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Channel: 旅はブロンプトンをつれて
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多摩の三展望台にブロンプトンをつれて(その2)

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お昼を簡単に食べた後、小田急線新百合ヶ丘駅から多摩線に乗車します。
時刻は午前11時36分。
柿生まで走って片平川沿いをさかのぼり、栗木台の峠を越えて走っても構わないのですが、かなり宅地化が進んでいてあまり面白くないので電車を利用します。
冬の日はつるべ落としといいますが、晩秋ともなると午後2時を過ぎた里山は、もう夕方の風情を漂わせはじめ、午後3時を過ぎたころからどんどん暗くなります。
今日は出かけるのも朝早くはなかったし、横浜線の橋本駅までゆくつもりですから、どうしても途中はパスして、その分電車に乗る前に早めのお昼を食べておきたかったのです。
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このように、途中を端折れるところがブロンプトンをつれたお散歩のよいところです。
自分が聖徒、じゃなかった生徒だったころ、小田急多摩線は本線と違ってローカルムード豊かな路線でした。
まだ家もアパートもあまり建っていなくて、茫漠たる宅地造成地の遥か彼方に蜃気楼のように新宿の高層ビルがかろうじて見えているというような状態でした。
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(はるひ野駅南口)

その頃は、小田急は本線に直通していませんでしたから、多摩センターや永山あたりの人が都心に出ようとしたら、大抵は京王多摩線の方を利用しているようでした。
よって小田急線は旧型車両の短い編成で、ますます田舎っぽくなっていました。
夏はエアコンも車内に効いていなかったと記憶しています。
あれからン十年、小田急も都心へ直通するようになり、「多摩急行」なんて列車種別ができ、多摩線の沿線も相当に開発が進んで、お洒落な住宅が山の縁まで立ち並んでいます。
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12分ほど乗車ののち、はるひ野という4つ目の新設駅で下車し、南口でブロンプトンを展開します。
おそらくブロンプトンをつれたお散歩に来なければ一生利用することのない駅だと思います。
この駅は跨線橋上にではなく、南北両出口に改札があるので、下りホームから南口、上りホームから北口へ出る際には階段を上り下りする必要がありません。
ホームからわずかなスロープだけで改札を出られるこのシステムは、ブロンプトンをつれていると重宝します。
それだけではなく、高齢者や幼児にも優しい駅だと思うのです。
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南口を出ると、コンビニとちょっと奥まった場所にスーパーがあるきりで、食事をとれるような場所はありません。
この辺りで食事をとろうとすると、北口から坂を下って行って県道へ出ればファストフード店があるのを知っていますが、わざわざ食事をしに坂を往復するのもおっくうですから、食事は新百合ヶ丘駅近辺をお勧めします。
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(里山が迫ってきました)

さて、学校の間を抜けて、住宅街を突き当りまでゆくといきなり「山道」にぶち当たります。
これが瓜生黒川往還と呼ばれる江戸時代に開かれた峠道です。
柿生の柿や黒川の炭を府中や八王子など甲州街道の街へ運んだ道ですが、今はハイキングコースにしかみえません。
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(住宅街の端から古い往還道に突入します)

往還というからには往来が絶えなかったということですから、歩荷(ぼっか)や牛車による輸送もあったのでしょう。
ということは、峠上には荷渡し場のようなものがもうけられていたのかもしれません。
山梨と東京の境にある大菩薩峠には、それぞれ峠下から荷揚げしてきたものを交易する場所が設けられていました。
ここはそこまで標高は高くありませんから、朝早く府中に向かえば夕方はあちらのお荷物を運んでこちらへ帰ってこれたのかもしれません。
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(秋の柔らかな日差しのもと、落ち葉を踏み踏み進みます)

ブロンプトンでそのまま入り、坂道を登ります。
ここから紹介する未舗装路へブロンプトンをつれてゆくのなら、秋から冬をお勧めします。
特に落ち葉が積もっているこの時期が一番良いと思います。
カサカサと落ち葉を踏みながら小径車を走らせたり押し歩いたりするのが子どもの頃を思い出します。
上はセーター下は半ズボンで、足を笹で切って傷だらけになりながら、こうして晩秋の野原を枯葉にまみれながら走り回ったものです。
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(子どもだったら横になって転げまわるのですが)

それだけではなく、利点もあるのです。
これが落ち葉の消えた早春にゆきますと、霜が溶けた日中はタイヤに泥が付着し、走行不能になってしまいます。
夏はといいますと、湿気が多くて蒸し暑く、当然展望台に行っても見通しが効かないことが多いのと、クヌギや楢など落葉樹が中心の森なので、凶悪な虫(特にスズメバチ)がいらっしゃるので、不用意に足を踏み入れない方がよいと思います。
里山をブロンプトンで満喫しようと思ったら、11月から1月いっぱいの紅葉~落ち葉の時期と、4月から5月にかけての新緑の季節がお勧めです。
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(尾根筋に設けられた雑木林の広場)
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(常緑樹と落葉樹がいい塩梅です)

山道ですからタイヤがスリップしたり、石にのったりするのですが、小径車なのでギアを軽くして漕げば、爽快にとは参りませんが走れなくもありません。
住宅街の端から往還を250mも登れば、尾根筋に出ます。
少し左に行くと、雑木林の中に広場があるので、お弁当をもってくればここで食べられます。
但し見通しは効かないので、尾根筋を戻り西の方へゆくと、途中川崎市上下水道局黒川配水池(やたら警告だらけの門)の前を通り過ぎ、再び尾根筋に出直します。
そこから東へ40mほど坂をのぼったところが、よこやまの道展望広場です。

ここが今回の第二目的地です。
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(突然展望が開けます)

ちょうど尾根の上が神奈川県川崎市麻生区と、東京都多摩市の境になっています。
よこやまの道については次回説明するとして、この展望広場からは多摩ニュータウン越しに丹沢~奥多摩~秩父の山並みをパノラマのように眺めることができます。
冬は山々に雪がかかって、かなり迫力があります。
おそらくニュータウンが開かれる前は、ずっと同じような里山が波打つように続いていたのでしょう。
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(展望広場)

案内板によると、神奈川県の最高峰蛭ヶ岳(1,673m)、富士山(3,778m)、南アルプスの塩見岳(3,047m)、奥秩父の国師岳(2,592m)、秩父の武甲山(1,295m)が一望のもとということですが、さすがに南アルプスは天気の良い日でも双眼鏡がないと厳しいと思います。
武甲山は秩父盆地からはどこからでも見える石灰採掘の山で、標高がどんどん下がっているとききました。
自分の記憶だと1,300m以上あったと思うのですが、そんなに縮んだのでしょうか。
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(中央の高層ビルが某通信教育社で、そのやや左が多摩センターの京王プラザホテルです。よく見ると、サンリオピューロランドの塔も見えています)

これからよこやまの道を伝って尾根筋を最後の展望台へと向かいます。
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