今の季節、自転車に乗って目的地へゆき、ブロンプトンをたたんで曳いてゆくと、訪問先の方から「自転車じゃ寒かったでしょう」と言われます。
ところが、私の方は額から背中まで汗だくで、温かい室内に入ると、暑くてたまらないのです。
そのままでは濡れた体で風邪をひきそうになるので、できれば着替えたいほどです。
それくらい、汗をかいています。
ブロンプトンをたたんで電車に乗るときも同様です。
着ている服と車内の温度がミスマッチなのかと思いきや、私より厚着している人もたくさん乗車されています。
しかし、自分で外を歩いていると自転車に乗っている人は寒そうに見えます。
その辺のギャップについて今回は書きたいと思います。
(冬の港の見える丘公園)〇歩くのは寒い?
結論から先に言うと、歩く距離とスピードによって、寒くもなり熱くもなるのだと思います。
都内や近郊で通勤や外回り営業しているぶんには、それほど長い距離を歩くことがありません。
速度だって、街中は信号も多いのでよほど焦っているのでもない限り、走ったり早歩きしたりはしません。
だから、歩いている時は寒く感じるのだろうと思います。
(舞阪宿の朝焼け)旧東海道を歩きとおしている時、冬は身体的にも精神的にもかなりつらいものがありました。
なにしろ京都へ向かう方角がちょうど偏西風が向かい風となって、暴風のような風が正面から吹き続けてくるのです。
いまご紹介している吉田宿(豊橋)から宮の渡し(熱田神宮)にかけてと、鈴鹿峠から草津宿に向かう道筋は、幾分進路が北西に触れる分、冬場はもろに正面から突き刺すような寒風をくらいます。
これは歩いたりブロンプトンで走ったりしてわかったことなのですが、愛知県も豊橋寄りならまず雪が降ることはありませんが、名古屋市内は積もることはまれでも、冬期はけっこう降雪があります。
鈴鹿峠から先は、峠自体が白くなっているのはもちろん、滋賀県側の琵琶湖へ向かってくだってゆく道など、冬はどんよりして雪交じりで風が吹き付けてくる日もあります。
ウィンタースポーツや通年でバイクに乗っている人ならご存知の事とは思いますが、向かい風を受けると体感温度は一気に下がるのです。
そんなとき、自ら身体を温めようとするのなら、かなりの速度で歩き続けるしかありません。
(名電赤坂駅 東海道赤坂宿)視点を広げて考えてみましょう。
たとえば、一日のうち8時間かけて40kmの距離を歩くとします。
単純計算すれば時速5kmということになりますが、実際はお昼を食べたり信号待ちしたり、道を間違えたりと、いろいろな条件が加わると、かなりのハイペースで歩かないと8時間で40kmの歩行は適わないことがわかります。
反対に細かく考えてみます。
国道など、100mごとにコーンが設置されていますから、腕時計の秒針を確認しながら歩いた経験があります。
100mを1分(60秒)、つまり時速6kmになるわけですが、走らずに荷物を背負ってこのペースで歩き続けるのは本当に難しいと感じます。
2kmやそこいらはそのペースで歩けますが、そのあとがだんだん続かなくなるのです。
(白須賀宿~二川宿間 国道の向こうを追い抜いてゆく新幹線がうらめしい)徒歩の場合、7分から10分以上歩かなければ体はあったまってきません。
しかし、都会で電車やバスを使って移動する人が、10分以上の距離を歩くというのは、あまりないと思います。
しかも、マラソンと違って徒歩では体はあったかくなってきていても、末端の足先や手は冷たいまま(特に女性)ということが多いのです。
ましてや冬に向かい風を受けながらの状態で、早歩きしたくても足が止まってしまうこともよくあります。
ということで、冬の歩行は寒いのです。
(逗子の海岸にて おお、”Chariots of Fire”だ。ミスタービーンがパロったのはずっと後の話です)〇マラソンで走るのは寒い?
マラソンのシーズンは冬です。
冬にランニングしてみればわかることですが、走りはじめて体が温まるまでと、走り終えたあとに汗で体が冷えてくきた後を除いて、とても暑いのです。
走り方によって季節によって個人差はあると思いますが、走り始めて5分~10分くらいしたころにようやく汗が出てきて調子があがってきます。
(そのあとのひとときランナーズハイという幸せな時間があるのも知っています。
学生の頃、「炎のランナー」のテーマ曲が脳内でかかっていましたから)
実際に走っている人を見て、薄着でも寒そうではありませんよね。
(とびしま海道にて 瀬戸内は冬が良いですよ)〇オートバイで走るのは寒い?
これはもう、言葉にはならないほどに寒いのです。
なぜかといえば、全然運動しないから。
そして、風が吹こうが吹くまいが、走っている間中風をまともに受けるからです。
私はわりと体温が高い方なのですが、それでもこの季節バイクに乗ると、どんなに武装しても、つまり冬用のグローブにブーツを履いても手足のしびれはいかんともしがたい状態になります。
顔も露出の多いヘルメットなので、感覚がなくなって鼻水が出ているかどうかさえわからなくなります。
夜に30分程度バイクに乗って帰ってきて、お風呂に入ると湯の中で身体から陽炎のようなものが立っていることも珍しくありません。
そして一度冷えてしまうと、よほどの長湯でもしない限り体の芯まで凍えた体をもとには戻せません。
(冬早朝の山下公園)〇ブロンプトンで走るのは寒い?
私はいま、事務所まで40分ほどバイクに乗ってゆき、そこからブロンプトンにまたがって出かけるということをしています。
帰りは逆にブロンプトンで走ってきて、そこからバイクに乗り換えて帰るわけです。
すると、その差は一目瞭然です。
まず、バイクに乗って凍えた体はブロンプトンに乗って10分程度で汗が出てきます。
バイク用の厚手のグローブでも痛いほどに冷たかった手が、薄手の皮手袋なのに脱ぎたくなるほどに温まります。
バイク用のヘルメットを被って、歯の根をガチガチいわせていたのに、布製のキャップを脱げたくなるほどに、頭は汗をかいています。
(外房の漁港にて)また別途書きたいと思いますが、ブロンプトンを使って痩せたいという人がいるなら、冬こそがチャンスなのです。
走るよりもずっと体や関節に負担をかけずに、体脂肪を落とすことができます。
3年がかりで京都まで歩いても痩せることができず、一時は歩けなくなるほどに踵の関節を痛めた私は、ブロンプトンを購入して1年(実質その年の冬)で無理なく25kgも痩せましたから。
(その後リバウンドはありましたが、5kg~10kg程度です。差し引き15kgなら、高価なダイエット食品を続けるよりブロンプトンを買った方が、お釣りが来ます)
ただ、どんなダイエットをするにせよ、キーワードは「続けられるか否か」にかかっているのですが、その話はまた今度にしましょう。
(開港記念広場前)いま、別の機会にブロンプトンを使っていますが、朝は手前の駅で降りて20分程度走って身体を温めないと、一日のリズムが取りにくくなっています。
このように書くと、私が鬼のような形相で、ものすごい速度で走っている姿を想像される方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。
のんべんだらりとは走っていませんが、だからといって歯をくいしばって黄色信号を駆け抜けるなんてことは一切やっておりません。
マラソンやランニングと同様、寒さをはねのけるのにいちばん効果的で手っ取り早い方法は、運動をしながら体の中から温めることなのです。
慣れないうちは大変かもしれませんが、一度慣れてしまうと習慣になりやすいと思います。
そして、ブロンプトンに乗るという習慣は、服装や靴など普段のままでよい分、ジョギングやマラソンよりもはるかに敷居が低いスポーツ(と呼べるかどうかも微妙な趣味)だと感じます。
次回はあまり寒さを感じずに具体的に、ブロンプトンにのる方法について考えてみましょう。(葛飾柴又にて)