むかし学校で駅伝やマラソンのトレーニングの一環として、オリエンテーリングという競技を体験したことがあります。
オリエンテーリングというと、歩くイメージをもたれるかもしれませんが、実際には走るのです。
足(フット)だけではなく、マウンテンバイク、スキーもあります。
そのときに行われたのは、学校が総合学園で敷地が広かったもので、各所に設けられたポイントをまわり、そこで出された設問に答えながら、すべてのポイントをまわって順位を決定するというものでした。
私はマラソンについてはいつも入賞の次点くらいの順位だったのです。
3位まで表彰される場合は4位、5位までなら6位という具合で。
もともと勝負事が好きじゃなくて、マラソン競技ではよくある、仕掛けたり、プレッシャー掛けたりといういわゆる駆け引きが得意ではないのです。
どちらかといえば持久力はある方なので、先頭集団にはついてゆくのですが、最後のスパートでエネルギーを使い果たしていたためにダッシュできないというヘタレでした。
(フィールドワークとかフィールドトレイニングも好きです)
それが、オリエンテーリングをやってみたら(たいして早く走っていないのに)断トツの一位で、自分でもびっくりしたことがあります。
勝因は、学校中の地形が頭に入っていたので、地図を渡されたときにどこがポイントなのかすぐにわかったことと、それぞれのポイントをつなぐ最短距離を、建物の裏のような抜け道も含めて熟知していたことです。
それで分かったのですが、この手の競技はどれだけ早く走れても、まわる順番とコースを間違えてしまったら、えらく時間と体力をロスしてしまうということでした。
まぁ体育の授業の一環ですから、それぞれのポイントにて出題される問題は、お遊びのようなものでした。
しかし、最初に作戦を立てる時点で8割方勝負が決定してしまうという頭脳ゲームのような側面があるこの競技は、自分に向いていると感じていました。
ブロンプトンで横浜の街を回り、制限時間内に地図に示されたポイントをまわって得点を稼ぐ、ロゲイニングという競技が今年の5月に行われたのを開催後に知って、「自分だったら高得点を稼ぐのに」とひそかに思い、9月に東京で行われるイベントにはぜひ参加してみようとおもっていました。
友だちを誘ってチームでというのも考えたのですが、自分はもともと旅ではストイックなまでに先を急ぐタイプなので、ひとりでどれだけ点を稼げるか試してみようとおもい、個人で参加しました。
集合場所(競技出発点)は芝浦ふ頭の一番北側で、橋を渡ればすぐ日の出ふ頭です。
最寄り駅はゆりかもめの日の出駅です。
昨日はあいにく雨が降りそうで、風もわりと強かったので、開催されるかどうか心配だったのですが、お天気は何とかもちました。
行ってはじめて知ったのですが、地図を渡されるのはスタート10分前くらいで、一斉スタートではないものの、はじめて地図を見てからおよそ15分以内には出発するというルールでした。
こういう場合、大まかな経路だけは予め立てておき、ポイントを回りながら細部を詰めてゆくという方針が一番有効だと思います。
最初から細かくルートを決めても、実際走ってみたら経路通りに走れないということは、旧東海道の旅で何度も経験していますから。
ぱっと地図を見た感じ、出発点を起点に南北に細長くポイントが設けられています。
そして、南北の両端にあたる地域に、わりと高得点のポイントが固まって存在しています。
北は靖国神社を中心に、市ヶ谷から飯田橋にかけてのいわゆる田安の台の上と下にポイントが集中し、南のそれは高輪台から麻布台にかけて散在しています。
これは何となく出題者の意図が分かりますね。
ロゲイニング協会さんは、ふだんは鎌倉の山で競技を行っているそうですから、幼いころから天園や祇園山のハイキングコースを遊び場にしていた自分としては、「地形遊び」の趣旨が感じられます。
私は横浜の人間なので、どちらかといえば都区部は南の方が道は走り馴れているのですが、地形学的な観点からすると、白金高輪から六本木にかけては谷が複雑に入り組んでいて、坂が多く、ポイントとポイントを最短距離で結ぼうにも、丘越え、谷越えがたくさんありそうです。
ということで、わりと地形が単純な田安台をコースに入れて点数を稼ぐことにしました。
(鉄道と地下鉄が利用可というところも、自分のような乗り鉄には有利です。)
ここからが大まかな作戦ですが、当日は南風が比較的強かったので、出発点から、追い風を味方にして新橋、銀座、八重洲方面へと北へ向かいます。
日本橋のローロさん(ここがかなりの高得点でした)から西へと進路を変えて、竹橋、九段坂下へゆき、そこから市ヶ谷までの高得点地帯をすべて網羅してから、地下鉄南北線で六本木一丁目へ移動、時間があればその周囲の高得点ポイントをまわって、三田を抜けてスタート地点へ戻るというものでした。
よく自転車やバイクで岬めぐりするときは、時計回りが基本(その方がたえず道路の海側を走れるから)ですが、あれと逆です。
なぜかといえば、今回の競技のように車道をメインで走る場合(歩道も条件付きで認められていました)は交通法規に則って二段階右折が義務付けられている自転車は、右折が多ければ多いほど、それだけ交差点での時間的ロスが増えてゆくからです。
大まかなプランを左回りにしておけば、全体的に見れば右折よりも左折の方が多くなります。
こんな感じで全体像を決めておき、いざスタートして感じたこと、困ったことは、また次にレポートしたいと思います。