だんだんと暖かくなってきて、夏の兆しを感じる陽気の日もちらほらと増えてきました。
この季節になると、衣替えをいつにしようかと考える都度に思い浮かぶのが、ダイエットのことです。
きっと昨年の夏の装いが今年も着られるか、心配になるところからはじまるのでしょうね。
ということで、今回のお題は「ブロンプトンを使って痩せることができるか」です。
私はブロンプトンに乗るようになって20㎏近く痩せたことがありましたので、そこから導き出される経験則のお話を書きたいと思います。
「近代日本人に関して旅の原点をみつめたい」などと大仰に構えて旧東海道踏破の旅に出たものの、実はもうひとつ動機が裏にありました。
それは「ダイエットしたい」という切実な願いであったのでアリマス。
もともとスポコンが嫌いではない自分ですが、オジサンになるにつれだんだんと運動が面倒くさくなってきました。
(だって昔のようには体が思い通りに動かないし…)
それに、以前では考えられないほど代謝が落ちて、20代の中ごろから体格の割には食べることに愉しみを見出して以来、30代後半からお腹周りにどんどん肉がついてゆくのを実感しておりました。
これではいけないと、自転車(マウンテンバイク)通勤、早朝水泳、ランニングとどれを試しても失敗に終わり、もはやダイエット食による食事制限しかないと思い詰めていました。
そんなとき、「そうだ、大好きな旅でダイエットができないだろうか」と安直に思いついたのです。
そこで、お江戸日本橋から京都まで歩き通せば、いくら何でも痩せるだろうと考えたのです。
とはいえ、何か大きな目標を立てると挫折するのが自分の常なので、最初は日本橋から二つ先の川崎宿まで歩いてみて、それから先はそのあとで考えようと思いました。
そして一日かけて川崎まで歩いてみました。
そのときに、「せっかくだから、週末をつかって東海道をつなぎ、せめて箱根峠までゆこう」と決めました。
やがて箱根峠を越えたときには、京都までという目標に対して後戻りできなくなっていたのは、本編に書いたとおりです。
(2010年の夏のブロンプトンを買って間もないころ 保土ヶ谷宿本陣跡前にて 顎のラインからして悲惨です)そしてダイエットの方はどうなったかというと…これが悲劇をうみました。
まず、歩き方を知らないものだから、当初は足の裏の皮がむけました。
靴だって最初はウォーキングシューズでしたが、途中からクッション性の高いランニングシューズになりました。
次に歩き方はくふうしてみたものの、なかなか昔の人のように一日で40㎞歩くことができません。
競歩のようなフォームでチャレンジするものの、学生のときのように上半身が軽くないものだから、股関節、膝やくるぶしといったところに無理がかかり、午後から夕方にかけて痛くなってくるのです。
それでも一日に20㎞、25㎞、31㎞と距離を伸ばしてゆきました。
しかし、毎日歩くならともかく、たまの週末にまとめ歩きすると、その時だけ食事が進んでしまうので、全然痩せてゆかないのです。
この前にご紹介した藤川宿から岡崎宿にかけてまで来たときに、ついに一日で40㎞以上を歩いたのですが、帰りの新幹線の中でくるぶしがどんどん痛くなってゆきました。
家に帰ったら激痛が走って翌朝はズボンすら自分で着替えられなくなり、ついには松葉杖をつく羽目に。
いま振り返ると、太ったまま歩いたつけがもろに足の関節へと向かったのでしょう。
(それでもお医者さんは「歩いただけでそんなになるものかね」と半信半疑でしたが)
結局なんとか京都まで歩き通したものの、体重はお江戸を発った時と同じでした。
それから、東海道の旅が終わった後に、とても良い経験、というか一生の宝にはなったと思いましたけれども、残りの四街道を徒歩制覇しようとか、また歩いてお江戸まで戻ろうとか、そんな気力も体力も残っておりませんでした。
ここまでしても痩せられなかった私が、体重を落とせたのはブロンプトンのおかげでした。
あのままメタボ道を突っ走っていたら、今頃自転車に乗って街を散策しようなんて事業を起こそうと思うこと自体、無理だったと思います。
旧街道の旅という「その先へ続く旅」でも、ブロンプトンを買ってからは週末だけの運動にならず、平日も「トレーニング」と称して20㎞以上は走るようになったのです。
では、どうして習慣化するようになったのでしょう。
歩くにせよ、自転車で走るにせよ、プールに通うにせよ、鍵は「続けられるかどうか」にあることを気付かせてくれたのが、私のとってはブロンプトンでした。
考えてみれば当たり前です。
体重を落とすには二つの方法しかありません。
ひとつは、何らかの手段でこれまでしてきた食事の量や質を制限することです。
つまり入口を狭めるという考え方です。
もうひとつは、運動等をして代謝を高めることです。
これは出口を広げるという方法です。
両方やれば効果は絶大なのでしょう。
もちろん、旅でダイエットを実行する以前にも、いろいろと試しました。
食餌療法もやりましたし、スポーツクラブ通いも、毎朝のランニングも年単位でやりました。
でも、どこかでやめてしまったのです。
考えてみてください。
残りの一生について、ダイエット食品を食べながら過ごせると思いますか。
(それが万人にできるのなら、健康食品会社は永遠に利益を出し続けることになります)
毎朝5㎞以上をランニングし続けられますか。
どこかで自分では予測不能なアクシデントや生活環境の変化があって、それまでの習慣をやめてしまうということは多々あるのです。
ヒ〇ズダイエットとか、ブー〇キャンプとか、今もきちんと続けている人っているのでしょうか。
くどいようですが、痩せられるかどうかの答えは、続けられるかどうかにかかっていたのでした。
(2011年夏 まるで使用前、使用後みたいな写真になってしまいました)そして、ことブロンプトンに関しては、乗る、乗らないの狭間でオール・オア・ナッシングの関係が成り立ちにくいのです。
怪我をしたり病気をしたりして、乗れなくなっても、自然にまた乗って出かけるようになっている自分がいます。
この段になって、私は最初にブロンプトンを見にお店に行った時の店長さんの言葉を思い出しました。
あのとき、彼は確かにこう言ったのです。
「この自転車は、あなたの人生にぴたっと寄り添う、そんな自転車ですよ」と。
たぶん、わたしがブロンプトンを旅に活かすというテーマを持たなかったにしろ、自転車に乗る習慣はついていたと思います。
ではなぜ、食事制限やプール通い、ランニングや、マウンテンバイクによる通勤などが続かず、ブロンプトンに乗る習慣は続いているのでしょうか。
次回は、もっと具体的に、どこが他の習慣と違うのか、どうしてブロンプトンを日常生活のお伴として使い続けることができているのか、について書きたいと思います。
(大磯のお菓子屋さんの前にて 甘いものには目が無いんですよ)