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Channel: 旅はブロンプトンをつれて
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志賀草津道路(国道292号線)にブロンプトンをつれて(その10)

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 草津温泉バスターミナルから白根火山行き路線バスに乗って終点で長野電鉄バスに乗り換え、渋峠を目指します。
 もし、途中で白根火山ロープウェイに乗ってみたいのなら、途中殺生河原バス停で下車し、山麓駅から山頂駅まで空中散歩を楽しんだのち、逢ノ峰を回り込むほぼ平らな林道で白根火山バス停に到達できます。
ただしこの場合、殺生河原~白根火山はバスなら15分で走ってしまうのに対し、ロープウェイは13分。
林道を走りブロンプトンをたたむ手間を考えると、乗り継ぎの長野電鉄バスには間に合わないと考えてよいでしょう。
草津白根レストハウスが営業しているのなら、バスを待つのは問題ないのですが、草津白根山の噴火警戒レベルが上昇したことで、駐停車禁止になってしまいました。
2017年以降のグリーンシーズンは、どうなるか今のところ不明ですが、よく調べてからお出かけください。
なお運賃差は以下の通りです。
・草津温泉―(草軽交通・JR・西武高原バス 1,130円)―白根火山
・草津温泉―(草軽交通・JR・西武高原バス 620円)―山麓駅―(白根火山ロープウェイ 900円)山頂駅―(自走10分)―白根火山
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(白根火山バス停に停車中の西武高原バス)

 群馬側へ向かう際にご案内した通り、白根火山バス停から渋峠バス停まで長野側へ進行する場合は、途中停留所なしで八割方は上り坂になります。
しかも万座温泉への分岐から草津白根山の肩までと、大分水嶺の碑から国道最高地点の間は、つづら折りの上り坂です。
高所トレーニングには絶好の場所なのですが、ブロンプトンでやるのはどうでしょう。
(達成感はあると思います)
最初の方でご紹介した長野電鉄バスの「志賀高原得トクきっぷ」を持っていれば、この区間は何度でも往復できます。
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(といっても一日この本数ですから。マイカーよりもバスの方が眺めがよいのですがね。運転しなくていいし)

 渋峠バス停で下車すると、長野県側を向いて左側に渋峠ヒュッテと小さなガソリンスタンド、右側にはスキー場があります。
ここ、志賀高原どころか日本で一番高所にあるスキー場として有名な、渋峠スキー場です。
標高は2307mで最高所が横手山山頂、スキー場はその東斜面にあります。
これよりも高所に中央アルプスにある千畳敷カール(2830m)がありますが、あちらは45月の営業ですし、ロープトゥが一本仮設されるだけですから、スキー場としては微妙です。
もちろん私、どちらも滑ったことありますが、千畳敷に関しては、連休にあんな山の上の空気が少ない場所でスキーを担いで何本も登って、酸欠であたまがくらくらするし、顔はどこの国のもんだってくらい汚くなってしまうし、なんぼスキーが好きでも拷問かと思いました。
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(長電バスは冬はスノーシャトル=スキー場間連絡バスになるため、スキーヤーやボーダーをのせて走る都合上、普通のバスよりスペースがゆったりしています。ちょうどスキーを立てかけるスペースにブロンプトンが収まります)

 しかし、この渋峠スキー場も、千畳敷に負けず劣らず拷問に近い感じを受けることが多いのです。
まず寒い、というか痛いのです。
低温+風が強いのなんのって。
それでもってリフトがゆっくりです。
強風のスキー場なので仕方ないのでしょう。
けれども、北海道のニセコや安比など寒くて当たり前な場所は受け入れられるのですが、ここは、なぜわざわざこんな高いところまで来て…という気になります。
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(渋峠スキー場の基部は、五月の連休でもこの積雪です)

コースはコメツガに囲まれた狭い回廊型の林間コースなのですが、冬場は樹木が半分以上樹氷状態になってしまって、あのモンスターが風にガンガンゆれているのです。
20分もいると、髪の毛の先や睫毛が凍ってきて、人間まで樹氷になるんじゃないかという寒さです。
でも、よく晴れた日でも11時近くまでダイヤモンドダストが見られるし、雪質は片栗粉のうえを滑っているようなパウダースノーです。
(雪玉は作れませんから雪合戦もできません)
グリーンシーズンもリフトは動いていて横手山山頂まで登れますが、よく晴れている日なら逆側からのぼることをお勧めします。
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(右手にあるガソリンスタンドは、当然に日本で一番高いところにあるスタンドなのです)

渋峠バス停からブロンプトンに乗って国道292号線を蓮池、湯田中温泉方面へと下ります。
右手が横手山の南斜面、左手が七味温泉や松川渓谷に続く谷です。
そのさきに善光寺平(長野盆地)を見下ろし、対面には飯綱、戸隠など北信の山々、さらに向こうには北アルプスの山並みが屏風のように連なっています。
ここは高校のスキー教室でよく晴れた日に、上級者の先輩たちと列を組んで下りました。
みんな滑れるのに、初級者向けの迂回コース(道路ですから)をおりたものだから、引率の先生にブリブリ文句を言っていたのをおぼえています。
私なんかはスキーそっちのけで景色に見とれていましたが。
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(スノーシェード中は、ほとんどドライです)

森林限界を超えているためか、谷側は夏でも一面熊笹の生い茂る斜面がずっと下まで続いており、こんなところからハンググライダーで飛び出したら気持ちよさそうな雰囲気です。
自転車でゆっくり走っていると空中散歩している気分になれますが、国道の縁はワイヤーロープのみですから、スピードを出しすぎてカーブの外へ飛び出したなら、本物のスカイダイビングになってしまいます。
注意しましょう。
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(左奥の茶色い山が草津白根山です)

渋峠から眺望のよい道を1.7㎞下ると、次のバス停、「のぞき」に到着です。
ご丁寧に「のぞき小屋」というレストハウスまであります。
アルバイトで修学旅行の高校生たちにスキーを教えていたとき、ここへ連れて来て「はーいこの場所について説明します」とはじめると男子はニヤニヤ、女子は困惑気味なのでした。
でもね、のぞきって変な意味は全くないのです。
ここは修験道の人たちが、岩の上から上半身を乗り出して恐怖に耐える「のぞき」という修行をしていたから、その名前がついたのです。
むかしのバンジージャンプみたいなものですね。
そう話すと、男子はガッカリ、女子はホッとするのでした。
あの子たち、一体どんな説明を期待していたんだか。
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(これはもう、ブロンプトンによる空中散歩ですわ)
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(少し広くなっている場所にブロンプトンを停めて、路肩から足を投げ出し、缶コーヒー片手に文庫本を読んでみます。ご覧のようにメッシュのシューズを履いていると、谷底から吹き上げる風でスース―します)

夏場はのぞきからエスカレーターとリフトを乗り継いで横手山山頂へゆけます。
天気の良い日ならブロンプトンをここにとめて、往復してみましょう。
渋峠よりもこちらからのルートをお勧めするのは、ひとえに眺めがよいからです。
とくにこちら側のリフトの下り乗車は、志賀高原の笠岳がアクセントになってまるで「アルプスの少女ハイジ」のオープニングに出てくるブランコからのような景色を楽しめます。
山頂のヒュッテは「きのこ雲」(何というネーミング…)という名のパン+スープが有名です。
何度か食べましたが、寒い時は特に美味しいのでした。
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(のぞきのエスカレーター。半端な時期は運休しています)

本当に天気の良い日ですと、山頂の北側からは日本海まで見え、南側は富士山が見えます。
日本中に富士山と日本海が一緒に見れるところって、そうそう無いと思うのです。
また、季節にかかわらず夕方まで晴れている日は、絶対に山頂へ立ち寄ってください。
運が良ければ雲海のうえに輝く夕陽を拝めます。
わたし毎冬に4年間ここでバイトしていましたが、一度だけそういう眺めに出くわしたことがあります。
ゲレンデの中腹でスキーの練習をしていたら、「いま山頂から雲海が見えます。ぜひいらしてください」って場内放送がかかったので、中止して行ってみました。
カメラが無かったので記録できなかったのですが、文字通り黄金色の海で、一生忘れることのできない眺めでした。
あんな神々しい世界がごくごくたまーに現れるから、アルピニストたちは生命の危険を冒してまで何度も冬山に登るのだということがよく理解できました。
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(横手山からのぞき方面へ下るリフトは、高所恐怖症の人にとってはちと辛いかもしれません)

今回は冬場の横手山周辺の魅力ばかり書いてしまいました。
シーズンに突入したからでしょうか。
次回はのぞきバス停から硯川・熊の湯、蓮池方面へと下ります。
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