今は始発駅というと、不動産情報などに載っていることが多いはずです。
家から会社へ通勤するのに毎朝座ってゆくには、どの駅の近くにマンション等の不動産を購入したらよいかということでしょう。
これがブロンプトンで旅行・お散歩ということになりますと、始発駅の意味合いは少し変わってきます。
すなわち、東京23区内やその周囲に住んでいる人にとっては、「あそこの駅まで走ってゆけば、どこそこまで座ってゆける」ということですし、逆に東京23区内をお散歩して帰宅するときは、どこそこの駅まで走れば、そこからは座って帰れるという意味になります。
なお、表題の通り始発駅は23区内に限っています。
三鷹、和光市、本八幡などたとえ隣接していても都区部から外れている場所は省いています。
また、23区内であっても始発列車が平均して1時間に2本以下の駅も除外してあります。
たとえば、埼京線の大崎駅や、東京メトロ副都心線の新宿三丁目駅、都営浅草線の押上駅など、いつ行っても少し待てば始発電車がやってくる状態にはないですから。
今日は通勤路線というか、地下鉄や路面電車、新交通システムなどを除いた、いわゆる地上を走る通勤路線についてみてみましょう。
新宿という駅は、すぐ北西にある西武新宿駅も含め、東京であちこちへ向かう始発列車がたくさん出る駅です。
埼京線はその性格上コンスタントというわけにはゆきませんが、小田急、京王、西武線の各線については、列車種別にかかわらず、すべての列車が始発です。
いま、方角がばらばらで、複数方向へのターミナル駅は都心でも新宿駅だけで、さすが乗降客数日本一駅だけのことはあります。
藤沢、小田原、八王子、川越へゆくなら、多少時間がかかっても私鉄の方が確実に座ってゆけるわけです。
渋谷駅は、井の頭線の終端駅ですが、井の頭線というのは距離も地形も、そして沿線の環境も、ブロンプトンを買ったばかりの頃に都内を散歩するにはもってこいの沿線なのです。
東横線ですが、渋谷駅が地下に潜って副都心線と直通しても、各駅停車を中心に一定の始発列車を残しています。
これは、同じ東急の新玉川線が全列車を半蔵門線直通にしてしまったために、渋谷駅がボトルネックになってしまったことへの反省が要因としてあると思われます。
二子玉川駅、大井町駅、大崎駅、蒲田駅については、大井町線に池上線と多摩川線がいまや通勤路線というよりは域内交通になっていますから、それに乗ってどこか遠くへというわけにはゆきませんが、井の頭線同様に、レトロな商店街からお洒落な街並みまで沿線に見どころが多く、距離も適度なので、ブロンプトンで沿線を走り切ったあとに、一方の終端駅から乗車して車窓から改めて街を眺めるなど、地方から東京へブロンプトンをつれて出てきた方にはお勧めです。
羽田空港駅は一種特殊な始発駅ですが、京急線へゆくにも、全く方向違いの京成線方面へもコンスタントに始発が出ているので、大田区や品川区の臨海部へ遊びに来て、その沿線に自宅があるような場合は、覚えておくと便利な駅です。
リムジンバスを利用したら、それこそ四方八方へ帰れますしね。
品川駅は常磐線が入って京急線も始発列車がありますから、たとえば常磐線沿線の人たちが三浦半島へ遊びに行くのには便利になったのだと思います。
自分のような東急線沿線の人間も、たとえば国営ひたち海浜公園へ遊びに行った帰りなど、品川まで常磐線に乗って、京浜東北線に一駅だけ乗って大井町から帰れば、乗り換えはあるもののあまり階段を使わずに自宅の最寄り駅まで帰れるようになりました。
そして東京駅ですが、新幹線の始発駅ではあっても、在来線の王者である東海道線が始発駅でなくなってからは、貫禄が少しなくなりました。
国鉄の起点（0キロポスト）は東京駅であり、今でも中央線のホーム下にあるのですから。
なお、中央線快速は大月や河口湖までゆく列車もありますから、長距離路線です。
それから、千葉駅へ帰るのなら横須賀線からの直通列車が多い総武快速線よりも、京葉線を利用して千葉みなと駅から自転車で走ってしまった方が、確実に座って行けることになります。
秋葉原駅はつくばエキスプレスの始発駅ですが、沿線は新興住宅地が多くてお散歩しにくいのです。
途中の守谷駅で関東鉄道に乗り換えて、常磐線の取手なり宇都宮線の小金井なりまで出て、始発で帰ってくるというプランなら、鬼怒川や小貝川に沿ってサイクリングができます。
上野駅は、かつて夜行の寝台列車が全盛の頃、もっとも風情のある23区内の始発駅でしたが、いまや常磐線の一部と京成線を残すのみになってしまいました。
それでも、成田市や新東京国際空港にゆくのなら、ここが始発駅です。
浅草駅も、かつて東武線の快速列車が存在したときはもっと魅力的だったのですが、長距離は特急列車のみになってしまいましたから、敷居が高くなりました。
昼間の各駅停車なんて、北千住か竹ノ塚止まりばかりです。
成増駅は、東上線の池袋止まりの電車の始発駅ですから、これも短距離の通勤路線です。
ひとつ向こうの和光市駅からなら、副都心線方面へ始発列車がたくさん出ていることを頭の隅に覚えておきましょう。
池袋駅は、西武池袋線にしても、東武東上線にしても、八高線方面へむかう中長距離路線です。
これからの季節は、電車で行って自転車で沿線を戻ってくれば、季節風が背中を押してくれます。
豊島園駅は盲腸線で、もともと練馬駅との往復だけだったのが、沿線住民の増加で池袋まで直通になったということです。
これも、池袋で山手線や副都心線に乗り換えるくらいなら、本数は少ないけれども石神井公園駅か、少し遠いけれども和光市駅までブロンプトンで行って、そこから始発電車に乗って帰った方が楽です。
なお、少し北西にある都営大江戸線の光が丘から乗れば、都内の大江戸線沿線に座ってゆけるということも覚えておきましょう。
最後の中野駅ですが、特に津田沼以西の総武線沿線に帰宅する場合、新宿からよりも、割と近い中野からなら座って帰れます。
中野は次回説明しますが、東京メトロ東西線の始発駅でもあるので、両線及び東葉高速鉄道沿線に自宅が近い方には、重宝される駅だと思います。
次回は地下鉄や都電、新交通システムの23区内始発駅について書こうと思います。