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Channel: 旅はブロンプトンをつれて
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信州姨捨山・田毎の月にブロンプトンをつれて(その3)

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さて、田に映る月を眺めるには、当然に夜に棚田へ行くことになるわけですが、はじめての場所で街灯も何もないなか、いきなりブロンプトンで棚田へ行ってもどこを走ったら良いか分かりません。
それに、地図をよく見ると棚田の中には農作業の軽自動車がやっと走行できるほどの狭い農道が幾筋もはしっています。
あらためて航空写真を眺めると、いわゆる地形(山の斜面)の形に沿ってつくられている昔ながらの棚田と、おそらくは機械も使用して造成された長方形に近い形の棚田と、二種類が認められます。
もちろん、目指すは斜面にまるで鍾乳洞のリムストーン・プールのように畦をきっている前者の田んぼなのですが、そうすると道やはり畦に沿っているため余計に複雑です。
イメージ 1
(前もって駅近くのホテルに宿泊します。一番便利なのは千曲駅近くのホテルです)
 
こういう場合は、昼間に行って詳細な調査を行ったうえで、ベストな道や場所を探しておいて、できればナビに道順を入力したうえで、夜に来た方が確実でしょう。
とにかく昼間の内に、狭い範囲ではありますが道という道を走り通して、域内を掌握してしまうのです。
もちろん、車やバイクは農作業の邪魔になるので自転車でゆきます。
ところが、ここでひとつ問題がおきます。
平地であれば、行ったり来たりと農作業をしている方たちに迷惑がかからない程度にウロウロできるのですが、山の斜面です。
行ってみれば分かるのですが、坂によってはもの凄く急で、道幅も狭いために小径車であっても歯が立たない坂もあります。
イメージ 2
(国土地理院の航空写真より 下が山の頂上方向で、上が麓の方になります。赤線で囲った中に自然な形の棚田はおさまります)
 
そこで、千曲市の循環バスを使って、山の上から幾筋も分かれる坂をひとつひとつ下ってゆき、下まで行ったらまだバスに乗って姨捨駅までのぼってということを繰り返して、坂という坂すべてを潰してしまおうと考えました。
Bromptonですから、気に入った風景があれば坂の途中で写真を撮っておきます。
また、夜に来て三脚を立てるスペースがあるかどうかも確認できます。
もしかしたら、何度も走っているうちにBromptonでのぼることのできる坂を見つけられるやもしれません。
イメージ 3
(バスの路線を地図の上に投影したもの-マピオン利用;赤が姨捨線、緑が更科戸倉線、紺が東西線です)
 
それには前準備が必要です。
まずは千曲市のホームページを見て循環バスの路線図を確認します。
すると、姨捨線(めいげつ号)、更科戸倉線(やまびこ号)、東西線(かむりき号)の三路線が利用できそうだということが分かります。
一応、下車場所は棚田の上にあるJR姨捨駅で間違いないのですが、三路線についてそれぞれ山麓の乗車停留所の位置関係を確認しておきます。
違う場所に下ってしまったら、バスに乗れませんからね。
イメージ 4
(こんな風にお手製の時刻表を作成し、プリントアウトしてポケットに忍ばせておきます。色がついているのは間隔が短くて乗れそうもない便です)
 
つぎに、千曲市のホームページでは路線ごとになっている循環バス時刻表を、上記の三路線に限って合せて時系列に並べたお手製時刻表をエクセルで作成します。
この紙を持ち歩いてバスを逃さないようにすれば、効率よく何度もJR姨捨駅に戻れますし、その分何回もあちこちの坂を下ることが可能になります。
ひとつひとつの路線では時間の間隔が開いてしまいますが、三路線をフルに使い倒すと、一日13回もJR姨捨駅に戻ることが可能になります。
イメージ 5
(しなの鉄道に乗って千曲駅を目指します。ドアは自分でボタンを押して開けるようになっています)
 
鉄道を優先的に利用することも考えてみたのですが、山ふもとの駅は稲荷山駅といって、お隣の駅なのに8.7㎞も離れています。
これを自転車で行くとなると、当然10㎞ちかく走る計算になり、下りとはいえ遠くて結構きついですし、電車の時間にあわせるとなると、かなり慌ただしくなります。
なお、姨捨駅の南東600mには、長野自動車道姨捨サービスエリアがあり、名古屋、京都、大阪方面からと、松本長野間の高速バスが停車します。
高速バスにBromptonをつれてのせてくれるかどうかは、関東近辺の場合微妙なところですが、もし利用で来て他に荷物が少なければ、姨捨サービスエリアは姨捨駅よりも標高が高いポジションにありますので、棚田を下ることができます。
イメージ 6
(千曲市の中心、千曲駅)
 
ただ、いずれにしても最初は地図を読んで道を選ぶ勘を養う練習をしましょう。
地図や航空写真を予め眺めておいて、該当するバス停までの下りを頭の中でシュミレーションしておきます。
お寺や観光会館、わずかながらレストランなどもありますが、場合によってはストリートビューなどでシミュレーションをしておくことも役に立ちます。
とにかく、山麓のバス停へ下るのに、あさっての方向へ行ってしまわないようにするのです。
こうして知らない土地でバスや鉄道の駅などを探す訓練を、国内を手始めにしておけば、海外へブロンプトンをつれて行ったときの勘所を養えます。
イメージ 7
(改札に鎮座している兜は…歴史好きなら赤くて鹿の角といえばお分かりでしょう。そう、来年の大河ドラマの主人公です。右手前は彼の色違い、奥は上杉謙信です。川中島も近いからですか。)
 
さて、まずはしなの鉄道の千曲駅へ行って、千曲市循環バスの回数券を手に入れましょう。
一枚100円の12枚つづりにて、1000円で購入できます。
バスの乗車料金は区間の長短にかかわらず1回200円ですから、回数券ひとつづりで6(1回あたりおよそ167)乗れる計算になります。
JRの稲荷山駅と姨捨駅間は乗車券が200円ですから、青春18きっぷなどを持っていない限り、循環バスの方がお得です。
また、循環バスの名前の通り、往復の路線形態であっても、どこから乗ってどこで降りるかは自由に設定できることも頭に留めておきましょう。
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(回数券は駅ナカにある千曲市の売店ではなく、改札脇にある駅窓口で売っています。子どものころの電車の回数券みたい。レンタサイクルもやっているのですね)
 
東京から朝一番の北陸新幹線に乗っても、千曲駅に到着するのは816分。
ということで、前もって上田市に宿泊していた私は、上田発632分の電車で千曲駅へ向かい、705分発、朝一番の循環バス姨捨線で姨捨駅まで乗車します。
もちろん、たたんだブロンプトンにはカバーを掛けています。
名月号はいわゆるマイクロバスで通路と座席間のピッチが狭いため、少々窮屈ですが畳んだBromptonは膝の上に置きます。
イメージ 9
(こちらが姨捨線の名月号。観光客で利用しているのは私だけでした)
 
乗車しているお客さんは私の他に2人でしたが、どちらの方も麓の停留所で下車してしまいました。
そしてマイクロバスは斜面にかかる坂をのぼってゆきます。
途中、観光会館や長楽寺を通過しながらお年寄りを乗せてゆきます。
長楽寺は昔からの展望台で、芭蕉をはじめ、たくさんの俳人、文人の句碑があるところです。
姨捨駅に到着し、下車したのは私ひとりでした。
乗車しているお年寄りたちはそのままバスに乗って病院や市役所、駅へと向かうのでしょう。
時刻は朝の7時半。
無人の駅の待合室には、高校生が列車を待っています。
こちらは棚田の様子を見る前に、まずは長楽寺の展望台へ行ってみますか。(つづく)
イメージ 10
(朝の姨捨駅。微妙な雲量です)



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