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Channel: 旅はブロンプトンをつれて
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東急東横線にブロンプトンをつれて 地層のお話

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(渋谷駅ハチ公前スクランブル交差点。センター街が宇田川の暗渠になります)

今日は、地層について書きたいと思います。
「浪馬さんはなぜテレビの画面を見ただけで、そこがどのあたりだか分るのですか?」と尋ねられることがあります。
ひとつは、あちこち行っているので、記憶に残っている場所が多いというのが理由だと思います。
いまひとつは、その土地の雰囲気というか、匂いというか、そういうものを嗅ぎ分ける嗅覚が人よりも多少鋭いとでもいいましょうか。
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例えば、北海道と沖縄では、日の傾き具合から海の色、山の植生まで全然違いますよね。
太平洋側と日本海側でも全く違います。
また地方によって家の建て方とか屋根の種類やふきかたも違います。
同じ農村でも山を挟んで甲州(山梨県)と信州(長野県)では、ガラリと違います。
さらに信州の中でも北信や善光寺平、佐久平と千曲川源流、松本盆地と梓川流域、南信の伊那谷あたりでは違いがあります。
それほど顕著ではなくても、箱根、丹沢、奥多摩、秩父では植林の多い山の中でも雰囲気が違うのです。
オフロードバイクで林道ばかり走っていた自分には、川や山をみると何となく「あ、これは○○川水系の谷だな」と見当がつくのです。
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沿線散歩と銘打って、駅を宿場に見立てて東横線の渋谷駅から自由ヶ丘駅までを、線路に沿って辿ってきたこのシリーズは、ご無沙汰していました。
これまで、渋谷川のY字出合い(穏田川と宇田川の合流点)で、谷底にあるような渋谷駅から坂をのぼり、代官山を越えて中目黒駅下で目黒川を渡りました。
そこから祐天寺へ再び坂をのぼり、学芸大学付近で立会川の水源である碑文谷池をかすめ、環状七号線で尾根を越えて都立大学駅の下で呑川を渡りました。
さらにもう一つ尾根を越えて自由が丘駅の下には呑川の支流である九品仏川を渡ります。
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(「東京の自然史」貝塚爽平著 講談社学術文庫より)

こうしてみると、東横線は渋谷から自由ヶ丘まで、合計3つの山をを越えて、渋谷川、目黒川、立会川、呑川、九品仏川と5つの川(谷)を渡ることになります。
東横線に乗った時には、ぜひ車窓から観察してほしいのですが、地理の本を読むと、それぞれには異なった地層からなる段丘で形成されています。
表層的には関東ローム層のひとつである、立川・武蔵野層に覆われているため、さすがに人工的な建物や植生で違いが判るということはありませんが、坂の具合や尾根の切り立ち具合、さらには支流を形成する侵食谷の規模や向きで何となく違いを感じることはあります。
たとえ暗渠になっていたとしても、目黒川とその支流である羅漢寺川、蛇崩川、北沢川、烏山川には共通した谷の雰囲気がありますし、これに対して渋谷川や呑川など、別の水系に属する谷間はまたひとつ趣きが異なっています。
大地も、淀橋台はやたら細かい谷が切れ込んでいるイメージですが、それに対して目黒台は台上が平らで広々としています。
また荏原台は目黒台に比して、尾根と谷の境目がはっきりとしている気がします。
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(淀橋台上=西郷山公園から目黒川の沖積低地方面をのぞむ)

せっかくブロンプトンで沿線を走るのですから、昔の雰囲気を偲ぶうえで、ぜひこれら水系や台地の違いに着目してみてください。


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