滅多に見ることのないテレビですが、旅先で少しだけ見てどこだか分かってしまったので、書いておこうと思います。
表題の松本清張先生の小説は新潮文庫の短編集6「駅路」に収録されています。
中学生の頃は純文学だけでなく、社会小説や推理小説、サスペンスも読んでいて先生から「マセガキ」と呼ばれていました。
いつの間にか、読まなくなってしまいましたが時々テレビでやっていると見てしまうのです。
もちろん、関心はストーリーではなく背景にですが。
ドラマの舞台は山梨県北杜市塩川町にあるとされる塩川温泉。
北杜市にはそんな町も温泉も存在しませんが、フィクションですから。
でも、温泉マニア、林道マニアの私には、製作者がどこを念頭に置いていたかは何となくわかります。
台詞から推論してみます。
「大きな本屋だと、須玉駅まで行かないとありません」
「甲府駅だと、ここからローカル線で本線に乗り継いで3つ目ですね」
加えてご丁寧に、ドラマの中で非常線を張る為に地図を出して本物の地名混じりに丸をしてゆくシーンがありました。
・双葉町(中央道の双葉インター付近)
・甲斐峠(といいながら信州峠に丸印)
・日野春駅、穴山駅(どちらも中央線の駅です)
甲府から本線、支線を乗り継いで2時間という場所は、山梨県内では小海線沿線しかありません。
それから、中央道に須玉インターはあっても須玉駅は無く、それをいうなら韮崎駅でしょと突っ込みたくなります。
そこから推理すると温泉といっても鉱泉ということですから、北杜市の北部にある黒森鉱泉とか増冨鉱泉など、ではないでしょうか。
谷を流れている川も塩川ですし。
これらの温泉は県境近くの山奥にあるため、昔はいったん長野県の信濃川上まで行って、信州峠を越えた方が近かったのです。
そのルートならバス(現在は走っていません)と鉄道を乗り継いで甲府まで2時間はかかります。
タクシー等を使う場合、高須林道という抜け道を知っているなら、清里駅からがいちばん近かったりします。
今は道が良くなったので、韮崎駅からバス(それでも乗り継ぎ)が一般的な行き方ですけれどね。
夏はひまわりで有名な明野村も近いですから、ブロンプトンで行ってみるのも一興かと思います。
さて、最近は大河ドラマなど時代劇は馬が必要だったりセットのある関係で、山梨県内のロケが多いのですが、単なるサスペンスドラマでは、わざわざあそこまで行きません。
背景の山を見ていると、相模原市内にあたる陣馬山の下あたりか丹沢っぽいと思っていたのですが、旅館の玄関が出てきた時点で広沢寺温泉だとわかりました。
http://www.geocities.jp/gyokusuiro/index.html.html
ということは、旅館の中身は飯山温泉か七沢温泉あたりだろうと思ったら、やはり当たりでした。
http://www.tamagawakan.co.jp/
どうしても分からなかったのが、離れのような部屋をもつお庭です。
上記2つの旅館のうち、玉翠楼には離れがありますがもっと立派です。
あんな小さな離れのある旅館があったかしらんと思っていたら、撮影されたのは新横浜駅近く(片倉町)にある貸しスタジオでした。
http://shieian.com/about/
ふーん、横浜の住宅街で山梨の温泉宿の風景に似せるとは、さいきんテレビも手がこんでいると思った次第です。
なお、七沢温泉の近くには日向薬師という付近では有名なお寺があります。
よく見ると、私がお手伝いしているお寺と同じ宗派でした。
今度行ったらレポートしてみたいと思います。