(5)最初から雨天を想定した旅程をたてる
これは、ある宿泊先を拠点として、そこからあちこちへ行くのにブロンプトンを利用するような場合のお話です。
初日と最終日はブロンプトンに乗らないことにして割り切ってしまう場合と、旅程中に雨が降ってその日は乗らないことにする場合と、二通りが考えられると思います。
①ブロンプトンに乗らなくても到着しやすい宿泊先を選ぶ
㋐駅や空港に直結している、あるいは隣接しているホテルを選ぶ
宿も旅の楽しみのひとつではありますが、どうせ日中はブロンプトンに乗って外出してしまうのです。
ある意味で、「宿泊先は寝るだけのところ」と割り切ってしまい、交通機関直結のビジネスホテルに宿泊するのもひとつの方法です。
とくに旧街道の旅は街道をできるだけ先へ走り、あるいは途中をよく観察するのが主目的でした。
以前にも書きましたが、前日に切り上げた場所にできるだけ早く到達したいため、朝早くに鉄道で移動する必要があったため、ほとんどこうしたホテルを利用していました。
あまり居心地が良いと、寒い朝など腰が重くなってしまいます(笑)
㋑ ㋐とは逆の発想で、無料送迎バスがあったり、個人や少人数でも送迎したりしてくれるようなサービスのある宿泊先を選ぶ
ブロンプトンの走行同様に、のんびり、ゆったりする目的で、わざと高級なホテルを選ぶという方法もあります。
そのようなホテルや旅館の場合、たいがいは送迎サービスがあります。
館内に日中も営業しているカフェやレストランがある場合や、温水プールなどの施設を備えたホテルもあります。
「ここまで来たからにはブロンプトンで街を走らねば」という気持ちを取り除いてしまえば、時間に追われるでもなく、行き当たりばったりのお散歩ができます。
癒し系の自転車ゆえに、こうした滞在型ホテルをりようした、あてのない散歩の旅が、ブロンプトンにはよく似合います。
前回に旅行初日や旅行最終日に余計な荷物は宅配便で送ってしまい、身軽になった方がサイクリングを楽しめると書きました。
その発想をさらにすすめて、ブロンプトン自体を送ってしまうのです。
男としては、ちょっとスナイパーが銃を分解して別送するような気分で、ワクワクします。
ところで、折りたたみ自転車って最初は軍事利用を目的として発明されたってご存知でした?
その話をするとまた長くなってしまうので、別の機会に。
最初から雨天が予想されるような場合のほか、目的地までブロンプトンをつれて到達するのが困難な場合にも利用できます。
これはスキーやスノボ、ゴルフの宅配便のようなものです。
つまり、現地におけるアクティビティのひとつと割り切ってしまうのです。
メリットとしてはパンク修理道具等を一緒に送れることのほか、ヘルメットや靴、手袋など自転車に乗る時だけの装備があるのなら、それも一緒に送ってしまい、荷物にはしないという点が挙げられると思います。
(飛行機に乗るくらいの距離だと、送った方がいいかなと思うこともあります―小樽運河)
送付にはブロンプトンを入れていた段ボールを利用します。
もし購入時に処分してしまっていたとしても、購入したお店に頼めばたいていの場合は分けてもらえます。
段ボールは帰りの送付にも利用しますので、旅程自体が自然に一か所滞在型の旅になると思われます。
一か所滞在型の旅というのは、グァムやサイパンなどへの旅行を想像してもらうと分かりやすいのですが、飛行機に乗ってホテルに直行し、そのホテルに何泊か滞在して、帰路は再びホテルから空港へ直行して飛行機で戻ってくるような旅です。
ブロンプトンに乗りなれていると、往路や復路であっちへ寄ったりこっちへ寄ったりしていると「ブロンプトンがあったらな」と思うシーンが増えてしまうのです。
じっさいに旅行してみると、ブロンプトンを送ったから身軽になったのを幸いに、お土産をしこたま買い込んで、結局大荷物になってしまったという場合が多いのです。
(電車に乗るときにも荷物は少ない方が助かります)
つまり、ブロンプトンに限らず「荷物を送って手ぶら旅を楽しむ」ためには、それなりの心得が必要になってくるのです。
それは、自宅の近所でもお散歩するような感覚で、滞在先の知らない街をふらふらできるテクニックとでもいいましょうか。
たとえば土産物などのショッピングです。
何か買ってもその場で消費してしまうか、どうしてもほしい場合は別途家に送ってしまうなどして、ほぼ両手ぶらでウロウロするよう心がけます。
するとブロンプトンは機動力を発揮し、その土地の逸品を少量ずつ購入することも可能になります。
また、お土産を抱えて右往左往するスタイルからも解放されます。
もし移動型の旅ならば、宿泊地から宿泊地をつなぐうえで、ブロンプトンでの走行は一本の線になります。
しかし、一か所の宿泊先を定めて、そこを起点に東西南北と、四方八方へと走ってみると、ブロンプトンの動きは線から面に変わります。
何となくブロンプトンに乗ってホテルを出てゆくと、まるでその街に住んでいる人のように行動できます。
いや、逆にその街でブロンプトンを持って暮らしているように演じてみるのです。
行った先で地元密着型のスーパーマーケットをのぞくとか、思い切って床屋さんに入って髪の毛を切りながら雑談話にチャレンジしてみるとか。
雨がちな気候の時は、日中天気がおかしくなってきたら、ブロンプトンをたたんで、さっさとホテルへ引き上げ、読書でもしてのんびり過ごします。
試してみると、そこに住む人たちの気持ちがほんの少し分かる気がします。
(ビジネスホテルの部屋も、ブロンプトンをたたんで机の下に入れてノートパソコンを開ければ、ささやかな旅先での書斎の出来上がりです。)
これらは旅に限ったことでなく、天候の不安定な時にこそ、さっと広げて、また簡単に撤収できるおりたたみ自転車を日常生活の中で使ってみるということだと思います。
なにしろ、「帰りに濡れたら大変だ」が無い自転車なのですから、そこを利用しない手はないと思うのですよ。
たとえ路面がぬれていたとしても、雨上がりには晴天の日と違ったしっとりした空気があり、その中で自分の体を使いながら自転車を走らせるというのは、他の乗り物にはない楽しさがあります。
関東地方ではこれから春になってゆくにしたがって、雨の日も増えてゆくと思います。
旅行者としても、日常生活の足としても、異次元の体験になりますので、ブロンプトンをお持ちの方はぜひためしてみてください。