このシリーズも3回目になりました。
かなり口の中というか胃の中というか、甘い味でもたれております。
芝大神宮を出て、今度は浜松町駅をかすめ、お煎餅屋の淡平さん(35.654377,139.756200)に向かいます。
やったー煎餅だぁと喜んだのもつかの間、お休みでシュンとしてしまいます。
気をとりなおして将監橋までもどり、芝商店街の南端にあるたい焼きの寿堂菓子店さん(35.649651,139.752089)へ。
くうーっここでたい焼きとはきついなぁと思っていたら、こちらもお休み。
なんと2回続けて空振りです。
やはり日本橋から銀座、新橋にかけては観光客や日曜のショッピング族が多いのですが、芝大門あたりまでくると、オフィス街で週末はひっそりとしているから開いていないのかもしれません。
再度気を取りなおして慶應義塾大学角、三田二丁目交差点にある大阪屋さん(35.647763,139.744171)に向かいます。
このお店は「秋色最中」(164円)が有名です。
芝榮太樓の店員さんも教えてくださいました。
わたしはてっきり「あきいろもなか」という季節商品なのかと思っていました。
もう9月だし、秋の新作が出てもおかしくないと思っていました。
ところが、本当の名前は「しゅうしきもなか」でした。
店のホームページを読めばわかりますが、江戸時代にこのお店のお嬢さんで「お秋」というお嬢さんがおりました。
彼女は13歳の時に上野にお花見に行った際に俳句を詠むのですが、それが寛永寺の法主の目に留まり、その縁がもとで大名屋敷に招かれます。
13歳の娘が用意された塗り駕籠に乗って大名屋敷へ向かうわけですが、こんな機会は滅多にないと父親が付人に変装して徒歩でついてゆくのです。
さて大名屋敷の帰り道、雨が降ってきます。
父親が徒歩で自分は駕籠という状況に負い目を感じたお秋は、駕籠屋に「おなかが痛いので薬を買ってきてほしい」と頼み、彼らがいない間に駕籠に父を押し込めます。
そして自分は父の合羽を纏うとひとりで帰路につきました。
駕籠が家に到着すると、中から出てきたのは少女の父親だったため、駕籠屋たちは仰天しました。
この話が「親孝行の秋色女」として江戸に広まったため、「秋色」という名前がついたのだそうです。
さて大阪屋さんを後にして白金高輪台方面に向かい、魚籃坂をのぼります。
三田方面から高輪台へのぼるのに、一番緩い坂がここです。
魚籃坂を登らない方法もあるのですが、今回はカロリー消費しなければならないので押し歩きでもよいから登りましょう。
魚籃坂なんて珍しい名前ですが、坂の途中に魚籃観音を祀る魚籃寺(35.642637,139.737441)があることからそう呼ばれています。
音だけ聞くと、いくらかキャビアでも持っている観音像かと思いますが、魚籃とは魚をいれる籠のことで、そういうアイテムを持った観音像があるのだそうです。
坂上で右折し少しゆくと右側にあるのが松島屋さん(35.640531,139.737398)です。
ここは豆大福が有名で、東京三大豆大福(ほかに原宿の瑞穂さん、護国寺の群林堂さん)の一角を占めるのだとか。
三大って色々ありますが、豆大福にあったのですねぇ。
ところが残念ながらこの日はすでに売り切れです。
仕方がないのできび大福(170円)をいただきました。
うー、おいしいのですが、餅がもたれる。
そこからせっかく坂を登ったのだからもったいないと、品川方面に尾根の道を走ります。
新高野輪プリンスホテルの裏をぬけ、さらに尾根上を進んで上手に御殿山交番前に出ます。
そのまま信号を渡って直進し、原美術館の先の突き当りを左折すると、やがて路地は山手線や東海道本線のうえをまたぎ、北品川交差点で第一京浜を渡ります。
そのまま直進すれば旧東海道に突き当たるので、右折して横浜方面に80mほど行ったところにあるのがお煎餅のあきおかさん(35.620104, 139.741702)です。
創業明治28年(1895年)の老舗で、お店の中には様々なお煎餅が並んでいます。
もちろん一枚売りもOKです。
ここで有名なのはやはり品川巻でしょう。
細長いあられに海苔を巻いたものを品川巻として売っています。
品川から大森にかけては、江戸の昔は海苔の産地で、それをお煎餅に巻いたいわゆる海苔巻き煎餅のことを別名品川巻といいます。
広辞苑にも載っているので、商標としては登録できませんが、本場品川の品川巻です。
ということで、一枚ものの唐辛子煎餅(65円)と海苔巻き煎餅(130円)とを購入し、それぞれを2つに割って食べてみました。
まずお煎餅そのものがすごくしっかりしています。
昔のお煎餅はこうでした。
顎が強くないと食べられませんでしたが、あのガチンという感覚がお煎餅らしさだったと思います。
唐辛子は甘いものを食べ続けてきた身にはとてもおいしく感じました。
そして海苔巻きの方ですが、これが、お煎餅が見えないくらい全面が海苔でおおわれているのです。
海苔も、こんなに分厚い海苔を食べたのはいつ以来だろう?というくらいしっかりした海苔でした。
そして食べたときの食感ときたら、わお、これぞ海苔巻き煎餅だというくらい懐かしい感じがしました。
今日はここで時間切れです。
その後大井町まで走って京浜東北線に乗車し事務所へ戻りました。
こんなに買い食いしたのはいつ以来でしょう。
もうこれ以上食べられないと思っていたのに、横浜に帰るとおなかがすいて、夕食はしっかりと食べました。
日本橋から品川まで走っただけですから、大したことはないのですが、次のようなことが分かりました。
・和菓子屋さんは中央区界隈に集中している。
・その他のオフィス街にある和菓子屋さんは、週末がお休みのお店が多いこと。
・一地区一店くらいで、午前中3軒、午後3軒くらいがちょうどよいこと。
(今回は合計15軒まわり、うち売り切れで食べられなかったのが1軒、その場で食べられなかったのが1軒、お休みが3軒でした。)
・店と店の距離は、2~3㎞はあけた方がよいこと。
・どこのお店も気持ちよくばら売りをしてくださいました。
・単価もせいぜい100円台から200円台で、それほどの出費をしなくても十分に食べられること
・饅頭やどら焼き、たい焼き、最中などたてつづけにあんこばかり食べないように、煎餅などを間に入れた方が楽なこと。
今回、想像以上に少額の買い物でもちゃんと対応してくれることがわかりました。
また、こうして食べるとあそこの○○は味がどんな感じで日持ちはするしないということが実感としてわかるので、後日この付近を通るときにどこでどんなお菓子を買ったらよいかがよくわかります。
また日を改めて、品川以南についてご紹介したいと思います。