お金がないから見るだけでしたが、友だちに頼まれて付き合いでゆくと、お店のバイトに知り合いがいて、「今年の初滑りはどこにするの?」などと話し込んでしまうのでした。
天神平へ行くには、上越線の夜行列車に乗って土合駅地下下りホームで下車し、映画「クライマーズ・ハイ」にも登場した計486段の階段を、肩にスキー板を背負い、手にはスキーブーツを抱えたまま登らねばなりませんでした。
やっとのことで地上に出て、混雑したシャトルバス(現在は運行していません)に乗って谷川岳ロープウェイの土合口駅に着いても、そこでは長蛇の列が待ち構えているのでした。
あんなに苦労しても、天神平の小さなゲレンデで滑れることがうれしくてたまらなかったのです。
あの店には「カロリー焼き」という定番メニューがあります。
パスタに牛肉と玉ねぎを混ぜた鉄板焼きです。
先日、白楽のキッチン友に入って「友焼き」を注文したら、玉ねぎと牛肉の鉄板焼きが登場して、昔を思い出してしまいました。
湯気の向こうに、あの時の熱気のようなものをしばし見た気がしました。
いつかまた、12月の雪が不足気味のスキー場に行って、雪面に板をぱたんと倒し、ブーツの踵を踏んで第一歩を蹴りだす、あの興奮を味わいたいと思うのでした。
(それは知らない街でブロンプトンを漕ぎだすときの興奮に驚くほど似ているのです)
クリスマスはちゃんとらしくするので今はありえないけれど、今宵はユーミンの流線形’80でも聴いてから寝ましょうか。