こんな話題を書いていると、「お前はブロンプトン教団のエバンジェリスト(伝道師)か」と言われそうですが、実際に痩せた経験があるのでその覚え書きとでも考えてくだされば結構です。
ただ、旅が好き、お散歩が好きという方は、好奇心旺盛な人が多いと思うので、そんな方には、ブロンプトンを使ってのダイエットはお勧めです。
と同時に太り出している自分がいます。
でも、限られた時間でどうブロンプトンを効率的に使うかも継続するためのひとつの要素ですから、それは別の機会に詳細を書きましょう。
・規則正しい生活をする
まず、お断りしておきたいのは、痩せたいのならダイエット以前に健康的な日常生活を送るというのが大前提です。
毎日食事は規則正しく適量を摂取するとか、夜更かしをせず、必要とされる睡眠時間をとるというのが基本です。
他のダイエットでも同じことですが、「昨日食べ過ぎちゃったから、今日は運動しないと」とか、「最近お酒の量が増えているから、夜中でも汗をかいて悪いものを追い出さないと」など、不健康な生活に対する補償的な考え方でダイエットするのは、逆効果だと思います。
一生懸命食べるのを我慢して、ついに限界が到来して爆食をするというのが、摂食障害(拒食症や過食症のことです)の端緒だと本で読んだことがあります。
現代人は何につけてもほどほどができません。
ブロンプトンであっちへ行きたい、こっちへ行きたいという希望があったとしても、寝食を忘れて自転車にまたがるようでは、習慣になりようがありません。
くれぐれも、仕事が忙しいから週末にまとめて100㎞以上を走破するとか、眠る時間や食べる時間を削ってまでブロンプトンにまたがったりしないでください。
この点、以前書いたように早寝早起きが最も効率が良いと思います。
・「痩せるぞ」という意識を手放し、のんびりと徐々にならしてゆきましょう
過度で急激な習慣は、得てして長続きしないものです。
今から今年の夏に水着がどうたらなんて言わず、来年の夏くらいには痩せていれば儲けもの…くらいに考えておく方が賢明です。
実際、私は6月にブロンプトンを買いましたが、その年の夏は(太っていて)暑いからという理由で、旧街道の旅以外はほとんど乗りませんでした。
いま考えると、そんなスロースターターが却ってその後長続きする秘訣だったように感じています。
太っている状態で、灼熱の道路を汗だくになって走るのは苦行ですし、日射病のリスクも出てきますから。
かといって、「明日乗ればいいや」という考え方で先延ばししていてはいつまでも乗ることができません。
これからの季節であれば、最初は朝早起きして近所の公園まで散歩がてらに走ってみるというのはどうでしょう。
近所にたとえ小規模であっても、季節の花が咲くような公園やお寺などがあれば最高だと思います。
かつて、私は通勤途上にビル陰の小さな空き地で野良猫が子育てしている場所があって、そこを通るたびに子猫たちが大きくなってゆくのを楽しみにしていました。
人間ってそんな些細なことでも、仕事へ行くモチベーションになったりします。
ブロンプトンなら玄関に置いていて畳んだ状態から、乗るまでに慣れれば1分とかかりません。
走ることと違って、ほんの1㎞、数百メートルであっても、乗ると気持ちが癒されるのがブロンプトンの良さです。
・ブロンプトンで走るときには、有酸素運動を心掛けましょう
ある自動車評論家が、モータースポーツという言葉を評して「日本人にとって、スポーツとは身体に負荷をかけて根性でやるものとしか理解されなかった」と本に書いていました。
でも、いくら車やオートバイに乗ったところで、痩せることはできません。
電動アシスト自転車に乗っても、痩せられません。
つまり代謝を高めて痩せようとするなら、身体に負荷をかけずに済ませることはできません。
では、続けられる負荷運動とはどのようなものでしょう。
殆どのスポーツで言われていることですが、筋肉をつけたり、技術を向上させたりするためのトレーニングと、脂肪を燃焼させるためにする運動では、メニューが違います。
運動は有酸素運動と無酸素運動に分けられ、無酸素運動の中がまた、乳酸系と非乳酸系に大別されるというのは、水泳をやっていたときに教わりました。
運動の負荷は後者へ行けばゆくほど重くなるのですが、たんに今の体型を維持するとか、痩せて適正体重に戻すということであれば、いちばん負荷の軽い有酸素運動だけで十分です。
たとえば、今からマスターズの100m自由形に出場するために、無酸素運動を含めた重負荷トレーニングを課したとして、結果的に短期間で理想の体型を獲得したとしても、大会が終わって練習をやめたなら、或いは負荷を軽減させたなら、せっかくついた筋肉は早晩脂肪になります。
(しかも年を取ればその変化のスピードも速いから始末に悪いのです)
有酸素運動は代謝を高めて脂肪を燃焼させるだけでなく、心肺機能を強化し、生活習慣に伴う慢性疾患の発症を抑え、不安や抑うつを軽減させるという効果があります。
ゆるゆると、しかし汗をかいてちょっと苦しいかなくらいがちょうどよいのです。
そして、ここでは脂肪を落とすという目標以前に、「続け(られ)る」という大命題があるわけです。
人間、いくら「痩せられる」という果実をぶら下げられても、その過程が苦しければ続くものではありません。
いや、楽しくなければ続けられるものではありません。
私が水泳をやっていて一番嫌だったのは「苦しいだけで景色が変わらない」ことでした。
技術や体力がついて速く泳げるようになると、目に見える景色とは別の景色が違ったものの見え方になるというのは分かるのですが、正直言うとそれ以前の練習が苦痛だったのです。
その点、自転車での走行はどこへでもゆけ、経路も自由に選べます。
ブロンプトンならさらに、お隣の駅まで走ってから電車で帰ってくるとか、逆に電車でお隣の駅まで行ってから走って帰ることができます。
道を逆に、或いは筋を一本違えば全然違う景色に出会えます。
バリエーションを変えて走ることができるというのは、飽きない、やりすぎに陥らないための重要な要素だと思います。
「苦しい」を好奇心に代えられるブロンプトンは、素晴らしいツールだと思います。
(つづく)