さて、田毎の月をブロンプトンで眺めてみようという今回の企画、実行するには計画が必要です。
まず、田んぼに水が張られていなければ月は映りません。
さらに、田植え直後ならまだしも、稲がある程度生育してしまってはこれまた月は映りません。
田は土をおこして水を入れ、代掻きをしてから田植えをするところまでの作業は比較的短期間のうちに行います。
つまり、それだけ忙しい時期ということになるわけです。
もちろん、棚田は普通の田んぼとくらべて機械で効率よく作業できない分、大変に手間がかかるといわれています。
姨捨山の棚田保存会のホームページを見てみると、2014年のスケジュールは
5月第3週 代掻き
5月第4週 田植え
となっていました。
ということは、5月の半ばには水が入り、6月の頭には田植えが終わっているということになります。
さて、この時期の満月やいかに?
月齢カレンダーをみると、2015年5月~6月にかけての満月は5月4日と6月3日で、その後は7月2日になります。
5月4日では水が入っていませんし、7月2日では梅雨のど真ん中で天候もあてにあならず、稲が伸びている可能性があります。
ということは、2015年に関しては6月3日を中心とした前後三日間が田毎の月の鑑賞に最適の日ということになります。
次に時刻について考えます。
「各地のこよみ」にて2015年6月3日の月の出入りについて調べましょう。
すると出は
6月2日 18:29
6月3日 19:26
6月4日 20;21
とばらばらで、方角はほぼ東から出るということが分かります。
まぁ、出が早ければ早いほど月は高く上りますから満月にこだわらないのであれば、6月2日が有利ですね。
もちろん、月が出ていなければ話にならないわけですから、天気予報で雲量もチェックしておきましょう。
この時期は周期的に変化するため、満月の前後2日、計5日間を対象日にしていたとしても、実質夜空が晴れるのは1日か2日の可能性が高くなります。
これで時が確定しました。
次に場所です。
普通に考えればJR篠ノ井線のその名も姨捨駅で下車し、そこから田んぼの中をゆるゆるおりてゆくことになるのでしょう。
ブロンプトンを連れていれば、しなの鉄道の千曲駅まで走り、そこから長野や軽井沢といった宿泊地まで戻ることも、たとえ夜であってもわけないです。
でも、それでは面白くないので、どうせなら山のてっぺんから下りましょう。
姨捨山自体は棚田よりやや東にずれた位置にあって、棚田地区の背後には聖高原スキー場のある三峯山がひかえています。
JR篠ノ井線は姨捨駅から次の冠着駅の間で長い冠着トンネルをくぐって山の稜線を越えます。
ちょうどそのトンネルの上あたりに、冠着山が鎮座しているかっこうです。
何とか、稜線上へのぼる手段はないかと探すと、聖高原駅から聖湖までのぼる麻積村の村営バスがあるではないですか。
そこで、尾根にあたる国道403号線(旧善光寺街道)の猿ケ馬場峠より、姨捨駅の背後へくだるルートを考えてみました。
(国土地理院のウオッ地図より 下(南)から上(北)へと移動してゆく計画です)
まず、篠ノ井線で聖高原駅まで行きます。
そこから麻積村の村営バスに乗車し、聖湖までのぼります。
ただこの村営バス、駅から湖まで向かう便は朝と夕方の2便のみで日曜日は運休です。
当然に夕方の便を使うわけですが、おそらく村の予算と補助金でもって細々と運営しているのでしょう。
いつまで存続するか分かりません。
バスの終点聖湖は、ほぼ稜線上に設けられた人造湖なので、ここから猿ケ馬場峠を通過して国道403号線をくだり、姨捨地区から善光寺平を眺めます。
まだその時点では日没後でも月が出ていないので、そこから稲荷山駅まで走り、再度篠ノ井線で姨捨駅まで行ってから、暗くなった棚田でお月見をするという計画を立ててみました。
これ、何度も電車やバスに乗れるブロンプトンならではのプランです。
もし東京から行くのであれば、北陸新幹線に乗って長野駅まで行き、そこから篠ノ井線に乗り換えるわけです。
また、お月見は夜ということもあり、泊りで行くのであれば、篠ノ井線利用の観点から長野駅付近のホテルが便利です。
ただ、どうせ信州に宿泊するのなら、戸倉上山田や別所など温泉に宿泊し、昼間は善光寺平や千曲川沿いをブロンプトンで走り、午後になって姨捨へ向かった方が有効な旅程が組めると思われます。
なお軽井沢からでも、しなの鉄道を使えば姨捨山は往復できないことはありませんが、お月見を終えてから帰るとなると、ホテルにたどり着くのはかなり遅くなることを覚悟せねばなりません。
まぁ遅くに駅に着いてもホテルまでの足はブロンプトンがあるから問題ありませんが。
最寄りでは、棚田のほぼ麓に稲荷山温泉という小さな温泉街もあります。
その辺りはお財布事情と空室情報で選んでください。
ということで、次回の実践レポートに続きます。