菊名駅の東口から旧綱島街道を妙蓮寺駅へ向かいます。
狭い駅前商店街を抜けてゆくのですが、突然道を横切る歩行者も多く、また自動車からすれば一方通行を逆走してくる自転車になります（自転車は逆走可）ので、注意しましょう。
菊名は、規模は小さいものの渋谷と地形がよく似ていて、三方を丘に囲まれて北側（渋谷方向）だけが開けているという状況で、これから妙蓮寺に向って谷間をのぼってゆく形になります。
短い商店街を抜けると横浜線のガードをくぐるので、すぐ左折します。
ここから道は緩い上り坂となります。
横浜線のガードから320ｍほどゆくと、左側に菊名桜山公園（35.505976, 139.636350）の入口があります。
ここは通称カーボン山と呼ばれ、もともと炭素繊維棒を製作している会社の社有地でした。
斜面には200本の八重桜をはじめ、コナラやクヌギなど落葉樹が多く植えられ、近所の人たちに里山として開放されていて、春の桜と秋の紅葉はとても見事なものだそうです。
また落葉後の冬には、丹沢や富士山も望める景勝の丘でもあったそうです。
2001年ごろ、デベロッパーに売却されて集合住宅が建つ計画だったのですが、地域住民が立ち上がり最終的には横浜市が買い取る形で決着をみました。
その後公園として整備され、2010年に菊名桜山公園としてオープンしたそうです。
旧綱島街道側は菊名桜山公園のいちばん下にあたり、公園の中に入ってゆくには、狭い急な坂道をのぼってゆかねばなりません。
そこで、ここでは公園の上に自転車で出るにはどうしたらよいかについて書きましょう。
前々回の、（港北）区役所前交差点（35.518603, 139.634171）まで話を戻します。
横浜環状2号線を左折し、80ｍ坂をのぼってひとつ東側の信号（35.518931, 139.635137）を右折します。
マンションわきの坂道をのぼってゆきましょう。
最初は少し急ですが、ゆっくり走れば押し歩きしなくても何とかのぼることができます。
信号から400ｍの区間は上りになりますが、上へゆけばゆくほど緩くなり、また途中何箇所か踊り場になっている平坦部分がありますので、6速のブロンプトンならのぼることが可能です。
菊名小学校を見下ろすあたり（35.513665, 139.635845）まできたなら、その路地は両側が切れ落ちた尾根道になっていることに気がつくと思います。
菊名小学校から200ｍ先のマンションのあたりが菊名貝塚のあった場所（35.511360, 139.636666）ですが、標識も何も立っていません。
このあたりから冬場に見る富士山は、たいへん見事です。
さらに進むと、まもなく信号機のある横断歩道（35.510226,139.637464）で県道に出ますが、ここが新綱島街道、菊名ハイウェイの菊名駅入口交差点から坂をのぼりきった地点にあたります。
信号を渡って左折し、県道の右側の歩道をすすみます。
250ｍ南の法隆寺交差点（35.508610,139.639470）は新しい首都高速のインターができる予定ですが、こんな山の上の三叉路にインターチェンジを作ったら、渋滞必至だろうと思います。
法隆寺交差点からさらに綱島街道を横浜方面に進みます。
尾根上、綱島街道に並行して細い路地が西側にありますので、こちらを利用しましょう。
240ｍ先で横浜線の寺尾トンネルの真上を通るのですが、鉄道トンネルは長さが73ｍしかありません。
そして、上を通る綱島街道の標高は37ｍで、道幅は路側も併せて21ｍしかありません。
どういうことかと申しますと、綱島街道の両側はスパッと切れ落ちた崖になっていて、その下を短いトンネルで横浜線が通過してゆくのが上から眺められるという具合なのです。
むかし、まだ車の数が少なかったころ、この場所にきて綱島街道から見下ろすと、菊名駅側から走ってきた横浜線の電車がトンネルに入ると同時に道路を横断して逆側にまわり、反対側の崖上からのぞき込むと、ちょうど電車がトンネルから出てくるという、まるでジオラマの上にでもいるような気分になれる場所で、電車が好きな近場の子どもたちは、親にこの場所へ連れてってくれとせがんだものでした。
さて、その横浜線のトンネル上から綱島街道を南へ80ｍ進んだ老人センター前信号（35.505762, 139.638755）を右折して路地を下ってゆけば、菊名桜山公園の上側の入口にたどり着けます。
なお公園はスロープがついており自転車でも坂を下って通り抜けられますが、近所の方の通路になっているので、ゆっくり下るように心がけてください。
春の八重桜は花期が長く、この公園内の下り坂はまさに桜のトンネルになります。
なお、余談ですが数年前までこのご紹介した細い尾根道のどこかに、某航空会社の客室乗務員の寮がございました。
山の上に会社のロゴ入りでかなり大きな建物がそびえていたものですから、東横線の車窓からも良く見えまして、その時分、この通りをそれは美しい方がたくさん行き来しておられたのだろうと思います。
いや、その寮は取り壊されて跡形もありませんし、あの方たちを取り巻く環境もずいぶんと変わりましたから、昔話になってしまいました。
さて、谷筋の旧綱島街道に戻ります。
菊名桜山公園の下から、横浜方面にゆるい坂をのぼってゆきます。
四輪車は一方通行で前からしか来ませんから、自転車は気楽です。
370ｍさきで東横線の踏切（35.503435,139.634681）を渡ります。
東横線の踏切は、高架化工事のおかげでずいぶん少なくなりました。
その数は合計19か所で、内訳は以下のようなものです。
１．都立大学駅～自由が丘駅間 5か所
２．自由が丘駅～田園調布駅間 3か所
３．菊名駅～妙蓮寺駅間 3か所
４．妙蓮寺駅～白楽駅間 6か所
５．白楽駅～東白楽駅間 2か所
このうち、今回の踏切もそうなのですが、１、２、３、に関しては自由が丘駅と菊名駅が各停と急行・特急電車の乗り継ぎ駅になっている関係上、開かずの踏切になりやすいのです。
このなかなか開かない踏切を避けるために地図上では旧綱島街道とは別に、谷の川筋に沿った抜け道も図示しておきました。
菊名駅の先で横浜線のガードをくぐったあと、すぐ左折せずに二本目の細い路地（35.508827,139.633238）を左折し、川の暗渠上を進んでゆくコースです。
もちろん、車やバイクは通行できず、歩行者か自転車しか通れません。
しかしこの道は東横線沿線の昔をほうふつとさせる道です。
ガードの下をくぐる歩道や、ネギや大根をつくっている畑の脇を抜けてゆくところなど、いま沿線でほとんど失われてしまった原風景が奇跡的に残っています。
こちらの道も機会があったら入ってみてください。
もうひとつ、東横線の西側の山の上を通り抜ける道もご紹介しようと思います。
菊名駅の旧綱島街道とは反対側、西口から南へ向かいます。
（菊名駅の東口から西口へ回り込む方法は、前回にご紹介しています）
横浜線のホーム下をくぐりぬけ八幡通りという正面の坂道を、道なりにのぼってゆきます。
最初は少しきついのぼりですが、だんだんとゆるくなりますし、こちらも時々休める踊り場があります。
450ｍ先が頂上で、そこから400ｍほど尾根上の道をゆくと神社に突き当たります。
ここが篠原八幡神社（35.505282, 139.623353）です。
創建は1192年といいますから鎌倉時代で800年の歴史があります。
ここをご紹介したのは「逃げ恥」の関係です。
最終話の縁日のシーンがありましたよね。
あれが撮影されたのが、こちらの神社なのです。
マンションの方は駅から近いからファンがたむろしていますが、ここまで来る人は稀です。
そこのところを考えると、ブロンプトンはドラマのロケ地巡りには良いツールになると思います。
あのドラマの最終回はなんだか予定調和的な結末だった気がしますが、私が印象に残っているのは百合さんと涼太さんがこの神社の裏手で告白しあうシーンです。
あれ、世代間ギャップがもろに出ていて興味深かったです。
百合さん世代は自分の青春時代を思い起こしただろうし、涼太さん世代は今時こんなのないでしょと感じたのではないでしょうか。
なかの人（ゆり子さん）が昔とたいしてかわっていないから、演出にケレン味が利くのでしょうが、私の世代ではタイムマシンでも持ってこなければ無理です（笑）
あんまり書くとボロが出そうなので、今日はこの辺で。
あ、局の番宣ではありませんが、本日6月11日の午前11時から21時まで、BSで全話放送するそうですよ。
次回はこの篠原八幡神社から妙蓮寺駅周辺をご案内したいと思います。