付ける位置よりも、鈴の数で勝負するしかないと思います。
その場合、私が使っているような比較的重い鈴よりも、小さくて軽いものを複数個つけた方が良いかもしれません。
また、取り付ける際にも、鈴が空中にぶら下がるような位置に取り付けるようにしてください。
車体や衣服に鈴そのものが触れていては、鳴りませんし、かりに鳴ったとしても、くぐもった音しか出ませんでした。
私は登山者のいない杣道とか、滅多に車の走らない林道で使用するようにしています。
さいごに、ザックにつけたままにして街中を走ったら、思いがけず別の効用を見出しました。
歩道を先行している歩行者が、自転車が後ろから来ると気付いてくれるようになったのです。
朝にCRでランニングしている人にもきこえるようです。
どうも音が高いせいか、両耳をイヤホンで塞いでいる人まで振り返ってくれます。
たしかに街中で鈴の音がしたら振り返るかもしれません。
(これでヘルメットの代わりに網代笠を被り、お経をブツブツ唱えたら…というのは冗談です)
ともかくも、歩道では歩行者に対してはベルを鳴らさないことにしている自分には大助かりです。
絶えず鳴っているわけでもないので「うるさい」といわれる心配もありません。
ただ、電車に乗るときには車内で鳴らすと他の乗客から怪訝な顔をされてしまうので、ポケットの中に仕舞っています。
私の使用している熊鈴は「ハイマウント(HIGHMOUNT) マジックベアベル 13040」という2,000円前後の商品です。
一般的な山岳用品店で購入しました。
ただ、下記のサイトを見ると、熊鈴も周波数や音量によって500円から5,000円まで色々あるので、できたら音色を確認してから購入した方が良いかもしれません。