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Channel: 旅はブロンプトンをつれて
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旧東海道へブロンプトンをつれて 41.宮宿から42.桑名宿へ(その7;佐屋街道 尾張大橋→長島町中町)

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(尾張大橋東詰)

こちらもしばらくサボっていた旧東海道の旅です。
ブログ全体の記事数でいったら1,111番目(わーいゾロ目だ)、旧東海道の旅だと215記事目ということは、5回に1回は旧東海道の話をブログに書いている計算になるのですが、そんなに書いているでしょうか?
それはともかく、佐屋街道の旅も尾張大橋の東詰め(35.107143, 136.716742)に達し、そろそろ終わりに近づいてきました。
前回ご説明した通り、佐屋宿から桑名宿へは川船にて下るのが江戸期の経路でしたが、河川の護岸が整備され架橋された現代は、まだ車の少なかったころの面影を残す路地をつないで、小学校の頃に習った輪中見物をしてみようというコース取りで桑名へと向かいます。
まずは目の前の川を渡らねばなりません。
関東の人間にとって、木曽三川の順番は覚えづらいのですが、それぞれの名前から上流部を思い浮かべればわかりやすいと思います。
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(歩道は狭いのです)
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(尾張大橋より下流方向を望む 目を凝らすと長島スパーランドのジェットコースターが見えます。)
 
すなわち、野麦峠の東側に位置する鉢盛山(2,447m)を水源として、地震や噴火災害で有名な御嶽山からの王滝川をあわせ、木曽谷を貫いた後に濃尾平野北部の可児(かに)市と美濃加茂市の境付近で飛騨川と合流し、その後に犬山城下を通過してから、笠松付近で南流するのが一番尾張(東)側を流れ、京に向けて最初に渡る木曽川です。
お次は北陸地方との境にある両白山地南部の大日ヶ岳(1,708m)に端を発し、長良川鉄道越美南線に沿って郡上八幡を通過し、関市と岐阜市の境付近から濃尾平野に出て、岐阜城の北側を西へ向かい、岐阜市街を回り込むように南へと向きを変える長良川です。
そして福井県と岐阜県にまたがる冠山(1,257m)を源に、国道303号線沿いに南流して濃尾平野の北西端である揖斐川町から平野部に出て、大垣市の北東部で樽見鉄道線沿いに流れてきた根尾川と合流、そこから近鉄養老線の東側を流れるのが揖斐川で一番西、すなわちもっとも伊勢側に位置して最後に渡る川となります。
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(尾張大橋西詰交差点 付近に橋がないので、混雑します)
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(バス停はあるのですが、バスが…)
 
ネットでは順番を覚えるために「クソ(木曽)しながら(長良)いび(揖斐)る」なんて汚い語呂合わせが紹介されていますが、木曽は中山道があるから一番東、長良は斎藤道三の活躍した岐阜城下を流れるから真ん中、揖斐は源流部の裏側は越前だから一番西と覚えておいた方が、社会科全体のためにも役に立つと思います。
もっとも、地図を見ると木曽川と長良川は愛知県側、稲沢市と愛西市の市境付近から下流はほぼ併流になっていますし、岐阜県の最南端と愛知県、三重県の三県境付近から下流は、今度は長良川と揖斐川が併流しています。
旧佐屋路は現在木曽川が長島町によって長良川、揖斐川と分離しているあたりを川船で行き来していたことになります。
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(四日市まで18㎞か、それなら亀山もそう遠くない-と思ったらそうは問屋がおろさないのでした)

前置きが長くなりましたが、さっそく尾張大橋で木曽川を渡りましょう。
尾張の国の終わりに渡る橋です。
全長は878.8mで40.8のトラスが13も連なっています。
京へ向かう場合に渡る下流側の歩道は、トラスの外側に幅2mもない申しわけ程度の通路がついており、対抗する自転車が来たら乗ったまますれ違うのはかなり恐怖を感じるほどの狭さです。
路面も鉄板の上に滑り止めのような路面が薄くのっているだけで、手すりはありますが屋根はありません。
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(いかにも昔の雰囲気を漂わせている路地に突入します)
 
『何か新しいことを始めようかな』などと東京を春先に出発した旧東海道ツアラーは、暑い夏にがんばって静岡を越え、冬に愛知にさしかかるので、木曽三川を渡るのは真冬から早春になることが多いのですが、冬の午前中など歩道の路面が(下がスカスカなものだから)白く凍結して、自転車で通過してみるとそれは恐ろしいのでした。
試しに逆の上流側の歩道(つくりは下流側と全く同じ)も渡ってみたのですが、川上から吹いてくる関ヶ原の吹き出し(冬期に濃尾平野に吹き込む偏西風)がもろに横からぶつかり、ブロンプトンに乗ったままではまともにまっすぐ走れないほどでした。
だから、冬場に尾張大橋を自転車か徒歩で渡るのなら、たとえ路面がキラキラと光っていても下流側の歩道をお勧めします。
橋口に「自転車・歩行者の方は気をつけて通行してください」と書いてあるのですが、どう気をつけたらよいのやら…。
なお、間違っても車道をブロンプトンで渡ろうなんて気は起こさない方がよいと思います。
こちらも幅がギリギリで自転車の走るスペースなんてありませんし、渋滞していることが多いので。
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恐怖に歯を食いしばって尾張大橋を渡り終えると三重県桑名市長島町です。
愛知県ともお別れで、三重県に入りました。
東京、神奈川、静岡、愛知と過ぎて、旧東海道5県目ですが、国でいうと武蔵、相模、伊豆、駿河、遠江、三河、尾張、そして伊勢と8ヵ国目となります。
尾張大橋西詰交差点を渡ってすぐあとにバス停があらわれます。
三重交通と桑名市コミュニティバスなのですが、どちらも一日一便で平日のみ。
うーん、この先に近鉄とJRの長島駅があるから陸の孤島というわけではないのでしょうが、この中洲内の交通はどうなっているのやら。
長島は前述した通り、木曽川と長良・揖斐川に挟まれた細長い中洲島で、もっとも海寄りの南端に長島温泉やジェットコースターで有名な長島スパーランドがあります。
江戸時代は複数の輪中で構成されていたのが、木曽三川分流工事によって現在のような細長い島が高い堤防に囲まれている状態になりました。
いま橋を渡ってきた国道1号線は、長島町の中でも上流側(北より)にあたります。
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(昔はこんな風に歓迎のアーチがあったのですが)

高い堤防から国道を下ってゆき、左(南)方向へ向きを変えたあたりで右手の路地へと入ってゆきましょう。
尾張大橋西詰交差点(35.102463, 136.708738)で国道を渡って右側歩道を走っても良いですし、860m先の押付交差点(35.306,136.7367)まで行ってから右折しても構いません。
そのまま路地を直進し、水路を渡って農協や商工会議所支所の前まで来ると、「歓迎桑名市長島町」のアーチ右脇(現在は撤去)に現在の満潮位と伊勢湾台風時の水位が示された看板があります(35.095059, 136.701000)。
現在の満潮位はブロンプトンに乗った時の頭の高さくらいですが、伊勢湾台風時の水位が二階の屋根くらいの高さにあります。
伊勢湾台風は昭和34926日に紀伊半島から東海地方にかけて猛威を振るった台風で、昭和の台風災害の中でも最悪といわれる被害(死者行方不明者合わせて5,000人以上)を出しました。
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(あんなところまで水が来たらどうしようもありません)
 
特にこの長島町から最奥の名古屋港にかけては高潮の被害がひどく、台風の名前にそのままなりました。
それまで軌間(線路の幅)が大阪線と違っていた名古屋線の改軌工事を、災害復旧工事と一緒に一気に完成させてしまったのは有名なお話です。
「三年一作、五年一作」(三年に一度収穫があれば豊作、五年に一度収穫があれば平作)という言葉があるように、この地方は洪水とともに生きてきた地域です。
江戸の昔は木曽三川の増水により輪中の上流側の堤防が決壊すると、そこから流れ込んだ水が上手に縦方向へと分流されるよう、輪中内の家屋や水路が配置されていたのだそうです。
そうすることで、堤防が複数個所切れるような事態も避けていました。
そして家財道具も大袈裟なものは持たず、洪水になればそれらをすべて2階へとあげて、1階部分の戸をすべて取り払うことにより、水を通過させて家屋がまるごと流されるようなことにならないよう備えていたそうです。
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これは、洪水によって輪中の中に肥沃な土砂が流れ込み、田畑が潤うことを見越した措置だったそうです。
洪水のプラスの側面を農業に利用してきたしたたかさがあったわけです。
また、「お伊勢さまが入口を守られているこの土地が、神風=台風にやられるわけがない」という迷信を信じていた人もいたみたいです。
ところが、伊勢湾台風の際には川の流れによって堤防が決壊したのではなく、海側、すなわち下流側からの高潮によって堤が切れたのでした。
それはこれまでに経験してきた洪水とは全く別の災害であり、堤防の切れ方も一部ではなく複数個所が同時に決壊したそうで、海に近い南部と上流側である北部の被害状況は両極端だったそうです。
水位の高さをみると、二階に逃げてもダメで、屋根の上に登らないと浸水しただろうと思われるほどです。
これを教訓にこの地方では堤防の高さを7.5mまで嵩上げし、水位の高さを測定する機械が各所に設けられ、これを各家庭で受信する設備も備えられているそうです。
東日本大震災の場合も、沖合から迫る高波をいち早く受信し、潮位と沿岸到達予想時刻をスマホか何かに表示できれば逃げ遅れる人も減るのではないかと思いました。
地震速報などよりも余裕があって、技術的には問題なさそうですよね。
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(蓮生寺門前)
 
さて、商工会議所支所前の十字路を左折し、すぐ次の路地を右折して右側にあらわれるのが、浄土真宗の蓮生寺(35.306,136.7367)です。
今回もかなり長くなってしまいましたので、次回は長島町中町にある蓮生寺の前から続けたいと思います。
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旧東海道ルート図(弥富駅入口~四日市駅入口)



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