旅行目的地で雨に降られてしまった場合の対策について、前回は「待つ」の一手をご紹介しました。
今回はその他の手段について書きたいと思います。
(2)タクシーを使って目的地(宿泊先)まで行ってしまう
最近は、ネット用語で「タクる」というらしいです。
サラリーマンの頃、毎晩午前様でタクっていたなぁ、もちろんタクシー券で(笑)
今はブロンプトンがあるので、滅多にタクシーは利用しません。
というか、自腹を切ってタクシーに乗ることなど、自家用車を手に入れてからほとんどありませんでした。
初めての街の駅前でブロンプトンを開いていると、客待ちのタクシードライバーさんから「あちゃー」的な目で見られることもあるのですが、ブロンプトンを連れて歩くようになってからの方が、それ以前よりも合理的にタクシー利用するようになったと思います。
この場合、その他の交通機関でなるべく目的地付近まで寄せておき、最後にタクシーに乗車することになると思います。
だいたいタクシーって料金体系から考えても、そんなに長距離を移動する目的で利用する交通機関ではないと思います。
だから雨天の場合、行けるところまで電車やバスで行って、そこから先はタクシーを利用するのは、正しい使い方だと思います。
その際、タクシーが待機しているか、呼ぶにしても雨を避けて待つことのできる場所があるかをグーグルのストリートビューで確認しておきましょう。
雨以外にも、バス路線の無い山に登る際などに、ハイカー同士で登山口まで利用することがあります。
ただし、タクシー利用において、乗車人数とブロンプトンの台数には注意が必要です。
タクシーの大きさやトランクスペースの状況にもよりますが、セダンタイプなら運転手以外の乗車は4人が限度でしょう。
その場合、トランクは空だとしてもブロンプトンは縦置きができませんから、入って2台か3台です。
すると残りの1台ないし2台は車内で抱えることになります。
荷物がブロンプトンだけならまだしも、付属のCバッグをつけていたり、ザックを背負っていたりすると車中ではかなり窮屈になるのは覚悟しなければなりません。
この点からいっても、タクシー利用は短距離になると思います。
ただ、これが分解して袋に入れたたロードバイクやマウンテンバイクと比較してもらえばわかると思いますが、乗車人数分の自転車が車内に収まってしまうこと自体、すごいことなのです。
なお、最近地方でよく見かけるようになった、乗り合いタクシーやコミュニティバスを使う場合は、くれぐれも地元の方優先でお願いします。
あれは国と自治体が折半して費用を負担し、そのぶん運賃を低く抑えていますから、関係のない旅人は「利用させていただいている」という気持ちが必要だと思います。
(3)思い切って走ってしまう
現地へ到着したら小雨ないし霧雨、あるいは降ったりやんだりの天候で、宿泊地が近いような場合、思い切って走ってしまうのもひとつの方法です。
こうしたときには、次のようなものを用意しておきましょう。
・雨合羽:短距離ですし、駅のキオスクに売っているような、安価な品でよいと思います。
・荷物の防水:防水スプレーは家を出るときにしておきましょう。
CバッグやSバッグなどは、雨除けのカバーが付属していますし、ディパックは山用のタイプを選んでおけば、大概はレインカバーが内蔵されています。
雨の中を走れば、当然にブロンプトンは濡れてしまいますから、目的地に着いたのちに後始末が必要です。
その場合に備えて、荷物の中に必要なものを入れてあらかじめおくってしまうことをお勧めします。
①シートポストを中心に、フレームに着いた水滴はふき取っておきましょう。
使わなくなったタオルや手ぬぐい、乗用車を洗車するときに使用するセーム皮(カー用品店で売っています。小さいもので可)プラス、吸水性の高いキッチンペーパーを2~3枚持ってゆくと便利です。
チリ紙やトイレットペーパーは代用にはなりますが、たたんで重ねて使わないと滓がついてしまいます。
②折り畳み機構の可動部分やチェーンなどの駆動部分には、かるく注油をしておきましょう。
携帯用で小さく、汎用性の高いオイルをひとつ持って行けば十分でしょう。
(4)畳んだ状態でカバーをかけて、傘をさして歩く
最初からブロンプトンの乗車を想定している旅ですから、イレギュラーで雨中にたたんで曳くといっても、傘を一緒に持ってゆくわけにゆかないのです。
自転車に乗るのに長い傘を荷物に加える場合、裸の大将みたいにザックにさして運ぶしか手段がありませんから、荷物に折りたたみ傘を忍ばせておく必要があります。
ここで、「おりたたみ」という枕詞のつく商品のうち、もっともポピュラーなのは自転車よりも傘ですよね。
でも、折り畳み傘がここまで発達しているのは世界広しといえど日本だけだと思います。
むかし東欧を旅行した際、折り畳み傘は現地の人への最高の贈り物でした。
あの、小さいものをぱっと広げるのを外国の街中でやると、「オー」と注目されるわけですよ。
そこらへんは、ブロンプトンととてもよく似ていると思うのです。
ブロンプトンをたたんで曳きながら、おしゃれな折りたたみ傘さして歩くなんて、イギリスと日本の文化融合みたいで恰好いいじゃないですか。
ただし経験からいうと、雨の程度にもよりますがブロンプトンは濡れてしまいます。
カバーを掛けて防水スプレーをしていても防げません。
なぜならブロンプトンを曳いて歩くこと自体、体から少し離して曳くというコツがあるからです。
そうしないと踵や足の甲がブロンプトンに当たってしまうのは、曳いて歩いた経験が何度もある方ならご存知でしょう。
すると当然小さな折りたたみ傘のカバーする範囲から、ブロンプトンは外れてしまうのです。
けっきょく(3)同様後始末が必要になります。
こうして考察してみると、スイスのようなホテルまで送ってくれるチッキ(鉄道における手荷物輸送)制度の復活を望みます。
当日申し込みOKで夜までにホテルに届けてくれるあのシステムは、旅行中日に雨が降った場合、ブロンプトンを次の宿に送ってしまうことだってできます。
届く日の2~3日前までには送付しなければならない宅配便では、天候をみてからどうしようか考えるということができません。
別にブロンプトンが無くたって、大きな荷物を抱えたまま旅先で右往左往するのは嫌だという人もいるではないですか。
都内や横浜、箱根や日光など、駅前の宅配便の営業所が1,000円程度でサービスしたら、需要はあると思うのですが。
(どうせ一日一度以上は集荷に行くわけですし)
なお、日本におけるチッキ制度の名残や復権として、次のようなサービスがあるそうです。
これなら、雨の日にブロンプトンを送る場合のほか、晴天でも荷物だけ宿に送って「ブロンプトンで身軽にGO!」ができますよ。
東京や横浜でもぜひやってほしいものです。
・箱根キャリーサービス(通常サイズ:800 / 円ブロンプトン:900円 割引制度有)
・京都駅キャリーサービス(駅→宿/宿→駅:750円)
やれやれ、このお話、年またぎになってしまいます。
次回は、最初から雨を想定した宿泊先の選び方についてまとめようと思います。