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Channel: 旅はブロンプトンをつれて
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33.二川宿(その3)

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前回旅籠と本陣の内部を見学したのに続いて、併設する資料館を見てみましょう。
二川宿は小さな宿場なのに見どころが多いので、最低でも一時(2時間)は時間をとって欲しいと思います。
正直言って、資料館についてあまり期待していなかったのですが、飛脚制度、問屋場、助郷など宿場にまつわる事項について、その時代の記録や書面などとともに、かなり詳しく説明されていました。
その関係の書籍を読んでいる自分からみても、これまで巡ってきた宿場に関する博物館の中では、内容が抜きんでていると思います。
旧東海道を走り通そうと思い立ったら、まずはここを訪れてみるのも良いかもしれません。
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 (左;街道地形図。家に欲しいです 右;身長以外は表情も含めかなりリアルでした)

さて、1階の企画展は写真撮影禁止ですから省いて、等身大のマネキンとともに、当時の旅の道具が展示されている2階を中心にご紹介しましょう。
本陣の展示物よりこちらの方が、名前だけをきいても何に使う道具なのかさっぱり分からないものが多かったように思います。
印籠(薬入れ)は例のドラマでお馴染みだからいいとしても、早道(財布の一種)、銭刀(道中差の一種で、財布兼護身用具)、矢立(筆記用具兼護身用具)なんて言われても、どんな形をしているのか想像できません。
でも、携行するために極力小型軽量化されており、兼用の道具になっていたり、あるいは枕や燭台などは折りたたんで収納できるようになっていたり、これは折りたたみ自転車の世界にも通じる品だと思いました。
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(左;様々な印鑑 下は先ぶれの書状 右;人足帳)

圧巻なのは宿場や道中を表した模型です。
旅人たちや、宿場で働く人々、大名行列などのフィギュア(人形)が模型の宿場や東海道を背景に配してあります。
よくみると、このフィギュア、広重の絵に出てくる人たちがたくさん登場するのです。
これまで各宿場を巡ってきて、それぞれに広重の五十三次を見てきた人にとっては、「このフィギュア欲しい!」と思わず叫んでしまいそうなくらい精巧にできていて、表情まで入っています。
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(左;『大日本道中行程総見記』 ポケット版ミシュランです 右;時々このブログのネタにもなる『東海道名所図会』その時代のオリジナルにはじめてお目にかかりました)

どなたか、歴史ものでもSFものでもいいので、旧東海道をテーマにしたアニメとかゲームを作成していただき、地方活性化につなげていただけないでしょうか。
五十三次の宿場をそれぞれキャラクター化したら53人もできるのですから、AKBよりも多いわけで、商品化したら売れますよ。
こちらはお金を持っているお年寄りにも受けそうだし、それがきっかけになって宿場を巡ったら、地場の商工会議所も鉄道会社も喜ぶじゃないですか。
自分は資本があったら、品川か大森、あるいは神奈川とか保土ヶ谷あたりに、江戸時代の宿場をテーマにした和風の街道カフェを開きますよ。
こんなミニチュアを展示し、江戸時代の立場で供された飲食物を再現したら、面白そうです。
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(旅に携行する様々なアイテム。右の刀の形をしているのは財布。帯刀を許されていない身分の人も、これで士分を装うことができました。今だったら間違いなく実用新案登録されますね) 

とまた、商売のアイデアになってしまいました。
ちょっとそれぞれのフィギュアについてこまかく見てみましょう。
沼津宿のところで出てきた大きな天狗のお面を背負った金毘羅(秋葉?)参りの巡礼は、ブログにて私が勝手にブロンプトンとすり替えてしまいました。
仏像を入れた縦長の厨子を背負っている六部が登場するのは神奈川です。
六部とは正式には六十六部といい、六十六の霊場をまわりながらそのたびごとに法華経を書写して旅する巡礼者を指します。
東海道は保土ヶ谷、中山道は桶川で描かれている虚無僧(人形は二人組)が、なにやら辻行く人を監視している様子です。
駕籠かきは三島で出てきたのとは違い、女性をのせて前の人足が尻端折りで後ろが上半身裸です。
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(左;広重の二川宿に登場した瞽女さんたち。後ろの番兵さんのような虚無僧たちが不気味です。 右;手前の天狗の面を背負った巡礼は、沼津で登場しましたし、奥の三宝荒神乗りは吉原に描かれています) 

そして二川宿で登場する三人組の瞽女(ごぜ=盲目女性の旅芸人)は、絵と同じく何やら連れだってお喋りに夢中の様子です。
その他にも、この先の宿場で描かれる抜け参りの若者や、強引な客引き、魚屋、問屋場で荷のチェックをしている人や、大名行列の出立風景など、広重の絵と衣服は同じなのですが、若干仕草やポーズが変えてあるので、「あそこの宿場に出てきた誰それじゃないか」なんて一人ひとりを観察していると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
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(左の宿の客引きの女性たちは、これからの宿場で登場します。右の問屋場の賑わいは藤枝ででてきました)

おしまいに資料館の出口付近に売店があるのですが、ここで売っている書籍や資料は、ビジュアル中心のものから専門書まで、旧街道マニアには垂涎ものです。
ブロンプトンだから持ってゆけないし、持ち合わせもそんなに無いので買えませんでしたが、ある意味では東京の大型書店本店の旅の歴史コーナーよりも本が充実しているかもしれません。
(別の機会に車で乗りつけて、購入しようかと思ったくらいです)
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 (左;左端が神奈川の坂道で後ろ姿で描かれる六部。左で転んでいる頬かむりした抜け参りの若者は、どこかの道中で見た記憶があるのですが思い出せません 右;馬場本陣前における大名行列の出立が家紋まで忠実に再現されています)

なお、今回でおよそ六割方の行程を終え、日本橋からの距離も300㎞を超えました。
そこで、恒例の(とはいっても、前回は去年の4月に21.岡部宿の巻でやったので、完全に忘れていましたが)宿場と一里塚のまとめを加えておきたいと思います。
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(左;売店の図書コーナー。自分にとっては垂涎ものでした)
次回は二川宿から吉田宿へ向かいます。

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