今回は旅行の日程上雨の日がある場合どうするかについて書きたいと思います。
例えば、
・朝に家を出るときには晴れていたのに、新幹線や飛行機で目指す都市まで行ったら現地は雨が降っていた。
・現地にて午前中は雨が降っているけれども、午後は確実に晴れてくると天気予報はいっている。
・旅程のうち、一部の日にだけ雨の心配がある
上記のような場合に、ブロンプトンを旅につれてゆかないという決断をしたなら、その雨のためだけに他の晴れた日を犠牲にすることになってしまいます。
なお、自宅から最初の宿泊地までゆく旅の初日、および旅先から自宅へと戻る最終日に、めいっぱいブロンプトンで走りたい場合には、天候のいかんにかかわらず、応急修理以外の荷物は国内旅行の場合でも宅配便等で送った方が良いと思います。
とくに空港や駅を出てから宿までの間に、逆に宿泊先から駅や空港までの間にあちこちを見て回る予定をたてているのなら、着替えやその他の大荷物を持ってブロンプトンに乗るのは、ユニークな行動をしようとすればするほどに、それら荷物が足手まといになります。
宅配便を利用したところで、送料はたかだか1,000円~1,500円程度です。
どうしても荷物を送りたくないのであれば、初日ならホテルに、最終日なら駅や空港に真っ先に行って、荷物をロッカーに預けてから身軽になって走った方がよいでしょう。
本題の雨天に話題を戻します。
梅雨時(前線が停滞するような日)でもない限り、一日中雨降りという日はそうしょっちゅうあるものではありません。
(最近の日本は亜熱帯のような気候なので、そうとも言い切れませんが)
そして、雨雲の動きや降雨の様子がかなり正確にネットでつかめるようになりました。
ということは、いつ雨が降りやむのか、おおよそのところは予測がつきます。
ならば、雨がやむのをまつというのもひとつの方法です。
では、どんな風に天候の回復を待ったらよいでしょうか。
以下の例は目的地に2泊以上滞在する旅行について、中日が雨天のケースにも当てはまると思います。
(1)天候の回復を待つ
① 駅近くで食事、散策、ショッピングをして待つ
現地の駅の周囲にあるカフェや喫茶店で、その後の旅のプランを練るのもワクワクします。
窓から雨の日の街の様子を観察するのも良いし、他のお客さんの方言を耳にしながら静かに本を読むのもよいでしょう。
たたんだブロンプトンを脇に座っていると、マスターや暇そうなおじさんが声をかけてくださることもあります。
そこから、ネットでは知りえなかった現地情報を耳にすることもできます。
こうしたことは、街も小さいほど、そして駅から離れた不便な場所ほど起こりやすいものです。
ブロンプトンをコインロッカーに入れたり、駅の屋根付き駐輪場(天気がぐずついている日は一時利用も空いていることが多いです)にとめたりして、駅ビルと接続した地下街やアーケードを歩いて散歩してみましょう。
そこに住んでいる人のようなふりをして、店をひやかして歩いてみると、自分の家の周りとの違いにあれこれと気が付きます。
たとえば、観光客相手ではない店に絞って、その地方の名産品や特産品を探してみるとします。
「本当に良いものは築地にいってしまうんだよね。
でもこんなのもあるよ。」
その後は現地でのお楽しみということで。
②駅から遠い大型ショッピングモールまで行って待つ
前に実習をしたとき、地方の子どもたちと触れ合ったことがあります。
「昨日の日曜日は雨だったけれど、みんなはどう過ごしていたの?」と訊く私に対して、「お父さんとお母さんと○○○○(その地域では有名な巨大ショッピングモール)に行っていた」、「わたしも」、「□□ちゃんの家の家族とそこでご飯食べたの」と答えが返ってきて驚きました。
どうも山に近いその街では休日に雨が降ってしまうと出かける場所がなく、その商業施設に近隣の学校に通う子どもたちが、一家総出で集合するらしいのです。
そういう今どきの大型ショッピングセンターに行っても、均一化した商品が並んでいるだけだと思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、それならなぜ御殿場や軽井沢など、全国展開しているアウトレットモールに旅行客が押し掛けるのでしょう。
あれは、「旅先という非日常的な時間と空間に身を置くと、自然と財布のひもが緩む」、「三世代家族旅行等の場合、経済的に余裕のある上の世代は子どもや孫のためならお金に糸目をつけない」等の心理的効果(そのアイデアはまさに旅行における土産物の購入心理を読んでいます)のほかに、もうひとつ、仕掛けがあるのです。
それは「ここにしか置いていない」、「ここでしか買えない」という殺し文句です。
アウトレットモールならだいたいどこもお馴染みのブランド店舗が入っています。
でも、ひとつひとつ店をつぶしてゆくと、モデルや型番、色やサイズなど、当店限定とか今季限りと銘をうっていたり、店員から説明を受けたりすることが多いのです。
(真実かどうかは確かめようがありません)
それが近所のお店なら、「また出直して買えばいいや」ということになりますが、旅先だと「ここで逃したら今生の別れ」という気分になりやすいのです。
同じように、食料や日用品、生活雑貨を置くショッピングモールも、よく観察するとその地方でしか売っていないような商品を置いています。
たとえば、青果や鮮魚のコーナーを覗いてみてください。
見たこともない野菜や果物、魚が並んでいてご丁寧に調理法のレシピが添えてあったり、運が良ければ試食ができたりします。
あるいはモールの中にある書店の学習書・参考書コーナーをチェックしてみます。
小中学生の社会科の副読本として「わが市のあらまし」的な本を見つけることがあります。
こうした本は、その地域の概要をざっと把握するには最適な資料だったりします。
さらには、加工食品、衣服やタオルなどの繊維類、陶磁器類など、その地方の特産品で日常消費される商品が安価に入手できる場合もあります。
(ただし、こうした商品は①の駅前や旧市街の個人商店の方が、種類も豊富で期待が持てます)
商品を買う買わないは別にして、このようにその地域の人たちがどんな生活をしているのかを知ることは、自分たちの生活を客観的に振り返ることにもつながって、よい社会勉強になると思うのです。
また、こうした大型ショッピングモールの中には、最寄りの駅から無料の送迎バスを運行している施設もあります。
もし駅から目的地(宿泊先)までの間にショッピングモールがあるのなら、そこまで送迎バスで行って天候の回復を待ち、そこから宿まで雨上がりの道を走ってゆくのも楽しいと思います。
③屋内観光施設(博物館・美術館・資料館・屋内中心のテーマパーク)にて待つ
②と同様に考えたらよいでしょう。
施設には駐輪場がなくても、受付で預かってもらえます。
こうした施設で忘れずに見ておきたいのは、ミュージアムショップや受付傍のパンフレット類です。
周辺の施設や関連の店など、ネットでは手に入りにくい情報が置いてあったりします。
④大型書店または図書館に行って待つ
旧東海道の赤坂宿のところでも書きましたが、郷土史や地方経済、地域の自然等について書かれた本がありそうな場所へ行って、旅行中に興味をもった事柄について調べてみると、情報が広がります。
今はスマホやタブレットで、現地の生情報と照合できます。
翌日の行動プランを立てるような気持で、こうした場所に行くとよいと思います。
⑤自転車の整備をして待つ
ちょっと風変わりな時間の使い方になりますが、簡単な点検なら往来などの邪魔にならない、屋根のついた広目のスペースがあれば、持参してきたパンク修理用の工具でできてしまいます。
もちろん、その場所を管理している方がいるのなら、許可を得てからがマナーです。
それはちょつと気がひけるというならば思い切って駅近くの自転車屋さんに入ってみましょう。
雨降りの日というのは、大抵の自転車屋さんは暇です。
そこへ行って、「明日はどこそこを走ろうと思っているのですが、自転車を見てもらえますか?」と有料で点検を頼むのです。
自転車屋さんやバイク屋さんは、その地域のサイクリストやツーリングライダーの集まる場所です。
現地の道路事情やサイクリングコースに詳しいので、ホットな情報を仕入れることもできます。
私もせっかちなほうで、待つのは苦手だったのですが、ブロンプトンをつれて旅するようになってから、こうしたのんびりした時間も貴重だと思うようになりました。
雨が降ったから何かができないのではなくて、雨が降らねばできなかった経験をさせてもらっていると考えればよいわけです。
次回は待つ以外の方法について書きたいと思います。