それでは実際にブロンプトンをつれてシーバスに乗船してみましょう。
頃は夕刻、ホテルニューグランド正面の山下公園内バラ園におりますと、「〇時〇〇分発横浜駅東口行きシーバスはただいま乗船手続きを行っております」というアナウンスが流れます。
ブロンプトンを押してシーバス乗り場に向かいます。
(※昨年までは山下公園内は海側を除いて自転車走行可能でしたが、今年に入って全面走行禁止になりましたので、押し歩きましょう。
浪馬はこの措置は公園を管理する側の退歩だと思います。
公園内にレンタサイクル「ハマチャリ」のステーションがあるにもかかわらず、この措置は行き過ぎです。
公園外の歩道も車道も自転車にとって危険な道であればこそ、せめて自転車の通行レーンを残しておくべきでした。
きっとマナーの悪い自転車が歩行者と摩擦をおこしたのだと推測しています)
ブロンプトンをたたんでから乗船券を売り場で買いましょう。
念のため、たたんだブロンプトンを見せて「このまま乗船しても大丈夫ですか?」と尋ねます。
今日は空いているからよいとのことでした。
複数台で乗船する場合、他の乗船客で混雑している場合はカバーをかけましょう。
今回はできるだけ船に乗って海から横浜港を観察したいので、直行便ではなく寄港便を選択しました。
「まもなく出港します」というアナウンスが流れるあたり、短くてもやはり船旅です。
ふと青函連絡船に乗った時、テープで銅鑼の音が流されていたのを思い出しました。
船は銅鑼をたたいたりボースンズ・ホイッスルを吹いたりと、独特の符牒があって面白いです。
乗船券を見せて桟橋へとおります。
階段はないけれど、滑り止めの凸凹がついているので、ブロンプトンを転がしてゆくのはちょっと辛いです。
桟橋のお隣に控える氷川丸との間に、シーバスが停泊しています。
船に乗り込む際にも切符を見せますが、回収は下船時になりますので無くさないように注意しましょう。
乗船したら寒い季節でない限り、後部デッキをお勧めします。
船室内から写真を撮ろうとしても、窓は塩がついていて外の景色はきれいに撮れませんから。
山下公園から横浜港へ向かう際、港を見たいのなら進行方向に向かって左側に座ります。
さて、いよいよ出港です。
桟橋と船を結んでいたタラップが外され、舳先を山下公園側に向けたシーバスは後進をしながら離岸します。
左手に山下ふ頭の倉庫群を見ながらバックしたら、向きを変えて氷川丸の鼻先をかすめるように北へ向かいます。
氷川丸脇の白色でアンティークな灯台は横浜東水堤灯台といいますが、すでに廃されています。
右手には横浜ベイブリッジが見えますが、シーバスの航路中では山下公園沖がもっとも近い位置になります。
橋の向こうは大黒ふ頭で自動車のヤードが広がっているさまは橋上からもよく見えます。
シーバスからみると、ちょうど車の並ぶあたりにローロ(RO-RO=roll-on/roll-offの略で自動車運搬専用の貨物船のこと)船が停泊しているのを認めます。
ベイブリッジのすぐ左手には、鶴見つばさ橋の2つの斜張塔の頭だけが見え、さらに左にはふ頭と陸をつなぐ大黒大橋がみえています。
その大黒大橋手前に見える横浜東水堤灯台と同じデザインの赤色の灯台が、横浜北水堤灯台です。
明治29年(1896)年に完成したこの灯台は御年121歳になります。
こちらは今なお現役で、東京湾内の現役灯台の中で最古参といわれております。
横浜は日本の灯台発祥の地でありますが、大さん橋と太平洋精糖(さとうのふるさと)のちょうど中間付近(35°27'36.4"N 139°39'29.5"E)、横浜港のど真ん中にあるこの灯台は、シーバスに乗らないとよく見ることはかないません。
座っている側の左手に目を向けましょう。
氷川丸がマリンタワーを背負った形でこちらを向いています。
なんだか昔のアメリカ海軍戦艦の籠マスト(軍艦オタクでないとわからないかも)みたいです。
その右にはホテルニューグランドがクラシカルないでたちで並んでいて、横浜港が文字通り日本の玄関だったときの風情を残しています。
きちんと船から見て美しく見えるように計算されていたんですね。
シルクセンターやピラミッドを逆さにしたような大さん橋ふ頭ビルを見ながら、大さん橋を回り込みます。
海から見ると、大さん橋の先端は大きな展望窓になっているのがわかります。
この場所は大さん橋から乗船する人しか立ち入れないので、入ったことのない私はシーバスに乗ってはじめて「こうなっているのか」と理解した次第です。
いつか国際航路にブロンプトンをつれて旅立つ日がきたら、あの窓から横浜港を往き来する船を眺めてみたいものです。
大さん橋の北側へまわったシーバスは、県庁のKING、税関のQUEENの2塔を見ながらお尻を振って、ピア赤レンガ乗り場に到着です。(つづく)