国道最高地点からブロンプトンで群馬県側へと下ります。
最高地点ということは、このコースの中で一番高いところという意味ですから、基本的にはどちらへ行っても下りになります。
ただし、そこは山岳道路の難しさ。
富士山五合目からのダウンヒルのように、下り一辺倒というわけにも参りません。
最初はつづら折りのヘアピンカーブが続きます。
(左;国道最高地点の碑 右;夏もお昼が近くなるとご覧のようにガスがかかります)以前お話したように、ブロンプトンを倒し込む際にカーブ内側のペダルを下げていると、路面にガツンとあてて、最悪ペダルを破損してしまいます。
このブログでは、のんびり走ることを推奨していますが、それでも景色に見とれてペダルを無意識に回していると、当ててしまいます。
運悪くフォールでイング機構のついている方の左ペダルを破損すると、お高くつきます。
ここは、以前ご案内したようにペダルを9時-3時の位置で固定するか、昔のスキーのように外側加重にして、絶えずターン外側のペダルを6時にして、内側ペダルを路面に当てないようにしましょう。
(5月に国道から見る芳ヶ平と草津白根山)このつづら折りの最中、左手は高度をさげるにつれて、芳ヶ平がだんだんと迫ってきます。
右手は断崖なのですが、その向こうには先ほどバスがのぼってきたスノーシェードのある国道のうえに、パラボラアンテナをいただいた横手山が良く見えます。
そこから左手へ、のぞきのレストハウスから稜線伝いに志賀高原のシンボルの笠ヶ岳がそびえています。
さらに笠ヶ岳のはるか背後には飯綱、戸隠、黒姫、妙高、斑尾と北信の山々が望めます。
とくに5月から6月のまだ残雪がある時期なら、山の形が分かりやすいので、遠目にもかかわらず山の素人でも特定しやすいのです。
カーブ左手には、車は停車できないけれど自転車なら停めて山々をゆっくり堪能できるスペースが何カ所かありますから、ぜひ立ち寄ってみてください。
(左;5月 右;8月)
なお、晴天の日だからといって遠望が利くとは限りませんので、注意してください。
春は霞や靄がかかって手前の山ほど奥の山が見えないことがあります。
また眼下の善光寺平もよく見えません。
夏は水蒸気が多い分、これまた雲がかかりやすくて、たとえ晴天でも午前中の早い時間でないと見えないこともしばしばです。
一番良いのは秋晴れの日なのでしょうが、女心と何とかで、その季節は天候が周期的なために、晴天の日に巡り合うのも簡単ではありません。
写真のような山が見える日にこの場所に来られたのなら、そしてここをブロンプトンで走れたのなら、かなりラッキーだと思って間違えありません。
(笠ヶ岳-写真右端-の向こうに見えるのは、北アルプスと北信五岳の山々)国道最高地点から1.9㎞ほどで下り坂はおしまい。
ここがもうひとつの県境、山田峠になります。
峠の少し手前右側に、中央分水嶺の碑があります。
中央分水嶺とは、この尾根の左側に降った雨や落ちた水は太平洋にそそぎ、右側のそれは日本海にそそぐ、つまりここが日本列島の屋根部分という意味です。
渋峠からここまで、ほぼ県境の分水界と呼ばれる稜線に沿って走ってきました。
日本の屋根の上をブロンプトンで走っていると思うと、ちょっとロマンを感じます。
(両写真左の三角錐が笠ヶ岳で右のアンテナが立っているのが横手山です)ここからは正面に見えている直線ののぼりです。
坂自体は白根火山の肩までの500mほどですが、けっこうきついのと、街中と違って前が見えているので辛いと思います。
それと、空気が薄いのでゆっくりのぼってもゼイゼイしてしまいます。
バイクや車で走るときは、こんな思いしなかったけれど、でも頭の中の血中酸素が山の中の新鮮なそれに置き換わるような気分で、苦しいけれど気持ち良い気もします。
またこの区間、振り返ると自分が今下ってきた道の後ろに、天気が良ければ横手山がくっきりと見えます。
写真に撮ると、山岳道路お散歩のダイナミズムを感じる絵柄になります。
(右;中央分水嶺の碑)白根火山は正式な名前を白根山といいます。
ほかにある白根山と区別するため、草津白根山と呼ばれています。
標高2,160mの活火山で、山頂付近は噴火の影響なのか植物は見られません。
山頂付近に複数の火口湖があって最大にものが湯釜です。
有史以来わりとこまめに小噴火を繰り返し、死者も出ています。
江戸時代には、噴火の際にふもとにある草津温泉の温度が急上昇し、湯に入っていた人が死んだこともあったようです。
東麓の草津温泉は山頂付近の熱水が山を下るうちに地下水と混合して20倍くらいに希釈されたものなのだそうです。
(山岳道路の登りは、街中のように迂回路がない分きつくても逃げられません)5月であれば、道路右手には段々畑みたいに斜面に残った残雪面がみえます。
その中でも面積の大きな斜面で、雪庇を造作して(ジャンプ台のこと)スノボを楽しんでいる若者たちがいました。
わざわざ斜面を担いで登っても滑りたい気持ち、わかります。
もう冬までお預けですからね。
私もまじめにスキーをやっていたころ、ゴールデンウィークに滑っていましたが、とにかく暑いのです。
仕方なくトレーナーを腕まくりしたり、Tシャツ一枚で滑ったりすることになります。
そのいでたちで、転んだりすると雪面がザラメ状なものだから、腕や肘をすりむいてしまうのです。
もっとも、その時代でも5月に山の中でスキーをやるなんて、よほどの変わり者でしたから、うまい人ばかりで、そうそう転ぶことはありませんでしたが。
最近は暖冬の影響と、スポーツ人口の減少でゴールデンウィークまで営業しているスキー場も少なくなりました。
志賀高原の中だと北のほうに位置する高天原、一の瀬、寺子屋、焼額山などが5月の頭までリフトを運行しているようです。
(気持ちよさそうに見えるけれど、暑いと思います)次回は草津白根山の肩から続けたいと思います。