彼が21歳で九州へ遊学した折に書いた旅日記の序文です。
自分なりに現代語訳をしてみました。
間違っていたら教えてください。
道を学び己れを成すには、古今の跡、天下の事、陋室黄巻(ろうしつこうかん)にて固より足れり。
豈に他に求むることあらんや。
顧(おも)ふに、人の病は思はざるのみ。
則ち四方に周遊すとも何の取る所ぞと。
曰く、「心はもと活きたり、活きたるものには必ず機あり、機なるものは觸に従ひて發し、感に遇ひて動く。
發動の機は周遊のなり」と。
人生において身を立てるために学問をするのなら、狭い部屋に閉じこもって歴史や政治について書物を通して学べば済むことだ。
しかしそうした学問では、これでじゅうぶんだから、出かけて行ったところで何を得るというのかと、頭でっかちになってしまう。
しかし、私は次のように言わせてもらう。
「心は生き物であり、生きているものには必ず動きがある。
心の動きは物事に触れることによって生じ、感動する場面に遭遇して動く。
この物事や場面を与えてくれるのが、旅の長所である」と。