○志賀高原のどこへ宿泊してアクティビティとして楽しむのか
前にも書いた通り、自転車でのダウンヒル散歩を楽しむのであれば、志賀高原内、それもなるべく上部のホテルやヒュッテに宿泊するのが一番です。
極論をいえば、渋峠ホテルか横手山ヒュッテに宿泊すれば、最高です。
運がよければ雲海に沈む夕陽や、横手山山頂に登ってご来光を眺めることだってできます。
しかしその反面、山の上ですから街中に宿泊するような楽しみ(たとえば夜飲みに出歩くとか、露天の温泉に浸かるとか)はできません。
(横手山ヒュッテは渋峠から宿の送迎になります)
自分が子どものころは、志賀高原は冬のスキーシーズンだけでなく、夏の避暑シーズンも賑わいがありました。
同じ長野県の白馬をはじめとする北安曇との違いは、やはり温泉があることと、山の上だから標高が高いので日中でも涼しいのです。
ところが、余暇をどう過ごすかというレジャー行動そのものの構造変化があり、スキーブームの終焉にあわせるようにして、避暑の行楽客も減少してゆきました。
いまは予備校が受験生を集めて受験合宿をしているようですね。
志賀高原という場所はホテル等を経営する和合会という団体が、土地の所有から営業の権利などをがっちり握ってきたのですが、時代の趨勢からか、2008年ごろから外部資本の参入も認めるように会が方針を転換してきているようです。
長野オリンピックの際、某大手資本と地元が権利を巡って大揉めしたのを知っている自分としては、時代は変わったと感じます。
とにかく空いている宿をそのままにしておいたのでは商売にならないので、スポーツや受験などの合宿客を呼び込み、観光協会自体が集客のためのイベントをうって、なんとか足を運んでもらおうと努力しているのが現状だと思います。
顧客側からみると、地元の側にも原因の一端があったとおもいます。
それは、たんに山の上の宿はサービスが悪いとか物価が高いとかだけではなく、そもそも余暇活動というものはどういうものなのかという点を、ちゃんと提案してリードしてこなかったことです。
大学生から社会人になったばかりにかけて、海外で一人旅をしているとき、とくにヨーロッパやカナダのリゾート地では、他の旅行者たちがどんな行動をしているのかを観察していました。
私の目には宿泊客について、行動しているときと、そうでないときの差がはっきりしているというように映りました。
なかでも、旅に出ながら日中に宿で安静にしている人が結構いたのには驚きました。
わりと良いグレードのホテル等、日中はラウンジやレストランでゆっくり本を読んでいる人がたくさんいたりして、ホテルもそうした人たちを無理に追い出したりはしないのです。
これは安宿のロビーでも、リゾート地の喫茶店やレストランでもよく見られた光景でした。
もちろん、スマホはおろかノートパソコンも携帯電話もない時代ですよ。
いま、街中や旅先でノートPCやタブレットを開いている人を見かけます。
彼らは仕事をしているのか、旅の情報を仕入れているのか分かりませんが、どうしても仕事をしているようにも見えてしまいます。
あの当時、現地の人たちに「どうして仕事や勉強道具をここへ持ってきてやっている人がいないの?」と質問したら、「だって休みの日まで旅先に出て仕事しているって、情けないじゃない」って返されたのを覚えています。
旅に出たら、ボーッと何もしないでいるのもひとつの楽しみではないでしょうか。
それはスキー場も同じで、午前中雪質の良い時間帯に数本滑ったら、午後はもうずっとホテルで読書したり、コンドミニアムに宿泊して街のスーパーに出て夕食の食材を購入したりする人が、あちらではかなりいました。
自分は「リフト券のもとをとらねば勿体ない」と強迫的に滑っていた時代にです。
だから、今回の旅も頂上まで行って自転車で下ったら、あとは宿泊施設に入ってのんびりと温泉にでも浸かるとか、温泉街を浴衣で歩いて射的やスマートボールに挑戦してみるとか、せっかくブロンプトンがあるのだから、ちょっと近隣の街までバスや電車で出て、のスーパーやホームセンターを覗いてみるとか、そんなスケジュールで体験してみることをお勧めします。
なにせ、夏の山は午後になったら雲が出て、外を走っていても景色が楽しめないことが多いですから。
ということで、宿泊地をどこにして志賀草津道路を楽しむのか、長野側から考えると次のようになります。
1.志賀高原内
冒頭に書いた通りです。
2.湯田中温泉・安代温泉・渋温泉
湯田中駅は長電バスの出発点です。
温泉街は寂しくなってきていますが、宿泊施設も多く長野電鉄を利用すれば信州中野、須坂、長野の善光寺までブロンプトンで下って行って、帰りは電車という手がありますので、面白いと思います。
さびしいと書きましたが、外湯や射的屋などがあって、昭和の雰囲気を色濃く残しています。
また、様々なタイアップイベントを催して、集客努力をしています。
さらに駅からすぐの山ノ内町役場の隣に、町立の蟻川図書館があります。
長野県って教育県で有名で、こういう施設は結構充実しています。
3.長野から湯田中までの長野電鉄沿線
長野電鉄沿線で、駅に近い温泉は湯田中以外にはありません。
節約のためにビジネスホテルに泊まろうにも、沿線途中にはあまりありません。
街中に宿泊するのなら、長野駅から善光寺付近のホテルに泊まることをお勧めします。
長野市内なら、食べるところや飲むところ、ショッピングに困ることはありません。
ただし、前述の通りブロンプトンのディーラーはありませんので、タイヤチューブくらいは持参しましょう。
4.戸倉上山田温泉
渋峠へのぼるには朝早くなってしまいますが、ここも温泉街はともかく、去年ご紹介した姨捨の棚田とか、善光寺の観光を含めて2泊以上の滞在なら楽しいと思います。
北国街道をじっくり探索するのも面白いと思います。
5.上田・小諸・佐久平
朝いちばんのバスで湯田中から渋峠へのぼろうと思ったらこの3つの駅のうち、上田だけが可能になります。
この3つの駅の周りには、お手頃なビジネスホテルが多いので、便利です。
また、別所温泉、菅平高原、高峰・湯の丸高原、北国街道、中山道、小海線沿線、軽井沢など、電車とバスを組み合わせたブロンプトンによる小旅行メニューに事欠かないのも、この地域に連泊するメリットになります。
6.軽井沢
いわずとしれた、日本を代表する避暑地です。
皆が軽井沢をレンタサイクルで走っている中で、横手山のてっぺんまでブロンプトンをつれて行って、草津温泉~長野原草津口駅へダウンヒルをして、そこから群馬・長野県境の峠の茶屋までバスを利用し、再びブロンプトンで中軽井沢までおりてくるなんて周遊をしたら、すごくクールなサイクリングになると思うのですが。
7.東京(つまり日帰り)
やってできないことはありませんが、経済的に勿体ないと思います。
このほかに、渋峠への到着は午前10時をまわってしまうものの、群馬県側の草津温泉に宿泊するという手があります。
ただ、草津の温泉街は山あいに開かれていて、かなり坂道が多いのです。
ためしにブロンプトンをつれて滞在してみたことがあるのですが、あまり自転車を機動力として活かすことができませんでした。
鉄道が走っているという点でも、湯田中温泉の方にアドバンテージがあると思います。