(動輪脇の看板にも、ちゃんと「鉄道文化振興会 カレーステーションナイアガラ」と明記されています)
ナイアガラっていっても滝や花火ではありませぬ。
祐天寺のナイアガラといえば、鉄ちゃんの間では「あぁ、あの店」と昔から有名なカレーステーションな店なのです。
この前祐天寺をご紹介した時に、蒸気機関車の動輪と腕木信号を寄附された方がいるというお話をしましたが、そのご本人がこのお店のオーナーです。
つまり、筋金入りの鉄道ファンということになります。
昔は祐天寺駅前のロータリー脇にあるビルにお店があって、東横線の車窓からも店の前にある踏切の警報器(もちろん東横線のではなくて、お店の飾りです)がチラッと見えたので、お店に行ったことがなくても、あそこに何やら鉄道マニアのオーナーが経営するカレーショップがあるというのは知っている方も多かったと思います。
(祐天寺名物なのです)
今は場所がちょっと中目黒寄りの住宅街に移りましたが、それでもかつてお店の前にあった踏切も健在です。
お昼時に中へ入ると、男の子を連れたお母さんや、たぶんネットで紹介されているのか、「お鉄」な非日本人が席を占めていて相当混雑しています。
以前の場所で営業していたときにはいなかった「昔の食堂車のウエィトレスさん」風の格好をした若い女性が二人でお客さんを案内しています。
オジサンには、メイドカフェ(行ったことありませんが)の従業員と区別がつきませんでしたが(笑)
(「チャレンジ20,000㎞」って、いつの時代のキャンペーンでしょう)
食券が昔の切符の硬券(厚紙のタイプ)で鋏が入るのは今も変わりません。
ところでこの切符、昔駅で購入する際に、子どもだと右端をざっくりと鋏で切られて妙な台形になってしまい、旅の思い出にとっておきたい自分としては「やめてくれぇ~」と叫びたくなったものです。
そんな思い出に浸りながら切符を眺めていると、まもなく注文したカレーが出来上がり、この店のお約束で鉄道模型がカレーを載せて席まで運んでくれます。
以前は「お待ちどうさまでした。まもなく○○カレーが○番テーブルに到着いたします。白線まで下がってお待ちください」って放送されて、赤面した記憶がありましたが、このときは無かった気がします。
(これは機関車のプレートかな。大垣行きは小学生の時に友だちと乗りましたよ)
私は家族から半ば侮蔑を込められて「鉄ちゃん」呼ばわりされても、鉄道にそこまで思い入れはないので、あまりピンときません。
まぁ、鉄道オタクと申しましてもいろいろございまして、私は正真正銘の旅オタク、すなわち「乗り鉄」だと自分で思っているのです。
で、このようなお店に参りますと、国鉄時代の駅名表示板などに旅情を感じてしまう口でして、車両の形式やら当時は存在して今はなき盲腸ローカル線の駅名板など見ましても、すべては「旅」と結びついたノスタルジーな思い出になってしまうわけです。
けれでも、お金がない学生時代、もちろん学校にもちゃんと行っていましたから、そうしょっちゅう糸の切れた凧みたいに旅をしていたわけではございません。
(これはOゲージでしょうかね。だとしたら、高いんですよ、の模型)
で、代わりに何をしていたかといいますと、時刻表を見ては空想旅行をしておりました。
何度も乗り継ぎをひきながら、いかにお金をかけないで遠くまで行くかについて考えてみたり、どうやって国鉄全線を効率的に乗りつぶすか考えてみたりと、暇さえあれば、英語の辞書ではなく時刻表をひいていたのです。
そんなことばかりやっているうちに、旅行会社に就職してしまったわけですが、いちばんうれしかったのが、毎月前月分の自社発行の時刻表を持ち帰れること。
いくら時刻表オタクでも、就職前は毎月買うわけにはゆきませんでしたからね。
旅行を仕事にしなくなってからも、インターネットで時刻表を調べ、そこからブロンプトンを走らせてどこまで行って…などと空想することはしょっちゅうやっています。
(チーズカレー・・・じゃなくて右端の硬券にご注目。来店記念にもらいました)
こういう人種を鉄は鉄でも「妄想鉄」っていうらしいです。
私はてっきり妄想とは鉄道のない場所に勝手に鉄道を敷く空想をすること(たとえば、「環八に路面電車が走っていたら和田サイクル行くのに便利なのに」)などと思っていたのに、どうやら架空旅行する人のことを指すみたいです。
それなら、私は鉄道ばかりでなく、バスや船、飛行機も考慮して、架空旅行ばかりしています。
この前など、グーグルマップを見ながら「(サハリンの)コルサコフからユジノサハリンスクまでブロンプトンで走ったら、どれくらいの時間がかかるんだろう、路線バスは1時間当たりどれくらい走っているのか」などとキリル文字と格闘しながら調べておりました。
理由は、サハリンにいったら昔の北海道に会えるかしらんという単純な動機ですが。
(昔は北海道にもこんなに鉄道があったのです)
しかし、学生時代にブロンプトンがあったら、北海道に持って行って興浜北線・南線の間を自転車でつないだり、瀬棚線に乗って瀬棚から寿都、岩内と日本海の海辺を走って岩内線で戻ったりとか、いろいろと旅のしがいがあったのになぁ、などと思っています。
今でも、もし稚内に行くのなら、わざと手前の南稚内で降りて、稚内まで走るとか、そんなこんなを企みながら、あれ、なんで北海道の鉄道の話に脱線したのでしょう?
とにかく、ブロンプトン・ジャンクションからもそう遠くはありませんし、鉄道好きな方は、ぜひ一度は訪ねてみてください。
なお、相手が「鉄子さん」でもない限り、デートでの利用はお勧めしません。
あまりにも鉄分が濃すぎると思うので。