ここのところ、天気が悪くてあまりBromptonで出かけていません。
たまに曇りの日があっても、涼しいし、運動不足という認識なので電車に乗らずに走ってしまいます。
だからサドルバッグの中に入れた輪行カバーを使用することもなかったので気がつかなかったのですが、ふとサドルバッグの中でなにかが転がる音を走行中に聴きました。
おそるおそる中をのぞいてみると、折り畳みのレンチ・ドライバーがばらばらになっているではありませんか。
ホームセンターの前を通った時に、何の気なしに「小さいし、あったら便利だし」と思って工具売り場で買った、安価な折りたたみ工具です。
よくよくみるとレンチやドライバーを留めている軸がプラスの丸皿小ネジで、そこが外れたようです。
私、オフロードバイクとか乗っていたくせに技術系なことに無知なもので、自転車屋さんに「なぜ自転車のネジはドライバーで締めるネジより六角レンチで締めるネジの方が多いのですか」と質問したことがあります。
「振動が多くて緩みやすいので、締めるときにトルク(ねじりの強度)が余計にかかるネジを使用しています」とのお答えでした。
なるほどね、ネジもドライバー→六角レンチ(正式名称は「六角棒スパナ」)→トルクスの順に、締めるときのトルクがかかるというのは、穴の深さと形状をみれば素人でも分かります。
きっとネジの制作にあたって強度計算している人は、ネジの材質からはじまって、頭の工具穴の深さ、ネジ山の有効長から高さ、角度、ピッチまで綿密に設計しているのでしょう。
そういえば知り合いの工学系大学のある研究室では、ひたすら金属の破壊検査に明け暮れているって聞いたことがあります。
いつもブロンプトンでその大学の中を抜けるとき、それらしき実験棟の前を通るのですが、夜の10時過ぎても研室には明かりがともっていてガタンガタンと音がして、世の中には色々な研究があるものだと感心します。
まさに縁の下の力持ちですよね。
それで今回改めて気がついたのですが、写真のような折りたたみ工具の留め金は、それぞれの工具を出し入れする用途のために完全に締めるわけにはいかないのです。
それは両端のワッシャーが黄色の柔らかいビニール製であることからも推察できます。
つまり、自転車のような走行中は絶えず振動する乗り物の携行品として、この品は相応しくないということになります。
そう思って自転車屋さんで売っている方の折りたたみ工具をみたら、こちらの留め具はちゃんと六角レンチで締めるタイプになっていて、ワッシャーもスプリングタイプになっているではありませんか。
細かいところなのですが、お値段が高い分ちゃんと自転車での携行が考慮されているということで、技術屋さんたちの掌(たなごころ)に気付いた瞬間でした。
普段乗り物の整備をしている方たちから、「おまえ、オレらの世界じゃそんなこと常識よ」って怒られそうです。
あ、ちなみにレンチやスパナで締めるときのコツは、普通の力では回らなくなったところから、「ギュー」と一発で良いそうですよ。
これは高校生の時にバイク屋のオヤジさんから教わりました。
トルクの単位と計量の方法を教わっても、正確を期すことは無理ですし、ならば適正範囲内で締め付けてまめに緩みをチェックするのがユーザーとしての王道かなと思います。
考えられないくらい振動負荷をかけるオフロードバイクも、それで間に合っていましたから。