年末に2泊3日の予定で浜松から出発した前回の旧東海道の旅は、1日目が赤坂宿と藤川宿の中間、2日目が鳴海宿、3日目が佐屋街道を含めて桑名宿を過ぎ、近鉄名古屋線の伊勢朝日駅前を通過した、小向立場付近で終了しました。
ということは、これから四日市、石薬師、庄野、亀山と南下し、そこから北西に進路を変えて、関、坂下を経て鈴鹿峠を越え、土山、水口、石部を経て琵琶湖に近く、中山道との合流地点である草津へと向かうことになります。
この道程に1泊2日という週末をあてはめると、どうしたものでしょう。
残り123.2kmですから、一日100kmを走ることも十分可能なブロンプトンであれば、1泊2日の行程でも余裕だと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、関東に住んでいる人間であれば、一日目のスタートは8時過ぎになることや、二日目は帰りの新幹線の時刻をにらんでの行動になるため、早朝から日没までフルに時間が使えない分、距離をのばせません。
そして、箱根に次ぐといわれる鈴鹿峠が控えています。
峠の石畳を、ブロンプトンを担いでひたすら登るのは、まさしく苦行そのものでした。
しかし、上り坂や峠道という共通点のほかに、鈴鹿峠が箱根峠と大きく違うのは、観光地でも何でもないという点です。
つまり、峠付近には温泉も宿屋もなく、峠の前後のアクセスがきわめて劣悪なのです。
詳細は後述しますが、一日目の旅程をどこで切り上げるか、宿泊場所をどこにするかで、翌日の再開時刻も相当にずれます。
ということで、ここらあたりまで来ると、旧東海道尺取り虫方式の旅も、旅のプロの腕の見せ所と相成るわけでございます(笑)
おおまかに考えて、京都まで1泊2日で到達するのは無理ということで、鈴鹿峠を越えるか、越えないかという2つの選択肢が考えられます。
越えないのであれば、今回のプランニングは、伊勢朝日駅から四日市宿、石薬師宿、庄野宿、亀山宿、関宿を通り、鈴鹿峠の東側直下にある53次中48番目の坂下宿でやめておくという行程になります。
この場合、宿泊はホテルの多さ、アクセスからいって亀山になるでしょう。
しかし、この場合はその次の回に、金曜日の夜にでも名古屋または亀山に前泊しなければ、初日の午前中に坂下宿へ戻ることはできません。
それに、残り120kmのうち1泊2日で50kmしか進まず、次の回に70km以上を残すというのも不経済です。
そんなわけで、ここは鈴鹿峠を越えてできるだけ京都までの距離を詰めておき、次回の最終回で余った時間を京の都見物に費やすとか、次の旅のプロローグ(この時点で考えることではありませんが、折り返して中山道を江戸にもどるとか、さらに西へ、大阪方面へ向かうとか)に使う方が妥当だと思います。
ただ、鈴鹿峠を越えた後も、交通の便が良い宿場は草津までありませんので、今旅行の帰宅、次回の再開場所への復帰のことを考えると、鈴鹿峠を越えてできるだけ距離をのばした方が良いということになると思います。
まず前提として、旧東海道に沿って利用可能な交通機関について調べてみます。
朝日から四日市宿まで(距離10.3km 標高差無)はJR関西本線、近鉄線ともに利用可能で、往来頻度も多めです。
四日市から先、内部(うつべ)まで(距離5.8km 標高差上り12m)は、近鉄内部線改め四日市あすなろう鉄道内部線(30分に1本)が沿っています。
そこから石薬師宿を経て庄野宿まで(距離9.9km 標高差上り34m下り28m)は、三重交通バスの四日市平田線(近鉄四日市駅~平田町駅)になるのですが、これが週末では2時間に1本の割合でしか運行していません。
庄野宿から亀山宿まで(距離8.8km 標高差上り50m)が、関西本線のJR東海部分で、朝夕は1時間に2~4本の運行ながら、日中は1時間に1本です。
亀山宿から関宿まで(距離6.4km 標高差上り23m)は関西本線のJR関西部分なのですが、これも一時間に1本。
そして関宿から鈴鹿峠直下の坂下宿まで(距離3.4km 標高差上り54m)は亀山市のコミュニティバス、西部ルートになります。
コミュニティバスは、朝に2便、昼に2便、夕に1便と、どこの自治体もそうでしょうが、交通弱者のためのダイヤになっており、週末は全便運休の自治体も多いのですが、亀山市のそれは土曜日なら運行しています。
そして、坂下宿から先、鈴鹿峠を越えて滋賀県甲賀市に入り(距離5.1km 標高差上り232m)、山中交差点(バス停は熊野神社=鈴鹿峠から距離1.4km 標高差下り51m)まで、並走する公共交通機関はありません。
山中交差点から先も、土山宿手前の田村神社まで(4.3km 標高差下り76m)は、甲賀市のコミュニティバス(山中巡回線)があっても、学校休校日は運休のため、殆ど利用不可能です。
田村神社から先、水口宿まで(距離14.3km 標高差下り78m)はJR草津線貴生川(きぶかわ)駅行きのバスが1時間に1~2本。
水口宿には近江鉄道本線が走っていますが、貴生川方面、米原・彦根方面とも1時間に1本程度で、ここから電車に乗っても米原まで1時間半を要します。
水口宿から野洲川を右岸から左岸に渡った直後の草津線三雲駅まで(距離7km 標高差下り23m)は、やはり甲賀市のコミュニティバスの三雲・市役所ルート(国道)と、柏木ルート(旧東海道)が走っていますが、両線併せて1時間に1本程度。
JR草津線の三雲駅まで行って、漸く1時間に2本ないし3本の電車が来るという塩梅です。
日中でも10分に1本以上は列車が行き来する草津駅まで行こうと思ったら、三雲駅から草津追分まで18.2km、(標高差下り41m)もあります。
つまり、鈴鹿峠を越えた後、どこまで距離をのばせるか、どこで今回の旅を切り上げるかが問題になってくるのです。
(つづく)