※草津白根山の噴火警報がレベル1から2で発令されているため、2016年7月現在長野電鉄バスは渋峠で折り返し運行されており、渋峠~白根火山間のバス運行が休止しています。
つまり、一旦群馬側に降りてしまうと、バスを使用して長野側に戻ることはできません。
本コースを折りたたみ自転車で楽しむ場合は、警報が解除されバス運行が再開されない限り、群馬県側の白根火山から草津温泉の間で楽しむことをお勧めします。
(マイカーの通行規制はなされていませんが、草津白根レストハウス付近は駐停車も含めて禁止されております。)
(かつて営業していたころの草津白根レストハウス。白根火山バス停で長野電鉄バスが折り返しています。後方のバスは草津温泉へ向かう西武高原バス)
私のようなスキーフリークにとって、志賀高原の横手山・渋峠スキー場から、万座温泉もしくは草津スキー場へのツアーコースは、憧れなのです。
1987年公開の映画、『私をスキーに連れてって』は、前年の春スキーシーズンに撮影されているのですが、ちょうど同じシーズンに横手山スキー場にこもってアルバイトをしていた自分は、(当時の自分たちの姿がチラッと映っていることも含め)思い出深い作品です。
主にロケはプリンスホテルのある焼額山で行われていましたが、何度か横手山に来て撮影している現場を目にしていました。
(横手山裏手の渋峠スキー場から万座温泉スキー場まで、直線なら2㎞ですが、冬季は迂回ルートのため車で5時間かかります)
あの劇中で、志賀―万座スキーツアーコースを夕方から夜にかけて強行突破するシーンがあります。
私はスノーシーズンに行ったことないのですが、もし志賀草津道路(国道299号線)をたどるならば、距離だけのことを考えるとそんなに難しくはないのです。
車やバイクで夏のシーズンに走っていると、渋峠スキー場下の県境から、万座温泉スキー場の朝日山第1ロマンスリフト(但し、朝日山ゲレンデは2012シーズンより営業休止)の降車場まで、それほどの距離がないことは一目瞭然ですから。
ただ、道路は渋峠の1㎞先、国道最高地点からつづら折りをいっきに山田峠まで下り、そこから稜線脇へのぼって白根山直下の峠を越え、支脈の尾根に沿って下ってゆくとリフト降り場がひょっこり顔を出すという塩梅です。
つまり、急な下り→緩くて長い上り→急な下りとアップダウンがあるのです。
あのコースをスキーで行くのなら、道路と全く同じルートは選択せずに、稜線上をなるべく高度を下げないように注意しながら白根山の肩までトラバースするのだろうなということは、容易に想像がつきます。
(五月の連休でも残雪はこの通り)
そして、これは冬期のことなので想像でしかないのですが、標高が2,000m以上ある、日本列島の背骨にあたる主脈尾根の稜線上は、おそらくとても過酷だと思うのです。
積雪よりも風が強いことの方が問題で、斜面はそれこそアイゼンやピッケルも刺さらないようなガチガチのアイスバーンでしょう。
そんなカチカチの雪面と、雪庇や深雪が所々にある稜線を、スキーで通過しろと言われても、圧雪しか経験の無い普通のゲレンデスキーヤーには困難なだけだと思います。
また冬であれば天候がいちど冬型になってしまうと数日も固定してしまうことがあり、いったん吹雪にまかれようものなら、前後左右はおろか、上下の区別さえつかなくなってしまうのではないかと思うのです。
こんな状況で、尾根一本、谷筋一本間違えておりて行ったら、間違いなく遭難します。
もちろん、山を下ってしまったら携帯がつながらないはずですから、救助を呼ぼうにも簡単ではありません。
冬型の緩む春になってスキーツアーが行われるのは、そういう理由だと思います。
さてしかしながら、この志賀草津道路は、関東甲信越地方、いや日本有数の眺望の良いルートなのです。
横手山山頂に立つと、富士山と日本海が同時に見えます。
それだけではなく、北アルプス、八ヶ岳、浅間山から榛名山、赤城山、谷川岳にかけての上信国境の山々、日光連山まで見えます。
しかも、山田峠~草津白根レストハウス~白根火山ロープウェイ間のおよそ12㎞は、森林限界を越えていることと、白根火山の影響で立木がほとんどなく、富士スバルラインのように高所ではあるけれど眺望が効かないということがありません。
ということで、寒くて厳しいスキーツアーはともかく、夏のシーズンにブロンプトンで走らない手はないじゃないかということで、計画を立ててみました。
○どこをどのタイミングで走るか
ブロンプトンで走る計画に先立ってまず考えることは、どこからどこまでを走るかということです。
最高所から下って、効率の良い場所でバスに乗ってのぼるには、最高地点を探さねばなりません。
しかし、これは国道最高地点(標高2,172m)できまりです。
ただ、この場所は路線バスが停車しません。
仕方ないのでスタート地点は1㎞手前の渋峠バス停(標高2,152m)にします。
ここから群馬県草津方面に向けて走るのですが、ゴールは一応草津温泉のバス乗り場ということにします。
次にその区間のアップダウンについて考えます。
ルートラボで作図すると、なだらかなアップダウンに見えますが要注意です。
山岳地帯での作図は、横浜や渋谷近辺と違ってひと目盛の標高差が200mもありますから。
国道最高地点(2,172m)から山田峠(2,049m)まで標高にして100m以上くだったあと、正面左手に草津白根山を眺めながら、その肩(2,068m)までのぼりが続きます。
さらに万座道路との分岐点(1,967m)までくだって、そこから1㎞ちょっとの草津白根レストハウス前(2,017m)まではのぼりになります。
車やバイクで走っていると、景色に見とれて坂のきつさなど気にも留めなかったのですが、こうして数字で見てみるとかなりきつそうです。
でも、これは実際に走ってみて体験するしか方法がありません。
コースが決まったので、タイムスケジュールに移ります。
夏場の山岳眺望の場合、早朝から午前中が勝負です。
だからとにかく、公共交通機関で渋峠に早い時間に到着できることを考えてみます。
(一番良いのは渋峠ヒュッテに宿泊してしまうことだと思います)
まず、群馬側からバスで行くとどうなるでしょうか。
草津温泉(9:00発)→白根火山(9:00着/9:35発)→渋峠(9:51着)
うーん、10時前到着ですか…。
かなり遅いです。
では長野側から登る場合はどうでしょう。
湯田中温泉(8:10発)→蓮池(8:41着/8:44発)→渋峠(9:11着)
ということで、湯田中温泉もしくはその上の志賀高原内に宿をとってこちら側から登った方が早くにスタート地点に到着できます。
なお、長野駅付近に宿泊した場合は、
長野(6:44発)→信州中野(7:33着/7:48発)→湯田中(8:04着)
となり、かなり早起きしなければならなくなります。
(草津温泉湯畑にて)
ということで、長野側からのぼり、渋峠から自転車で群馬草津温泉側へとくだり、またバスに乗って長野側へ戻るという基本的なコースは決まりました。
ただ、今回はただ往復するだけではつまらないので、一度草津側へ降りたなら、白根火山ロープウェイを使用してもう一度白根火山まで戻り、再度草津側へ下ってから、バスで長野側へと戻ろうと思います。
ずいぶん前に八方尾根スキー場で失敗した(http://blogs.yahoo.co.jp/brobura/38450069.html)リベンジとばかり、今回も折りたたみ自転車+索道の可能性を探りたいと思います。
結局、山に行って私の考えていることは、ブロンプトンをどうしたらスキーのように利用できるか、ということに尽きるのかもしれません。(つづく)
(長野電鉄湯田中駅 午前中の早い時間から山の方で積乱雲が発達しています)