のっけから物騒なタイトルで申しわけありません。
お江戸東京にお住いの方でしたら、一度は「行灯殺し」とか「提灯殺し」という言葉を耳にしたことがあるとおもいます。
そう、無理に通り抜けようとすれば、タクシーの屋根に乗っている社名表示灯が壊れてしまうほど桁下の低いガードという意味です。
(そのガード下の道は、高輪大木戸跡が目印で、Sハンドルがもっとも通り抜けしやすいのでした)都内には何カ所かあるのですが、今日ご紹介するのはその中でも最低地上高かつガード下道路の距離が半端でなく長い、いちばん有名な田町駅と品川駅の「高輪架道橋」下の道路(35.638870, 139.740855)へブロンプトンをつれてゆくとどうなるか?というお話です。
なんでもここのガード下道路は、桁下を基準に、東京のタクシーの車両高が決まっているという話がまことしやかに語られるほど象徴的存在なのです。
もちろん、セダンタイプのお話であって、軽自動車のワンボックスカーやトラックなどどんなに小型であろうが、タッパのある自動車ははなから相手になりません。
(大木戸跡のすぐ先を左折すると現れます)この場所は、自分のように「大通り嫌い」な自転車の乗り手にとって、大切なエスケープルートでもあるのです。
というのは、JRの田町駅と品川駅の間にあるこの区間は、第一京浜(国道15号線)とJR東海道線まで山が迫っております。
しかし、JRと山に挟まれた国道15号線は、白いヘルメットを被り青い服を着たバイクの方たちがお年中お仕事場にされているほど、車が飛ばす道路で、その割には歩道幅が狭いのです。
そして国道15号線を避けようと、より内陸側の道をとれば、国道1号線に代表される高輪台越えを覚悟せねばなりません。
(旧東海道=国道15号から東側は海だったのでしょうね)つまり、フラットでかつ交通量の少ない道をゆきたければ、JRの線路よりも東寄りの海側を走った方が良いことになります。
ところが、ここにはJR東日本の車両基地というものがあって、田町駅の北側にある歩行者専用道路から品川駅南の八ッ山橋までの間、線路を越える道は1つしかありません。
ですから、埋め立て地で街の様子は面白くないのですが、車が少なく坂道の無い路地を走ろうとすれば、田町と品川の間ではこのガードをくぐって海側に出るということになるわけです。
ただ、少し前に山手線に新駅ができるという話題がありまして、芝浦水再生センター脇の静かな環境もいつまで続くか分かりませんけれども。
(まともに車道を走れば、確実に頭を打ちます)さて、田町駅から品川方向へ向かいながら、実際に走ってみましょう。
国道15号線の田町駅前を通り過ぎ、札の辻交差点(35.645185,139.744090)で都道を越えて旧東海道でご紹介した老いた母親を背負う「一日一善」のお方の銅像を過ぎ、さらに南下します。
「お江戸日本橋七つ立ち」の歌に出てくる大木戸跡(35.639491,139.740635)を過ぎたら、30mさき、1本目の路地を左折してください。
(泉岳寺の交差点まで行ったら行き過ぎです)
すぐに下り坂になって30mさきにガードの入口がぽっかり口を開けています。
桁下表示は1.5mです。
そのまま入って行こうとしたら、どんなに上体を屈めても絶対無理だということに気がつきました。
(うええ、出口が見えない…)なにせMハンドルに乗っているときのポジションは、身長が170㎝も無い私とて路線バスの座席に座っている人や中型トラックの運転手さんと同じ目線です。
思い出していただきたいのですが、BD-1(改め今の名をBirdy)とBromptonを比較した時、たたまない状態でのブロンプトンの車両高は1015㎜でした(M6L)。
(http://blogs.yahoo.co.jp/brobura/38863202.html)
すなわち車両だけの高さでも、残りあと50㎝くらいしか余裕が無いことになります。
(ここが天井が途中で低くなっているところ。より圧迫感が増します)そこで、思い切りサドルを下げて上体を屈めて通過します。
まるで子どもの時にはじめて自転車に乗ったときのような姿勢になりました。
とにかくペダルがやたら近くて漕ぎにくいのです。
これ、オートバイだったら昭和30年代のカミナリ族みたいに、バイクの上に身体をうつ伏せにして乗せ、足を後方に伸ばして通過するのでしょうか。
(Wikiで「カミナリ族」を検索すると、その乗車方法の写真が出てきます)
自分が持っていた中型のオフロードバイクだったら、仮面ライダーの真似事になりそうです。
(空車だったり、タイヤの空気圧あげたらこするんじゃないでしょうか)ガード下に入って、距離がやたら長いことに気がつきました。
マピオンのキョリ測で測ったら226mもあります。
そして歩道の部分も狭いのです。
自動車は一方通行だから良いものを、歩道は歩行者もいるし対向する自転車も来ますから、大変です。
でも、これは「やむを得ず歩道を走る場合」にあたるのでしょうね。
さらに、ガードの途中で天井がさらに低くなっています。
ぎりぎりで何とかなったと油断していたら、確実に頭をぶつけてしまいます。
車が入ってくるとガーッという騒音がトンネル内に反響し、追い討ちをかけるように電車のゴーッという通過音が重なります。
自転車は降りて通過するよう表示がありますが、他に歩行者などいなければ、できるだけ早く通過したくなる道ですよ。
空気も悪いし、追い詰められた感じになりますしね。
(ホントにぎりぎりです)ということで、何とか芝浦側へ出る(35.638067, 139.743240)とホッとしました。
結果は、サドルを下げれば乗れないこともないけれど、歩行者がいたら素直に自転車を押し歩きしましょうということでした。
ただ押し歩きもよほど背の低い方でない限り屈まなければならないので、それはそれで楽ではありませんよ。
JRの車両センターも縮小されることですし、もし再開発されるのであれば、何とか歩行者と自転車双方にとってやさしい道を新しくこしらえて欲しいものです。
(こちらは芝浦側=港区港南 左は水処理センターで、右は新幹線の線路です。ここに新駅ですか…)