瀬戸内海の旅に、島から島へと船で渡る楽しみがあります。
短いものなら5分程度から、1時間を越すものまで様々ですが、船酔いをする自分でも、船の旅って短くても楽しいと感じます。
海を眺めているだけで、心が和みますから。
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関東で気軽な船旅というと、真っ先に思い出すのが水上バスです。
隅田川やお台場を中心とした航路や、横浜のシーバスが有名です。
水上バスの後部にはオープンデッキもあったりして、気持ち良いのですが、やはり都会の海であり、現役の港です。
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次に思い浮かべるのが、神奈川県の久里浜から金谷を結ぶ東京湾フェリーです。Clik here to view.

乗船時間は40分ながら、浦賀水道を、列をなして通過する船や、富士山を眺めることもできてお勧めの航路です。
ただ、千葉県側へ渡ってどこをブロンプトンで走るのだという問題が残ります。
(金谷付近は山が海まで迫り、道路も狭くてカーブが続き、トンネルも多いため、サイクリングにはあまり向いていません)
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(料金を払えばそのまま自転車を載せられます。待合室にある譜面台は謎です)Clik here to view.

ということで、せっかく吉田松陰の足跡をたどって浦賀まで行ったのですから、もの凄く気軽に乗れる浦賀の渡しにブロンプトンをつれて乗船してみましょう。
浦賀という街は、行ってみれば分かりますが、三浦半島の中でも珍しい位深く切れ込んだ入り江の奥に駅があります。
(伊豆下田と山の高さは違えども、驚くほど地形が似ています)
駅を背にして左側、すなわち海を右手に見ながら進めば東浦賀で、逆の右側、海を左手にみながら進むと西浦賀へゆきます。
東浦賀地区と西浦賀地区の間は、幅170m~200mほどの浦賀湾で隔てられているため、渡し船が無ければいったん浦賀駅まで戻って、またV字に折り返さないと移動できません。
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(実験なので模様眺めにたたんでみました)Clik here to view.

浦賀の渡しの歴史は古く、享保年間(1733年)には既に渡船を修復する際の取り決めを定めた文章が残っているため、この頃からの操業が確認されているそうです。
現在は1998年に製造された愛宕丸(全長9m、総トン数4.8トン)が就航しており、この航路が横須賀市道2073号線となっているため、運航主体は横須賀市です。
浦賀の人たちからは、ポンポン船という愛称をつけられていたみたいです。
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(呼び鈴を押すと来てくれます)Clik here to view.

さて、さっそく東渡船場から乗船してみましょう。
といっても、大概の場合こちらにも対岸にも、愛宕丸の姿はありません。
小さななまこ壁風の待合室の中に、住宅の玄関にあるようなチャイムのボタンがあって、「これを押して船を呼んでください」と張り紙がしてあります。
半信半疑でボタンを押すと、東渡船場と西渡船場の中間あたりでプカプカ浮いていた愛宕丸が、突然エンジンを全開にしてこちらに向かってきます。
なんだか、飼い主に呼ばれて全速力で走って戻る、子犬のようです。
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(船中ではこんな感じです)Clik here to view.

私の方はといえば、ブロンプトンをたたんで浮桟橋のうえで船の到着を待ちます。
波の揺れにあわせてキコキコと鳴く小さな桟橋は、瀬戸内海の小さな島を彷彿とさせます。
さて、浮桟橋に寄ってきた愛宕丸は、舳をちょこんとくっつけます。
ブロンプトンを持ったまま船に飛び乗り、いざ3分の船旅へ。
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しかし、12人乗りの小さな船なので、他に船客がいる場合はたたんだ方が邪魔にならなくて良いと思います。
都合二回乗りましたが、一回目は「たたんでくれたから自転車のお代はいらないよ」といわれ、乗船料200円だけ支払いました。
二回目は自転車とあわせて250円といわれたので、そのまま支払いました。
どうも折りたたみ自転車については明確な規定がないようです。
どうしても自転車料金を節約したかったら、カバーを掛ければ良いと思うのですが、たった50円ですからね。
このアバウトさがまたいいと思います。
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船はエンジンをふかして後退すると、くるりと舳を返して西渡船場にむけて進みます。
わずか3分の船旅ですが、オープンエアな御座船風の愛宕丸から浦賀湾口の向こうに広がる浦賀水道や、すぐそばに停泊している小型タンカーを見上げていると、やっぱり船っていいなと思います。
呼び鈴押して来るくらいですから、二回の乗船とも貸し切りでしたし。
呼び鈴押して来るくらいですから、二回の乗船とも貸し切りでしたし。
何よりも、海上で波風を切る気持ち良さがあります。
これ、自転車では味わえない感覚です。
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あえて付言すると、愛宕丸はカップルにお勧めです。
船の中のFRP製の腰掛けが、長椅子が向き合うように設置されていて、互いに相対して座ればまだ付き合っていない男女間の微妙な距離が取れそうです。
いやぁ、昔の学園ドラマにあったみたいに、どちらかが告白しても風の音で聞こえないふりとかできそうな感じですよ。
付き合っているカップルなら、長椅子に並んで腰かけて海を眺めている彼女の横顔を、チラッと見て男性が惚れ直しているというシーンなんか、よろしいのではないでしょうか。
オフコースかなんかの歌に、「潮風に頬染めた君の髪が揺れてる」って文句がありましたよね。
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(自分らの世代だと、シューマンの「トロメライ」とかが聴こえてしまいます)Clik here to view.
私の知る限り、関東でそんなくさい芝居(?)ができそうなのは、江の島の弁天橋から稚児が淵を結ぶ遊覧船とここだけです。
他は船のサイズが大きすぎたり、船室がオープンではなかったりしますし、江の島の遊覧船も含めて他に大勢お客さんが乗っていて、愛の告白どころではありませんからね。
その点愛宕丸なら、二人きりで乗れるチャンスはたくさんあるし、船頭さんは船室の外に立っているので、立ち聞きされないと思います。
浦賀だって「賀」の文字が入っているから、おめでたいじゃないですか。
お勧めは、やはり波間がオレンジ色にキラキラ光る夕方かな。
なお、乗船中に告白しようかどうか逡巡している時間はありませんよ。
3分しかないのですから。
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(浦賀へ歴史探訪に行くのなら、この本がお勧めです。『浦賀奉行所』西川武臣著 有隣新書)Clik here to view.
ああ、こんなこと書いたら、その後に二人で行く海の見えるカフェかレストランでも見繕っておかないといけませんねぇ(笑)
生憎いまはそっちの方全く疎くて全然興味ないのです。
生憎いまはそっちの方全く疎くて全然興味ないのです。